第九章:マボと3人の小人2 樫の木庵のマボ-大賢者ニルバーニアと双頭の魔女-(連続小説/児童文学)
すると、切り株からちょこんととんがり帽子が3つ、飛び出してくるのが見えました。それは、赤、青、黄色をそれぞれしていました。マボは思わず目をごしごしとこすりました。それから、間もなくのことでした。今度は帽子の下にあったかわいい顔が3つ、切り株の上に飛び出したではありませんか! 実をいえば切り株に隠れていたのは、3人の小人だったのです。
マボはキッチュからもらったエルフのメダルを首からさげているおかげで、妖精の姿が見えやすくなり、その声も非常によく聞こえるようになっていたのです。仮にマボがメダルを持っていなければ、小人の存在にもその声にも気付くことはなかったでしょう。それぐらい、小人はすばしこく、とても小さな声で話すのです。
一方、小人たちからしても、人間を見つけでもしたら瞬く間に姿を隠すべき対象です。なぜなら、人間はエルフだけでなく、小人にだって好かれていません。ですが、エルフのメダルをかけているものですから、思わず小人たちもマボのことが気になって観察していたのです。
小人たちは3人おり、みんな子どもでした。リーダー格の子はチャッピと呼ばれており、一番小さい子はチビ、体が大きい子はデカでした。小人たちはマボを見つけると、切り株に身をひそめたのです。
「あれ、あれれ…あんなところに人間がいるよ!」
「なんでこんな森の中に人間がいるんだろう?」
「人間といっても子供みたいだねえ、でも、人間なんかに関わると、ろくなことはないって父さんも言っていたよ。さっさと逃げよう」
こんな具合に会話を始めました。それがそよ風にのり、マボには小人のささやきとして聞こえてきたのでした。小人たちは会話を続けます。
「でも、デカ、チビ、あの子が首に下げているものをごらんよ。あれは妖精の騎士だけが持つことができるエルフのメダルじゃないかな!?」
「本当だ、でも、なんであんな子供がメダルを首から下げているんだろうねえ!?」
「きっとあの子は剣の使い手かもしれないねえ」
「弓の名手かもしれないよ!」
「こん棒を振り回すのかもしれない!」
と口々に言っています。マボはすっかり小人たちに気付きますと、まるで気づかないふりをして、よそを見ながら高らかに口笛を吹き始めました。
マボ:5歳の男の子。少し臆病で控えめだが、優しい子供。家は貧しく、町はずれの傾いた掘立小屋で暮らしている。
モモ:5歳の女の子。おてんば、おしゃべりで元気な子供。施設育ちで、街一、二位を争う金持ちシュールレ奥さんにひきとられている。
ネネ:5歳の女の子。お金持ちの子供で、つんとおすまししたお嬢様。
ニルバーニア:めったに人界に姿を現さない大賢者。若い娘のような顔立ちだが、老婆のような話し方をする。動物(特に鳥族と仲が良い)と話すごとができ、様々な魔法を使うことができる。自宅のログハウスでは、猫のピッピをかわいがっている。
キッチュ:エルフの女の子。愛しのバブバブ坊やを探している。人間の子供を見つけると、虫に変えようとする。