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第四章:ニルバーニアと選ばれし3人の子供15 樫の木庵のマボ-大賢者ニルバーニアと双頭の魔女-

マボ投稿再開です!

ネネは親の言いつけに従い、お行儀よくして、お勉強と習い事をしていれば良かったのです。そうすれば、好きなだけ服やおもちゃを買ってもらえましたから、村の子供の中で一番偉いとさえ思っていたのです。加えて外遊びが大嫌いで、いつも部屋で遊ぶような子供でした。ですから、迷い森に行って泥だらけになるなんてもってのほかでした。森には大嫌いな動物や虫だってわんさかいるでしょう。まったくもって想像するだけで、ぞっとすることでした。

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こんな具合ですから、ニルバーニアに選ばれたのは全くの迷惑千万だったのです。しかも、みんなの前で”わがまま”なんて言われたものですから、とてもショックを受けていました。というのもネネは自分のことを、”とっても良い子”と思っていました。叱ることなんて一度もないアルマンゾのお父様も、”ネネはとっても良い子。村を探したってネネほど良い子はみつかるわけがない”と口癖のように褒めるのが常でした。いつも身の回りの世話をしてくれる召使たちも、”お嬢様はとてもかわいくて良い子ですから、どこかの王子様がきっといつか迎えにきてくれるはずです”と言うぐらいなのです。

そういうお屋敷育ちのお嬢様ですから、ネネは夜な夜な2階の寝室の窓を開けては、夜空に浮かぶお月様をうっとり眺めて空想にふけっていました。”いったいいつになったら、私の素敵な素敵な王子様は迎えに来てくれるのかしら! きっとそれは美しいたてがみのつやめいた白馬に乗ってやってくるはずよ。しかも、1人ではないわ。何人もの王子様が私と結婚しようとやってくるはずよ。私はその中でも一番素敵で、優しい王子様と結婚するのよ。きらびやかなドレス、宝石をちりばめられたネックレスを付けて、私はお姫様になるの。結婚式は2人だけで星降る夜に教会であげるのよ!”

それなのに、人間の中では最も賢いとされる大賢者様は、すべてお見通しとばかりに、ネネの事を”ちょっとわがまま”なんてみんなの前で言うものですから、恥ずかしいやら悔しいやら。ネネはすっかりニルバーニアの事が嫌いになってしまったのです。

マボ:5歳の男の子。少し臆病で控えめだが、優しい子供。家は貧しく、町はずれの傾いた掘立小屋で暮らしている。モモ:5歳の女の子。おてんば、おしゃべりで元気な子供。施設育ちで、街一、二位を争う金持ちシュールレ奥さんにひきとられている。ネネ:5歳の女の子。お金持ちの子供で、つんとおすまししたお嬢様。

ニルバーニア:めったに人界に姿を現さない大賢者。若い娘のような顔立ちだが、老婆のような話し方をする。動物(特に鳥族と仲が良い)と話すごとができ、様々な魔法を使うことができる。自宅のログハウスでは、猫のピッピをかわいがっている。

キッチュ:エルフの女の子。愛しのバブバブ坊やを探している。人間の子供を見つけると、虫に変えようとする。

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遥ナル
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