第十章:小人村は大騒ぎ!?13 樫の木庵のマボ-大賢者ニルバーニアと双頭の魔女-(連続小説/児童文学)
「うーん、とにかく、マボさんに任せておけば、ミィちゃんも安心だね!」
「そうですよ、私たちはこの日を樫の木庵のマボの日にするように長老に頼まないといけないですね!」
「本当にねえ。マボさんのおかげで、小人村も平和が訪れるねえ」
マボはこれを聞いて、さらに心に重たい石がドスンと落ちるような気持になったのでした。マボはよろよろと階段を下りました。
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「マボさん、おはようござます!」
家族が全員そろって頭を下げました。そして、マボはお母さんが持たせてくれたお弁当を持って、再び川原広場に向かったのです。
すると、早朝だと言うのに200人もの小人たちが待ち受けていたのです。もちろん、村を救ってくれる英雄マボの姿を目に焼け付けようという考えからでした。
マボが登場すると大歓声とともに拍手喝さいが起きました。昨日弟子入りを希望した7人の戦士小人たちは前に出て、早くもひざまずいています。驚いたことに、その後ろにさらに50人の小人が弟子入り希望で加わり、同じようにひざまずきました。
小人たちの先頭にいる長老は、
「マボ様、今回の御恩、決して忘れることはござません。早速、我々は議会に今日のこの日を、樫の木庵のマボ記念日にすることを検討するよう議案を提出するつもりです。どうか、よろしくお願いいたします!」
返事をする余裕もないマボは、何とかうなずきました。しかし、小人たちはその様子を見ると再びマボを取り囲み、胴上げを始める始末です。さらに、胴上げに加われない小人たちは、万歳三唱を周りでしていました。
それが終わると、用意してあったお輿にマボは入りました。お輿の下には長い木の板が2枚とりつけられてます。それを前2人、後ろ2人、力自慢の小人が持ち上げ、いよいよ出発したのです。
「マボさん、ありがとう、頼んだよ~!」
チャッピが手を振ると、小人たちがそろって真似をしました。いよいよマボはトロル兄弟のところに向かったのでした。
樫の木庵のマボ(第1巻 全話完結)|遥ナル (note.com)
マボ:5歳の男の子。臆病で控えめだが、優しい子供。家は貧しく、町はずれの傾いた掘立小屋で暮らしている。
モモ:5歳の女の子。おてんば、おしゃべりで元気な子供。施設育ちで、街一、二位を争う金持ちシュールレ奥さんにひきとられている。
ネネ:5歳の女の子。お金持ちの子供で、つんとおすまししたお嬢様。
ニルバーニア:めったに人界に姿を現さない大賢者。若い娘のような顔立ちだが、老婆のような話し方をする。動物(特に鳥族と仲が良い)と話すごとができ、様々な魔法を使うことができる。自宅のログハウスでは、猫のピッピをかわいがっている。
キッチュ:エルフの女の子。愛しのバブバブ坊やを探している。人間の子供を見つけると、虫に変えようとする。