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ムサシ、月歌に到着3 サイレント・ネオ-boy meets girl-

「あんた大型免許は持ってるの」
「持ってるよ、俺は建築現場でアルバイトしてたから」
「それなら、あてはあるわ…ゲンさんっていう小さな整備会社をやっている社長がいてね。ここの常連なんだけれども。その人にたずねてみたらいいわ」

この時、タイミングよくそのゲンという中年男性が店に入ってきた。

角刈りの頭に顔は良く日に焼け、鼻の先は赤く、つなぎの作業服を着ている。その作業服からぷーんと油のにおいが漂ってきた。せっかちそうなゲンは、座席に座るなり「おばちゃん、いつもの!」と早口で言った。

「あら、噂をすれば何とやらね。ねえ、ゲンさん、お客さんよ。食べるのは後回しね」

親切なおばちゃんはそういうと、再び長ネギを切る作業を再開した。

「ほう…俺になんか用かい、お兄さん?」

ゲンはいかにも職人という口調で、ぶっきらぼうに言った。

「ああ、CAを運ぶトラックでも借りられないかな?」
「ほう、お兄さん、その若さでCA使いか…へえ、わざわざ地球(テラ)からねえ…」

ゲンはそう言うと、ムサシを値踏みするように頭から足元までゆっくりと見た。

「そうだな…CA用の大型トレーラーが一台余ってるな。よければ見てみるか?」
「すまないね」

ムサシは商談成立とばかりに立ちあがった。
さらに、テーブルにチップも入れた金額を置き、おばちゃんに礼を言って店を出た。

-登場人物-
テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?

ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機落としを達成、スーパーエースに認定された。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。

ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。

サイレント・ネオ-boy meets girl-(先行配信)

サイレント・ネオ-boy meets girl-

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遥ナル
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