シャイン
鑑賞時の感想ツイートはこちら。
1996年のオーストラリア映画。少年期から天才と言われ将来を期待されながらも、父親からの過干渉や抑圧などの影響により精神を病んでしまったピアニスト。精神病院での十数年を経て、彼が音楽の世界に復活する姿を描いた人間ドラマ作品です。
主人公のモデルは、実在するピアニスト、デイヴィッド・ヘルフゴット。作中のピアノ・シーンは、ヘルフゴット本人が演奏しています。
中年期以降のヘルフゴットを演じたのは、『英国王のスピーチ』のジェフリー・ラッシュ。(少年期:アレックス・ラファロウィッツ/青年期:ノア・テイラー)
ジェフリー・ラッシュは、本作でアカデミー主演男優賞を受賞しています。
監督は『アトランティスのこころ』(2001年)、『幸せのレシピ』(2007年)のスコット・ヒックス。
父の毒親ぶりが、観ていてつらい…涙
もともと音楽が大好きなわたくし。音楽家を描いた作品は、好んでよく観ています。
本作も “ピアニストが主人公の感動作” と聞いたのが、観るきっかけでした。
……が!!!
少年期~青年期で描かれる、主人公の父親とのエピソードが観ていてつら~い!涙
(毒親育ちの方や、子育て中のパパ&ママさんは、もしかしたらメンタル的にしんどくなってしまうかも……。なので、本作を観る時はちょっとご留意くださいね)
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○ 息子が幼い頃から「ピアニストになれ」と、独学で父みずからピアノの英才教育をする。
――というのも、父親自身が、子どもの頃「バイオリニストになりたい」という夢があったのに、反対する親からバイオリンを叩き壊され、断念してしまった経緯があるからなんですね。ああ、負の連鎖。
古いけれど『巨人の星』の星一徹父ちゃんを思い出してしまいました。自分が果たせなかった夢を、我が子に押しつける父。
ヘルフゴットの少年期は 1950~1960年代ですから、日本では昭和の “雷親父” がまだいた頃。
オーストラリアに雷親父がいたかどうかはわかりませんが、時代的にも「俺の言うことは絶対」というタイプの父親が今より多かった背景があるのかもしれません。
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○ コンクールで息子の才能が注目され、その道の専門家に師事できるチャンスが訪れるが、かたくなに父が固辞する。
弱い立場の子どもを相手に、家庭内という閉じた世界で “自分の論理” を振りかざす(誰も反論できない状況)というのが毒親の特徴なので、客観的な他者の目を受け入れたがらないんですよね。
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○ 息子に海外留学(名門校)の道が開かれても、自分のコントロール下から離れてしまうので、手元から出すまいと猛反対する。
このお父さん、本人は良かれと思っているのかもしれませんが、どう見ても息子の足を引っ張っているのです。
息子がどれだけ頑張っても、さらに高い要求を課してくる父。(ブラック企業の上司か!笑)
いやいや、お子さんのこと、認めてあげて〜! 褒めてあげて〜!
人がしあわせに生きるためには「自己肯定感」がとても大事なのになぁ。
ううう……。なんだか書いていてつらくなってきちゃう。悲
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でも、子離れが難しいという点に関しては、わたしにも少しわかるなぁ。
シングルマザーで、長く息子と二人暮らし。息子の就活時代、遠方の企業の選考が進んだりしていた頃は、もちろん応援はしていたものの「息子が独立して、一人暮らしになってしまうかも……」と思うと不安で、ややメンタルが沈み気味だったので。汗
(結局、息子は自宅から通える仕事に就いたので、現在も同居中です。仲良く朗らかに暮らしています♩)
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○ 補足
本作での父親の描き方については、ヘルフゴットの家族(姉など)から「事実と異なる」として抗議の声があったようです。病気についても「父親が原因ではなく、家系的なもの」との主張。そうであってほしい……。
音楽は人間への贈り物
ふぅ。ちょっとつらい話が続いたので、話題を変えましょう!
本作で重要なキーとなる、ラフマニノフの『ピアノ協奏曲第3番』を弾くシーン。
○ 青年期のヘルフゴット役:アレックス・ラファロウィッツ
○ 演奏:デイヴィッド・ヘルフゴット
弾き終わった直後の、カメラが横になる演出、良いですね~!
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こちらは、超絶技巧で有名なリムスキー=コルサコフの『熊蜂の飛行』を弾くシーン。
○ 中年期のヘルフゴット役:ジェフリー・ラッシュ
○ 演奏:デイヴィッド・ヘルフゴット
彼を救ったのは、やはり大好きな音楽でした。
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よく言われることで、もはや耳タコな感もありますが、
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「音」を「楽しむ」と書いて、「音楽」♩♩
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芸術家には、時にストイックな面も必要なのかもしれません。ですが、音楽は苦しみを与えるものではなく、できればすべての人に “歓び” を与えるものであってほしいなぁ。わたしの願いです。
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