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プロローグ3-9(ソック、ナウマンにつきまとう!)-サイレント・ネオ-boy meets girl-

「うん、それにしても夏のクーラーはいいなあ、ここに住みたいぐらいだ」
ソックが一向に帰ろうとしないため、ナウマンは車から出た。

それから車から離れた所にリサを連れていき、ひそぎそ話を始めた。
「ちょ、ちょっと何なの、あのおじさん!?」
リサの本音がこぼれた。
「いや、その、僕が世話になっている上司なんだよ。ソック副隊長だよ。
よくわからないんだけど、暑いから涼みたいみたい」
「涼みたいって、喫茶店でも行けばいいじゃない。なんで私たちが旅行に行くときに、わざわざ、ナウマン君の車で涼んでいるのよ!?」
とリサはしごくもっともなことを言ったが、せっかくの楽しみにしていた旅行に水が差されて、少し不機嫌になっていた。
「おーい、ナウマン」
すると、ソックが車の中からナウマンを手招きした。
「ちょ、ちょっと待っててね、理由を聞いて、すぐに帰ってもらうよ」
ナウマンはリサをなだめ、ソックの方に向かった。

ソックは窓を少しだけ開けると、あごで寮の前にある自動販売機をさして
「ナウマン、ちょっとのどがかわいた」
と催促した。
「あ、すいません、これは気づきませんでした」
ナウマンはぺこりと頭を下げると、自動販売機に小銭を入れた。
「ナウマン、アイスコーヒーだぞ、微糖、微糖だ。私がブラックが嫌いなの知っているだろ。あと3本飲みたい」
とソックはどんどん調子に乗り始めている。

ソックは手渡された缶コーヒーを1本あけて飲むと、ぷはーとおおげさに息を吐き上機嫌だ。
「いやー、やっぱり夏はアイスコーヒーに限る。クーラーのきいた車の中で飲むアイスコーヒーは最高だ!」
「そうですか…ハハ」
「ナウマン、どうしたんだ? お前も車の中に入って涼め、涼め、お前の車なんだから、遠慮はいらんぞ! 可愛い彼女も呼んでやれ」
「ソック副隊長…その…」
「どうした、ナウマン?」
ナウマンは車に入らず両手を前で組み、しきりに親指をすりあわせ、気まずそうにいった。
「なんでしょうか…!?」
「なんでしょうか…というと?」

プロローグ:3-1 3-2 3-3 3-4 3-5 3-6 3-7 
3-8 3-10

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遥ナル
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