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「僕が眠るまで、目を開けておいてね」
もうすぐ5歳になる息子だが、寝る時はパパではなく、ママじゃなきゃ眠れない。
というか、眠たくなると、歯磨きも読み聞かせもママ、ママ…!!とにかくママじゃなきゃ。
ママがごく稀に不在の時は(諦めて)眠る、けれど、朝起きたら、必ず隣にママはいる。
私からしたら、パパは息子とよく遊んでくれるし、何より私より優しい。
でもダメなんだ。
そんな息子ともうすぐ離れて寝なければならない出来事が必ずやってくる。そう、私の出産と入院。
最低4日間のママの不在。息子は息子なりにパパと楽しく過ごすとは思うのだが、今まで約5年、ママと一緒に眠らない夜はなかった。
心配し、寂しがっているのは私の方かもしれない。
きっと、出産が我が子と初めて離れて過ごす夜、というお母さんたちもいるんじゃないかな。
特に、子どもが小さい程に。
みんなどうやって超えてきたのかな、と想像する。
うちの息子は特に怖がりというわけではないと思うけれど、
寝る時に時々「僕が眠るまで、ママは目を開けておいてね」と言う。なんて可愛いんだ。
でもこの4日間は、それが果たせない。
そこで私は、息子に新しくぬいぐるみを買うことにした。
うちにはぬいぐるみは幾つかあるが、眠るときの相棒として迎えたことはなく、小さなものが多い。
今回は相棒なので、少し大きめで抱き締められるもの。そしてフワフワで柔らかいという手触り重視。
悩んだ結果、愛らしいおさるのぬいぐるみを迎えた。
5歳がぬいぐるみを喜ぶのか?!という心配はあっけなく打ち破られ、
こちらもびっくりする程、喜ぶ息子。
名前もすぐに“うっきー”に決まった。
「今日から、うっきーも一緒に寝ようね。
うっきーはきみが眠るまで必ず目を開けているんだよ。
そして眠ったら、うっきーも眠るよ。
朝はどんなに早く起きても、必ず、うっきーの方が先に起きてるから。」
うっきーは普通のぬいぐるみ。
もちろん目を閉じるといった小細工もなく、そのつぶらな瞳はずーっと開いたままなんだけれど。
そういう事になった。
その夜から、息子とうっきーは毎日、一緒に寝ている。
うっきーは息子のすごい寝相にぐちゃぐちゃに巻き込まれながらも、にっこり微笑んで、傍らにいてくれている。
もうすぐ訪れる母の不在期間、いや、これから先、心許ないときや、お喋りしたい時にも、うっきーが相棒になってくれるかもしれない。
フワフワのうっきーが、息子を少しでも優しい気持ちにさせてくれたらな。
頼んだぞ、うっきー。
今夜も安心して、眠れますように。