砂漠の陣1-サイレント・ネオ-boy meets girl-
「ムサシ君、よろしく!」
オジャムが差し出した手を、ムサシはぱんとたたくと、「さてと、ララに向けて出発だ!」ムサシは威勢よく言ってから運転席に、オジャムとサシャは後部座席に乗り込んだ。
トレーラーのエンジンが起動し、アイドリングをはじめる。
快晴の空に浮かぶ太陽に照らされ、白い光沢のトレーラーが銀のように輝いた。こうして一行はララに向けて出発することになった。
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-カイバの西20㎞ 砂漠基地-
今ここに続々とカイバのCAや兵士が集結しつつあった。中型都市のカイバの最大CA動員数は500機と言われていた。しかし、今、砂漠基地を取り囲むように集まっているCAの数は1000に達しようとしている。これはカイバの兵だけではなく、傭兵や砂漠で暗躍する悪党どもがシャギ軍有利と見て馳せ参じていたのだ。
砂漠基地の指令室から、カイバの新提督シャギは満足そうにその様子を眺めていた。宝石をちりばめた玉座と呼ばせる椅子に座っており、その周りには軍師のマーバイムだけではなく、シャギ十将と呼ばれるとりまきたちも集まっていた。
「ふふふ…余は満足じゃ、壮観な眺めじゃ。まさに千年王国の幕開けにふさわしい光景じゃ」
「閣下、ご覧いただきますように、我が傘下にはせ参じたCAの数1000に達する勢い」
シャギの玉座の横に並んで立っている参謀のマーバイムがやぎのような茶色い、細く整ったあごひげをなでながら言った。
「1000機とは驚き、大型都市とて1000を集めるは至難の業、まして中型都市でその数を集められるのはシャギ殿をおいて他にはおりませぬ。このムドーといえども驚かずにはおられませぬ」
サシャを捕まえることに失敗した客将ムドーだったが、シャギは提督の孫娘のことなどたいして重要視していなかったため、相も変わらずの好待遇を受けたいた。
「はっはっは…さすがはムドー先生、一流のパイロットというのは人を愉快にさせる言葉も知っておるものじゃ。他のものにも少しは見習ってほしいものよ」
いつになく上機嫌のシャギは、まばゆいばかりの宝石がきらめく玉座に深くこしかけ、愉快そうに笑っている。シャギを取り巻くシャギ十将たちも、愛想笑いを浮かべていた。
その中に一人だけ、眉一つ動かさずしかめっ面をしている男がいた。
サイレント・ネオ-boy meets girl-(砂漠の陣/先行配信中)
BGM
-登場人物-
テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?
ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機墜としを達成、英雄認定及びスーパーエースの称号を得た。地球のCAリーグにも参加している人気パイロットでもある。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。
ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。
シャギ:極悪非道の仮面騎士と呼ばれる男。若いころは、義侠を持ち黄金のシャギと呼ばれていた。青年時代に地元の若者たちと悪党を結成、砂漠地帯で暴れまわったが、ゲンバ提督の娘に手を出したことで怒りをかってしまう。顔を切り刻まれ、腕と足を切り落とされたあげく、投獄された。しかし、復活後は人が代ったように残酷になり、シャギ党を結成して、ついにはカイバの提督の座を強奪するに至った。
ムドー:月歌だけでなく、コロニー連合などで十数年の間、傭兵として戦場をわたりあるいてきた猛将。残酷な攻撃をすることもあるが、騎士道と義理を尊ぶ武人。シュトライツァー党では義兄弟のシュトライツァーの副将として活躍、北国随一の武将とまで呼ばれるにいたった。ダークブルーのパンツァーを愛機としており、精鋭の青備え50機を率いる。
ガスズ:ムサシのライバル。CAリーグでは常にムサシと同時に昇級しており、何度か土をつけている。黒いCAヤシャをあやつる。唯我独尊を地で行く男。
マギー教授(おねえ)とみなみちゃん(アイドル):一年前に地球(テラ)から月歌に向けて出発したが、未だに到着せず。
かつてスーパーエースだったマギーは戦闘での怪我のため、現役を引退して士官学校で教授をしている。裏の顔はおねえである。