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クレアモントホテル
鑑賞時の感想ツイートはこちら。
『クレアモントホテル』を観た。BSプレミアムにて。良作! これは良作! 観ているあいだ、ずっとうれしくて笑顔になってた。にまにま♩ それにしても、作家志望の青年(ルパート・フレンド)が美し過ぎて…うっとり。あんな青年に助けられたら、わたしなら恋してしまうね♡ もう一度観たい映画。
— もりはるひ (@haruhi_mori) November 17, 2014
2005年のイギリス/アメリカ映画。ロンドンの長期滞在型ホテルで暮らす老婦人を主人公に、偶然ひとりの青年と出逢い、交流を深めてゆく姿を描いた心あたたまるヒューマン・ドラマ作品です。
原作は、イギリスの作家エリザベス・テイラー(往年の大女優「リズ」とは別人)の同名小説。あまりメジャーではないけれど、隠れた良作です。原題 "Mrs. Palfrey at the Claremont"。
優しい、現代の「おとぎ話」♩
主な登場人物
〇 サラ・パルフリー(ジョーン・プロウライト)
最愛の夫に先立たれた老婦人。娘に頼ることなく人生の晩年を自立して生活しようと、ロンドンの小ぢんまりした長期滞在型ホテル「クレアモント」へやって来る。愛称「ササ」。
〇 ルードヴィック(ルパート・フレンド)
作家志望の好青年。ある日、街で困っていたサラを親切に助けたことから、彼女との交流が始まる。愛称「ルード」。
わたしは常々「この先、年を取ったら、願わくば "上品な老婦人" になりたいものだなぁ――」と、思っています。
たとえば、こぎれいに保たれた真っ白な髪、流行に左右されない質の良い服を着て、美しい言葉で話す。それでいて、ちょっとしたユーモアや茶目っ気も忘れない―― いいですよね~、そんなおばあちゃま。憧れます♩
本作の主人公ササは、まさにそんな感じ! 好感の持てるおばあちゃまなのです。
・・・
愛する夫を亡くしたササ。あまり折り合いの良くない娘に頼ることなく晩年を過ごそうと “長期滞在型ホテルで暮らす” という選択をします。
“理想の老後の過ごし方” について話す時って、もしかしたら、その人の価値観が一番よく表れるのかもしれませんね。
住む場所ひとつをとってみても、好みはいろいろ。暖かい土地が良いか、冷涼な土地か。便利な都会か、自然豊かな田舎か。人との交流の頻度や距離感は? 食事はどんなスタイル(自炊/外食)が良い? 何を持っていたくて、何を持っていたくない?――などなど。
ミニマリスト流行りの昨今ですが、“わが身ひとつでホテル暮らし” というササの選択は、究極の終活ライフスタイルなのでは?
『カルテット! 人生のオペラハウス』も英国のシニア世代を描いた映画。その作中でも “引退した音楽家たちが暮らす老人ホーム” が出てきました。イギリスでは、裕福な層向けのそういう施設は珍しくないのかしら?
そんな晩年を選んだササは、潔い女性だなぁ、と思います。
わたしだったら、親しい友人も少ないし、人づきあいは苦手、一番 “素の自分” でいられるのは家族(息子)といる時……という人間なので、老後は家族と過ごしたいな。
・・・
本作は、ひとりの女性の “人生の最終章” を、優しく、あたたかく、描いています。
醜いところやつらいところにフォーカスするのではなく、美しい面を捉えようとしています。
主人公が偶然出逢う若者は、王子様のように親切な好青年だし、ファンタジックで出来過ぎているかもしれません。
けれど、そこがイイのです。
これは、現代の「おとぎ話」なのです。
「おとぎ話」は “光” を見せてくれます。
人々の心に「こうありたい」という希望の明かりを灯してくれます。
ルパート・フレンドの好青年ぶりを愛でる映画♡
ササが街へ出掛けた折、偶然出逢った作家志望の青年、ルードヴィック(愛称:ルード)。『プライドと偏見』の Mr. ウィッカム役が印象的だった、ルパート・フレンドが演じています。
わたし、本作を観終わって名前を調べるまで、ずっとオーランド・ブルームだと思っていて……。笑
下の写真が「オーリー」こと、オーランド・ブルーム。
ほらほら。似てません? 似てますよね!?
