セント・オブ・ウーマン/夢の香り
鑑賞時の感想ツイートはこちら。
1992年のアメリカ映画。アル・パチーノ演じる気難しい盲目の退役軍人と、全寮制名門校の奨学生である心優しい苦学生。二人が数日間の交流を通して友情を築き、希望を見いだしてゆく様子を描いた、ヒューマンドラマ作品です。原題 "Scent of a Woman"。
アル・パチーノの出演作で大好きな映画!
「アル・パチーノ」。その名を呼ぶだけで、映画スターへの憧れや畏怖の念さえも湧いてくる大俳優。素敵ですよね~! わたしの大好きな俳優の一人です♡
最近では、Netflix オリジナル作品『アイリッシュマン』(2019年)に出演し、話題になりましたね。
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アル・パチーノの一番の代表作といえば、何といっても『ゴッドファーザー』のマイケル・コルレオーネ役!
ふぎゃぁあぁーー!
\カッコイイ!!!/
映画そのものも、主役を演じるパチーノも、とにかくカッコいいんです♡
わたし、『ゴッドファーザー』をはじめて観た時は
「こんなに凄い映画があったのか!」
と、衝撃を受けました。
そして、うれしくなりました。だって、『ゴッドファーザー』のように、わたしがまだ観ていない、これから出逢うはずの素晴らしい映画が世界にはたくさんあるんだ!――と思えたから♩
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大好きなアル・パチーノの出演作は『スカーフェイス』や『ボーダー』など他にもいくつか観ていますが(どんどん観たい!)、その中でも本作『セント・オブ・ウーマン』と『ゴッドファーザー』の2作品は、わたしの大好きな “パチーノ映画・ツートップ” です♩
丁寧に描かれる物語の背景
作品の序盤は、青年チャーリー(クリス・オドネル)が全寮制の名門校で過ごす、感謝祭前の様子が描かれます。
いわゆる名家のご子息が代々通うような、伝統ある学校。広々とした敷地に、いくつも並ぶクラシックな石造りの校舎。生徒たちは、地位や財産のあるハイクラス家庭の “お坊ちゃま” ばかり。先生のことは "Sir" を付けて呼びますし、先生が生徒を呼ぶ時も "Mr. 〇〇" です。
チャーリーの同級生として登場する “ご学友” には、若き日のフィリップ・シーモア・ホフマンも! 彼を含む学内の悪ガキ “坊々” グループが、ある騒動を起こします。
騒動には直接関係のないチャーリーも、運悪く “とばっちり” を受ける形で、重要参考人として学長から呼び出され、難しい選択を迫られることに――。決断までの猶予期間は、感謝祭の休暇明けまで。
こうして、チャーリーの普段の生活、置かれている状況、抱えているトラブル…… などが、冒頭の30分で丁寧に描かれています。
トーマス・ニューマンによる音楽が、また良い♩
上記のように、伝統校の学園風景が描かれてゆく本作のオープニング。この時に流れる音楽がまた素敵なのです♩
オーケストラの演奏をバックに、途中(0:55頃)から入ってくる旋律の音色が、とっても綺麗でしょう? 良いですよね~♡
この音色は、たぶん打弦楽器…… おそらく「ハンマー・ダルシマー」かなぁ……? と思うのですが、どうでしょうか?
ハンマー・ダルシマーとは、こんな楽器。
透明感のある、神秘的な響きですよね~♩ 今にもエルフが出てきそう!笑
上記の印象的なメインタイトル曲をはじめ、本作の音楽は『アメリカン・ビューティー』、『1917 命をかけた伝令』など、多数の優れた映画音楽を手がけているトーマス・ニューマンによるもの。サウンドトラックは、こちら。
スレード中佐の人物としての深み
スレード中佐を演じたアル・パチーノは、本作の演技でアカデミー主演男優賞を受賞しています。
兄弟などの肉親に対しても誰彼構わず悪態をつき、人から敬遠され、みずから孤独を深めるような生き方をしてきたスレード中佐。
唯一、彼のことを嫌わずに「芯は優しい人なのよ」と自宅の離れに引き取ったのが姪。姪は家庭を持っていて、夫と小さな子どもが二人。
姪一家は、感謝祭の休暇を利用して、夫の実家へ帰省する予定でした。ところが、一緒に行くことを中佐が拒んだだめ、留守中、盲目の中佐のお世話をする人が必要になり、アルバイトを雇ったのです。
一方、クリスマスに帰省する旅費を稼ぐため、感謝祭の休暇中、バイト先を探していたチャーリー。姪の家へ面接に訪れ、ここではじめて中佐と出会うことになるのですが、とてつもなく気難しく、軍隊式に大声で威張るスレード中佐。チャーリーは最初から圧倒されてしまい――。
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盲人を演じるため、視線をまったく動かさないアル・パチーノの演技は、本当に見応えアリ!(わたしの母方の祖父も全盲だったので、パチーノの自然な演技に驚きました)
