見出し画像

すいかのスカイ物語 1


 つむじ風 吹く

アンテナ正面 

人でいう、真上の空に

吸い込まれるような時空
発見

あっ、と驚く 

空想好きなスイカ


天頂にある暈は
いつものと違う、

空おたくのスイカでも 
今まで感じたことがない、

映画の世界に呼ばれたような
荘厳な音楽とともに現れたような
そして、目があってしまったような

そのことを道ゆく人に声かけたけど
スイカの言うことを聴く人はいない
物が語ることが好きなおばちゃんに言うと
よっしゃ、写真を一枚

巨人に見られているような、
顕微鏡で覗かれているような、
誰の目でもないスイカの記憶

地空では旋回空気が ゆっくり渦巻き
地上ではつむじ風が、ふっと立ち昇り
地面が浮いたような、スイカにとって

いや、地球にとって
時空がゆっくりと入れ替わりはじめる
誰にも気づかれないようにそっと行われる
スーッと 動きはじめている

見える世界はひとり、ひとつあるけれど
これはスイカの世界に現れたひとつのこと
それはスイカの悩みさえも飛んでしまうような

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?