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プロローグ3-11(ソック、ナウマンにつきまとう!)-サイレント・ネオ-boy meets girl-

「そうだとも、ナウマン。昔の素直なお前を思い出せ。昔のお前なら二つ返事で私を喜んで車に迎え入れていただろうよ」
「わかってます…だけど、今は彼女がいるから…」
「任せておけ、私が説得するから! そのかわりお前は私が呼ぶまで一言も口をきくな!」
こうしてソックは、ナウマンを無理やり言いくるめたのである。

さらに、渋い顔をしているリサを呼ぶようナウマンに指示した。
リサが車に入るなり、ソックは膝に手を置いて、90度近く背をまげて肩を震わせ始めた。
泣いているのだ。

ソックが帰るどころか、一緒に旅行についていくと聞かされたリサは、完全に不機嫌モードだ。
ソックとは口も利きたくなかったが、泣いたふりをしているソックに思わず声をかけた。
「…どうしたんですか?」
「リサさん、あなたはなんて素晴らしい彼氏をもったんだ!」
「はい!?」
リサは眉間に皺を寄せ、急に何を言い出すんだとばかりにソックを凝視した。

「ナウマンが、私に懇願したんです。今、何かと物騒な世の中、カイバのシャギ党も何をしでかすかわからない。
僕一人ではリサを守れるか心もとない。どうか、どうか、ここは頭をさげて上司であるこの私に一緒について、リサを守ってくれないか、とこう言ってきたんです!」
「そ、そうなんですか…」
リサはさらに眉間のしわを増やしながら、横で難しそうな顔をしているナウマンをにらみつけた。

「ええ、そうですとも。いやー、本当にできた彼氏だ。私の部下だけのことはある」
とソックは何度もうなずき、
「それにねえ、君たちは将来結婚する時は、私が仲人するつもりなんです。
その時に話すエピソードを増やすためにも、どうかここは、リサさんに大人になってもらって、このソックが同行することを了承していただきたい!」
「…ですが、急に言われても…」
「リサさん、軍人の妻になるならば、急になどと言っては務まりませんよ!
なーに、私はずっと一緒にいくわけではありませんよ。きりのいいところで、退散するつもりですから」
「そうなんですか…」
「ええ、そうですとも、なあ、ナウマン…」
「…」
ナウマンは運転席でハンドルを握ったまま、じっとして返事もしない。
「なあ、ナウマン!」
ソックが脅すように言うと、しぶしぶナウマンはうなずくのがやっとだった。

「よし、そうときまれば、旅は道連れ、世は情け! 早いとこ出せ、ナウマン、出発だ!」
モンスター上司ソックは前方を指さすと、座席によりかかって深々と座った。さらに、2本目の缶コーヒーを開け、
「いやー、クーラーの効いた車で飲むアイスコーヒーは最高!」
と叫び、ソックはナウマンにつきまとったのである。
つづく・・・(次回よりソック、置き去りにされる!)

プロローグ:3-1 3-2 3-3 3-4 3-5 3-6 3-7 
3-8 3-9 3-10 

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遥ナル
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