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読み聞かせ

小学3年生の時の担任の先生にずっとお礼を言いたいと思っていました。下校前の終わりの会で、今日はここまで、今日はここまでと、「エルマーの冒険」を読んでくださったことを私はこれまで何度も、何度も心の中で感謝しました。でもきっと、思っただけでは届かないのでここに書きます。
坂本先生、あの時本当にありがとうございました。

読み聞かせの記憶はその一度きりなのですが、
その体験が私の中で生きて響いたことを思うと、
いつかは読み聞かせ、声で人の心に何かを届けることができる人になりたいと思ったものです。
今も思っています。

日常の雑多に飲み込まれる毎日があったとしても
『最後は素敵なストーリー』を密かに植えられているというのはもう、時にいい勘違いをしながら、
前に前に進めるものです。

20代の頃でしょうか。眠っていたエルマーが目を覚ましたような、30代にはゴリラの前にいたような、
そして40代、ワニの背に乗り、どうやってリュウの綱を切ろうかと物語に私が同化したことも、
あったかもしれない。

その物語(アトラクション)の終盤線、最後に
よくわかったこと、ガツンと気づいたことは、
すべての登場人物はあなたなんですよ。
すべての背景、小道具さえも
あなたなんですよ。
ということなんです。
私はリュウの翼をねじ曲げたことのあるゴリラだったし、甘いものに並んだワニでもあった。リュウの綱はなんと自分自身の歯で喰いちぎったんだという
何とも可笑しい種あかしをくらったのです。
このあたりになると、その人の感じ方、
としか言いようのないどうしようもない感想ですが。

本当にありがとう、それから
本当に自分がいつかありたいな、
と思うのが読み聞かせの世界。声で運ぶ世界。


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