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第四章:ニルバーニアと選ばれし3人の子供11 樫の木庵のマボ-大賢者ニルバーニアと双頭の魔女-
「ニルバーニア様、このままでは村の人が全員、はやり病に倒れるのは時間の問題です。我々はいったいどうしたらいいのでしょうか!? 聞くところによれば、ヤドリ村ばかりではなく、世界のそこもかしこも、あらゆる国の街や村々にまで病が広がっていると言うではありませんか!? このまま好き放題にやってきた人間は、この星から必要とされずに消え失せる運命なのでしょうか!?」
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ニルバーニアは一つ一つ、大事な星石を小袋にしまっています。それから、一度手を止めて、ずいぶん考え込んでから言いました。
「……もしも、人間が消え去るのであれば、それも運命(さだめ)じゃ。人間はあまりに自分を見失い、傲慢になりすぎたのじゃ」
これを聞くと、アルマンゾさんだけではなく、その場にいた大人たちはすっかりふさぎこんでしまいました。というのも、全く思い当たる節がなかったわけでも、ないからでした。
「されど、アルマンゾさん。まだ、運命が決まったわけではござらぬぞ。気付いておるのかわからんが…この病には6歳までの子供がなぜかかからぬのじゃ。私は世界のあちこちの街や村々を見て回ったのじゃが、どこでも同じことが起きていた。なぜか子供はかからないのじゃ!」
「そ、そういえば!」
大人たちは思わず顔を見合わせました。
「だから、ここに6歳までの子供たちを集めてもらったのじゃ」
そう言ってニルバーニアは初めて、頭にかぶっていた法衣のフードを取りました。
すると、誰もが驚き、目を見張りました。皺だらけの老人とばかり思っていたニルバーニアですが、何とも美しい若い娘のような顔立ちだったからです。短めでくせっ毛の強い茶色い髪、目は快晴の空のように青い瞳をしており、誰もが見とれてしまいました。その老人のような話ぶりと全く釣り合わないニルバーニアは、いったどれほどの年齢なのかはわかりません。ここにいる誰よりも長く生きているのは確かなのですが…。
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マボ:5歳の男の子。少し臆病で控えめだが、優しい子供。家は貧しく、町はずれの傾いた掘立小屋で暮らしている。
モモ:5歳の女の子。おてんば、おしゃべりで元気な子供。施設育ちで、街一、二位を争う金持ちシュールレ奥さんにひきとられている。
ネネ:5歳の女の子。お金持ちの子供で、つんとおすまししたお嬢様。
ニルバーニア:めったに人界に姿を現さない大賢者。若い娘のような顔立ちだが、老婆のような話し方をする。動物(特に鳥族と仲が良い)と話すごとができ、様々な魔法を使うことができる。自宅のログハウスでは、猫のピッピをかわいがっている。
キッチュ:エルフの女の子。愛しのバブバブ坊やを探している。人間の子供を見つけると、虫に変えようとする。
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