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第四章:ニルバーニアと選ばれし3人の子供13 樫の木庵のマボ-大賢者ニルバーニアと双頭の魔女-

「なるほど、まだ星石は私のことを見捨ててはいなかったようじゃ!」「と、申されると!?」アルマンゾさんが目を白黒させてたずねます。「星石は選んだのじゃ、この3人の子供に迷い森に行くようにと!」「迷い森ですと!」大人たちがいっせいに声をあげます。

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「そうじゃ。迷い森の奥の奥、その奥の奥には双頭の魔女が住んでおる。道を間違えれば、地の果てにいってしまうような、険しく奥深い森の果てじゃ」
「う、噂には聞いてはいます。しかし、本当にそのような魔女がいるのでしょうか!?」
「ああ、いるとも。この世には魔女ばかりではないぞ、人の皮をかぶった悪魔だってそこかしこにおるのじゃよ。それは、ともかくじゃ…その双頭の魔女が今回のはやり病、何か秘密を知っているはずじゃ」
「本当でしょうか…し、しかし、子供たちを迷い森に行かせるなどということは…危険すぎはしないでしょうか!? マボとモモは仕方ないにしても、ネネは私のかわいい一人娘です」
アルマンゾさんは、ネネを心配そうに見やりました。ネネは「迷い森に行くなんてごめんだわ。しかも、頼りないマボと、おてんばモモとなんて、絶対に嫌よ」と内心では思ってます。

しかし、ニルバーニアは3人の子供の前に行くと、床に落ちている石を拾い上げます。そして、子供を立ち上がらせると、その石を与えてしっかり握らせ、それぞれに声をかけました。
「マボや、お前は思いやりがあって、思慮深い子じゃ。その心持を大切にしなさい。困難な目にあったとしても、きっと、誰かが助けてくれるはずじゃ。あとは、心にしっかりととどめておくのじゃ。物事は早いうちに手を打つことが大切。大事になると、火を消すのが大変じゃからのう」
マボは受け取った青色の宝石を握りしめ、強くうなずきました。

マボ:5歳の男の子。少し臆病で控えめだが、優しい子供。家は貧しく、町はずれの傾いた掘立小屋で暮らしている。モモ:5歳の女の子。おてんば、おしゃべりで元気な子供。施設育ちで、街一、二位を争う金持ちシュールレ奥さんにひきとられている。ネネ:5歳の女の子。お金持ちの子供で、つんとおすまししたお嬢様。

ニルバーニア:めったに人界に姿を現さない大賢者。若い娘のような顔立ちだが、老婆のような話し方をする。動物(特に鳥族と仲が良い)と話すごとができ、様々な魔法を使うことができる。自宅のログハウスでは、猫のピッピをかわいがっている。

キッチュ:エルフの女の子。愛しのバブバブ坊やを探している。人間の子供を見つけると、虫に変えようとする。

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遥ナル
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