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テディ・Dと親友フローニ6-サイレント・ネオ外伝-

全編(全17話)はこちら※一部シリアス、ショッキングな内容も含まれます。

「そうね、あなたがそういうのなら、私も並ぶことにしよう!」

フローニはこうして、研究所に来た初日に地下の独居房にいられる罰を受けずに済んだ。しかし、結局ことあるごとに反抗する癖はやまず、何度も独居房に入れられてしまうのだが…。

こんな出会いがあったからだろう、二人はすぐに打ち解けて、心を許しあうようになった。
テディ・Dには研究所で初めて友達といえる存在ができた。
一方、反抗的なフローニは何かと浮く存在だったから、二人は馬が合ったのかもしれない。

テディ・Dとフローニは、暇を見つけると屋上に行き色々なことを話した。テディ・Dは自分の手首に傷がいくつもある理由も、思い出したくはない過去も、話したいことはすべて。
フローニも父親が飲んだくれで母親は早くに死んだこと、ララにある家が貧しくて夜遅くまで働かねばいけなかったこと、ついに借金で手が回らなくなった父親に請われ研究所に来たこと、将来は歌手を夢見ていること、何でも話したのだった。

いつかの夏の星降る夜もこっそり部屋を抜け出して、屋上で2人だけで夜空を眺めたことがあった。

「テディ・D、あなたは98番とか9.8とか、そんなふうな名前じゃないの! 絶対に名前を大事にしなきゃいけないのよ」

フローニは感情が高ぶりやすかった。だから、自分のことのように言うのが常だった。 これは二人の定番の会話だった。

「フローニ、私は名前なんてどうでもいいのよ。それに、私はあなたのように夢なんてないの」

14話まで先行配信中

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遥ナル
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