見出し画像

儲け話はそう転かがってなかい

母は学会員で僕は宗教二世、物心ついた時には御本尊(正宗の信仰対象で、漢字がいっぱい書いてある掛け軸)があって、それは正宗から授与されたもの(オリジナル)だ。で、僕は1986年に脱会、1990年に鹿児島の実家をでた。その後の学会内部の事情は知らない。

1991年に正宗は学会を破門、学会員に対しオリジナルの授与をやめた。学会は正宗を悪し様に罵っていた。そして、学会はオリジナルが手に入らなくなった学会員のためにカウンターフィットを授与してたって話は、知らないなりに知っていた。

2023年、熱心な学会員であった叔母を両親が看取り、僕は遺骨を大分の学会の墓地に運ぶため、九州に行った。両親は長距離の運転が辛い世代だ。運転手は僕だ。お客は遺骨。

道中、僕は母に尋ねた。

「オリジナルはどこ?」
「あんなものはとっくに」

学会はオリジナルをカウンターフィットに交換していたのだ。

「...いまはメルカリで高くて」
「...」

相場はハービー・ハンコック『メイデン・ボヤージュ』のオリジナルと同じくらいです。おしまい。