などと まくし立て、上官のように振る舞う中佐に圧倒されながら、辛抱強く付き合うチャーリーも かなり偉い!笑
身近な人間から見ると、とにかく “困ったちゃん” でしかないスレード中佐なのですが、問い合わせの電話で、飛行機で、ホテルで、高級レストランで――様々な場面で接する女性たちに対しては、礼儀正しく、ユーモアもあり、堂々とした紳士ぶりを発揮する一面も。
チャーリーと過ごす数日間、様々な面をのぞかせながら、ある時には女性についての持論を語ったり、ある時には鋭い洞察力をもとに示唆に富んだ発言が出たり。かつては優秀な上官だったであろう彼の、良きメンターとしての魅力もたっぷり描かれています。
また、人生に絶望し、見えないはずの瞳に「深い孤独」や「闇」をたたえている中佐の姿にも、思わず息を呑みます。人物に あの「重み」と「深み」を出せるのは、さすがアル・パチーノだなぁ! と。アカデミー主演男優賞も納得の名演技です。
スレード中佐の絶望は、視力を失ったことも大きな要因ではあるでしょう。でも、彼が一番腹を立てているのは、人生の様々な岐路で、安易な方の道ばかり選んできてしまった自分自身に対してなのかもしれません。
『セント・オブ・ウーマン』と香水
タイトルの通り、本作では “香り” が大切なモチーフとして使われています。目が見えない分、スレード中佐は驚くほど繊細な嗅覚の持ち主で、出会った女性が纏っている香りをピタリと言い当ててしまうのです。
作中、中佐のセリフを介して、いろいろな香水の名前が出てくるのですが、これがまた、わたしの趣味嗜好にジャストで刺さりまして!
わたし、子どもの頃から、良い香りのするものが大好きなんです♡
古くは、女児向け雑誌のページなどにある「ここをこするとレモンの香りがするよ!」なんていうものから、恋コロンシャンプーまで、良い香りがするものとあれば、くんくん、くんくん、嗅いではうっとりしている子でした。笑
オーデコロンをつけ始めた思春期から大人になった現在までは、いくつかの香水遍歴を重ねております。
アロマオイルも大好き! いつも数種類の精油を常備していて、おでかけの時にハンカチに数滴落としたり、夜眠る時に枕元に香らせたりして楽しんでいます♡
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そんな訳で、作中に名前が登場する “香り” についても、本作を観た時から興味津々です♩
それぞれ、どんなシーンで出てくるのか、本編でチェックしてみてくださいね。
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この中でも特に「フローリス」は、作中でスレード中佐も触れているようにイギリスの由緒あるブランドなので、英国大好き人間のわたしとしては、もう気になって気になって!
映画を観た二日後には、伊勢丹のオンラインストアでポチっていたという……♡笑
それでも飽き足らず、その半年後には、国内有数の品揃えを誇るという新宿伊勢丹のフレグランスコーナーまで出向き、フローリスの香水あれこれを “くんくん” しまくってきました♩
いろいろ試した末、今は「ナイトセンテッドジャスミン」を手元に置いています。
タンゴと演説のシーンは必見!
これから観る方の楽しみを奪いたくないので詳細は伏せておきますが、本作の中でも わたしが特に好きなシーンをふたつ、ご紹介しておきますね。
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〇 レストランで女性とタンゴを踊るシーン
ニューヨークに赴き、チャーリーと共に高級レストランを訪れるスレード中佐。たまたま他のテーブルに居合わせた、一人の若い淑女に声をかけます。
このシークエンスの一連の会話の流れと、タンゴを踊るシーンが本当に大好き!♡
映画らしい、うっとりするような美しいシーンです♩
お相手の女性「ドナ」を演じるガブリエル・アンウォーの、清楚で品のある美しさといったら! 本当に “輝くばかりの” という表現がぴったり……♡
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〇 委員会での中佐の演説シーン
こちらも、映画好きの間では必ず話題に挙がる、印象的なシーン! 心に響く名演説です。高潔な魂とは、何か。
中佐が事あるごとに言う口癖、
が出た瞬間、「うわぁぁーん♡ 中佐―!!」と駆け寄ってハグしたくなっちゃいますよ♩笑
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委員会のシーンからラストまでの流れも、爽やかさと中佐の粋さが合わさって、
という満足感でいっぱいに。
本当に本当に、何度でも観たい、おすすめの映画です。
興味のある方は、機会がありましたら、ぜひ!
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