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騒動4-サイレント・ネオ-boy meets girl-

「サシャがいようがいまいが、村を襲われたら誰が戦うんだよ。あんたらじゃないのか!?」
「オラたちは畑を耕すのが仕事だべ、村を守るのはリムリの軍人の役目だべ」
「それで、そのリムリの軍人とやらはどこにいるんだよ!?」
「そ、それは……」
頭に血を上らせていた村人たちだったが、ムサシの登場に気勢をくじかれてしまった。 もともと争いごとを好まない平和好きの人たちである。みんなうつむいてしょんぼりしている。

4

そこに寝巻のままのオネがやってくると、いきなり地面に頭をこすりつけて低頭した。
「お、おっかあ…!」
ゴサクがつぶやく横で、オネは頭を地面につけたまま言った。
「本当に村の皆さんには迷惑をかけてしまった。リムリの役人さきたら、全部話すからこの通り、今のところはおさめてくれ」
この様子を見ていたオジャムもいてもたってもいられなくなってかけよると、オネの隣に座って同じように頭を下げた。
「僕もあやまります。どうか、許してください…」
こうなると村人もこれ以上何も言うことができず、互いに顔を見合わせた。やがて、村長が力なく首を横に振ると、ぞろぞろと引き揚げて行った。

すると、いつになく暗い顔をしたサシャがとことことやってきた。
今にも泣きそうな顔をしているサシャを、オネは泥が付いた顔に引き寄せると、抱きしめた。
「サシャは何も悪くないからな、何も気にしなくていいからな」
それから、しばらく沈黙の時間が続いたが、ゴサクが口を開いた。 「さてと、ここで黙っていたって何も始まらねえ。腹ごしらえをしよう」
「そうだな、何にしようかしらね」
「おっかあ、冷蔵庫にまだ牛肉が残っていたべ。すき焼きでも食べて、元気だそう」
そう言うそばから、オジャムがお腹をぐうとならせた。
「あら、オジャムは将来きっと大物になるわね。こんな時にねえ!」 オネが言うと、オジャムは顔を赤くして頭をかいたので、みんなが声を立ててわらった。
「なんといっても腹が減っては戦ができぬ、だ。おばさん、俺はごはんは大盛りで頼むよ。 さあ、サシャ、飯だ、飯」
ムサシはサシャを肩車すると、ゴサクの家にそそくさとあがりこんでしまった。

「オジャム……ところで、あれはいった誰だべ?」
きょとんとするゴサクがたずねる。
「そ、その……つい最近できた僕の友達のムサシくんです」
オジャムはばつが悪そうにうつむいた。
「友達のムサシ君ねえ……」
ゴサクはあきれているが、オネはからからと笑いながら、
「オジャムが来てからすっかりにぎやかで、楽しい我が家だ。もう誰が来ても驚かねえべ!」

サイレント・ネオ-boy meets girl-(/先行配信中)

BGM

-登場人物-

テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?

ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機落としを達成、スーパーエースに認定された。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。

ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。

シャギ:極悪非道の仮面騎士と呼ばれる男。若いころは、義侠を持ち黄金のシャギと呼ばれていた。青年時代に地元の若者たちと悪党を結成、砂漠地帯で暴れまわったが、ゲンバ提督の娘に手を出したことで怒りをかってしまう。顔を切り刻まれ、腕と足を切り落とされたあげく、投獄された。しかし、復活後は人が代ったように残酷になり、シャギ党を結成して、ついにはカイバの提督の座を強奪するに至った。

ムドー:月歌だけでなく、コロニー連合などで十数年の間、傭兵として戦場をわたりあるいてきた猛将。残酷な攻撃をすることもあるが、騎士道と義理を尊ぶ武人。シュトライツァー党では義兄弟のシュトライツァーの副将として活躍、北国随一の武将とまで呼ばれるにいたった。ダークブルーのパンツァーを愛機としており、精鋭の青備え50機を率いる。

マギー教授(おねえ)とみなみちゃん(アイドル):一年前に地球(テラ)から月歌に向けて出発したが、未だに到着せず。
かつてスーパーエースだったマギーは戦闘での怪我のため、現役を引退して士官学校で教授をしている。裏の顔はおねえである。



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