スモーク/SMOKE
舞台は、ニューヨークのブルックリン。
街角にある小さな煙草屋を営む主人公・オーギーと、店にやってくる人々を描いた作品です。
鑑賞時の感想ツイートはこちら。
オーギーと友達になりたい!
ハーヴェイ・カイテル演じる煙草屋の主人、オーギー。この人がまず、渋いです! こなれていて、程よく力が抜けている。「大人の男~」という感じ♩(近所にオーギーのお店があったら、ちょっと通いたいかも。笑)
彼の煙草屋には街の常連さんが次々とやって来て、他愛もないおしゃべりに花を咲かせ、笑い合い、また去って行く。昨日も、今日も、たぶん明日も――。日常。ささやかな日々。
一見、繰り返しの退屈な毎日のように見えるオーギーの日常だけれど、彼はそうは思っていない。毎日、毎日、同じ場所から、店先の風景を写真に撮っているから。定点観測のように。その枚数は、すでに4000枚!
この話を聞いて、すごく「素敵だなぁ♡」と思いました。誰に見せるでもなく、ごくごく個人的な趣味(ライフワークとも言える)として、こんな習慣を続けているオーギー。
わたしね、映画を観るのと同じくらいに好きなことが「お散歩」なのです。会社勤めをしていた頃は、それこそ、毎日毎日、お昼休みや通勤の行き帰り、日常の中でお散歩していました。
朝起きて、仕事へ行き、家に帰る――変わり映えしない毎日のように見えても、お散歩していると、季節の移ろいや、街の風景の変化、偶然出逢う動物たち、すれ違う人々に垣間見える小さなシーンなど、いろんな発見があるんですよね。
なので、オーギーが撮りためた写真たちを見てみたいなぁ……って、すごく惹かれてしまいました。
それでも "Life goes on" なのさ
物語に登場する主な人物はこちら。
オーギーとこれらの人々が繰り広げるエピソードを、丁寧に、味わい深く描いてゆきます。
それぞれが過去に悲しみを抱えているのですが、その描き方がなんとも洒落ているというか、無理に盛り上げようとしないというか。
人生経験を重ねた年代が観ると「うんうん、あるよね」と、静かにうなずきながら、察しながら、相手の身の上話を聞いている感じなのです。
あたたかい嘘
この映画の登場人物たちは、いろんな場面で嘘をつきます。本当の気持ちを隠す嘘。ふんわり漂う煙のように、本心の輪郭をぼかす嘘――
特に最後の、オーギーがポールに語るクリスマスのエピソードは、心に残る本当に秀逸なお話で、この映画の良さを綺麗に締めくくってくれます。
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