【映画感想】ジュリー&ジュリア(2009)
ジュリアの育ちの良さに嫉妬する。
時代背景もあるんだと思うんですが、メリル・ストリープ演じるジュリアの育ちの良さに嫉妬してしまうんですよね。なんとなく。
外務省勤務の旦那様(演じるのはスタンリー・トゥッチ『シェフとギャルソン、リストランテの夜』の監督)についてきたフランスで、フランス語もよくわからないけど、街の人からどんどん好かれていくっていうのは知性もさることながら育ちの良さがあるんじゃないかなとかおもいました。
この映画は個人的には前半というか、最初の15分くらいに良さが詰まりまくってます。
ジュリアとポールが初めて入ったレストランで舌平目を美しく分解して提供するギャルソンとその感動を素直に伝えるジュリア。
あまりのおいしさにポールに「あなたも食べてみて!」とそっとスプーンを差し出す。漕げたバターの匂いと甘い舌平目の柔らかい白身のおいしさを映像見ている側にも感じられそうなシーンです。
そしてこの二人の関係性もこのエピソードですべて語り合っててイントロとして申し分ないなぁとおもっちゃったわけです。
等身大のアホの子にほっとする。
この作品のもう一人のヒロイン、ジュリーは挫折をすごい感じている女性。
とはいえ、ちゃんと仕事もあるし、会社もそこまでギスギスしてない。新婚の旦那さまもいる。直近の悩みは古いピザ屋の2階のアパートってことくらい? それでも90ヘーベー近いんですが。
胃袋を掴みまくった旦那様に勧められてブログを始める。
ワイン煮を漕がしたり、ロブスターが鍋から飛び出てきたりと失敗もするけど、一年間の間の話と考えると順調じゃないんだろうか? とおもいつつ、ジュリーのあほな感じに結構癒されます。
まるで友達のあほ話を聞いているような気分になります。
ただし、ジュリー&ジュリアというタイトルですが、この二人の人生はどこにも交わらないんですよね。
ジュリアの人生も追うんですけど、ジュリーの考えるジュリアは多分違う人だったんじゃないかな? と思いました。一方的な友情を感じていたジュリーの気持ちを砕く事件も起こりますしね。
本当のところジュリアはどう思ったんだろうか? とかそのあたりは正直言って良くわかりません。
料理映画は料理が如何に美味しそうかに尽きる
そうおもうんです。所々とても美味しそうだなーって思ったんですけど、ただ、だんだんと料理は見えなくなっていくというか、つくってるけどできあがりはちゃんと見せない感じになっていくのが残念だったなぁ。
見終わって、ブルスケッタや赤ワイン煮込みやら作ってみたくなりますね。デザート類はあまりでなかったのもちょいと残念でした。
ジュリアのキッチンはワシントンにある国立歴史博物館(The National Museum of American History)で展示されているそうで、ジュリア・チャイルドという人が如何に偉大かというのがよくわかります。
監督・脚本・製作:ノーラ・エフロン
キャスト:メリル・ストリープ
エイミー・アダムス
スタンリー・トゥッチ
クリス・メッシーナ
3/1000