でも、オーリーの方が、ちょっと優しげで甘い雰囲気かな。
ルパートは、もっと眉が立派で頬がシャープな感じ。
わたしと同じことを感じている人が、世の中にはたくさんいらっしゃるようで(笑)、「Rupert Friend」+「Orlando Bloom」でググると比較画像がこれでもかと出てきて面白いです。
ご覧の通り、どちらもイケメンであることに変わりはないですが♩笑
・・・
このルパート演じる青年ルードが、とにかく優しくて素敵なのです!♡
通りすがりの見知らぬおばあちゃんに、こんなに親切に接してくれる若者が果たしているのでしょうか! 見目麗しいだけでなく、行動もイケメン! 爽やか! 礼儀正しい! 好青年の中の好青年!
外出先で親切にしてもらったササは、お礼にルードをホテルの夕食へ招くのですが、詮索好きなホテルの長期滞在者たち(皆、シニア世代)は、ササが日頃自慢していた「孫」の「デズモンド」が来ると勝手に思い込んでしまいます。
ササがそんな事情を相談すると、ルードは「一晩だけ、デズモンドのふりをしましょう」と申し出てくれるのです。
他にも、文学好きという共通点があったり、通じ合うものを感じるササとルード。互いに良い影響を与え合い、交流が深まってゆきます。
この「恋愛でもない」「友情だけでもない」「家族という感覚とも、また別の」絶妙に程よい距離感が、とても上手に描かれているなぁ、と思いました。
二人の間には「敬意」があって、節度もきちんとわきまえているんですよね。こういう関係性が成り立つのは、年齢や性別こそ異なりつつも、双方が知性と品性を持ち合わせている人物だからこそ。
個性豊かなホテルの面々
ササが新しい暮らしの場として選んだホテル「クレアモント」。そこには、同じような境遇の老紳士や老婦人たちが住んでいます。
彼らが、みんな個性的。「ここでは “臨終禁止”!」なんていう、ウィットに富んだセリフも。笑
暇を持て余しているため、他人の動向に興味津々。新しくやって来たササなどは、恰好の的。
彼らとの可笑しなやりとりにも、注目してみてください。
別の名作への扉を開いてくれる
本作のセリフの中には、映画、文学、音楽の名前が、いくつか印象的に登場します。
〇『ハロルドとモード』(1971年)
自殺願望の強い19歳の少年ハロルドと、自由に人生を謳歌する79歳の老女モードの恋を描いた、少しブラックなコメディ映画。今でもカルト的な人気を誇る作品だそうです。原題 "Harold and Maude"。
〇 For All We Know(1934年)
ナット・キング・コールのジャズ曲。互いに惹かれ合っているけれど、たぶんもう二度と会わないのでしょう―― という切ない詞の歌です。
『ふたりの誓い』という邦題のついた、カーペンターズの同タイトル曲 "For All We Know" とは別物。
ルードから「好きな曲は?」と訊かれてササが答えたのが、この "For All We Know"。ルードは、ポロン、ポロン♩……と、ギターを弾きながら歌ってくれます。
わー! イケメンと二人きりでこんな時間を過ごしたら、思わず「惚れてまうやろー♡」ですよね♩笑
〇『逢いびき』(1945年)
互いに配偶者がありながら、外出先で顔を合わせる度にだんだんと惹かれ合ってしまう男女。道ならぬ恋に戸惑う二人の出逢いと別れを描いた名作映画。原題 "Brief Encounter"。
ササの好きな映画として挙げられています。
・・・
『ハロルドとモード』も、『逢いびき』も、わたし的にはとっても気になる~♩ 機会があれば、ぜひ観てみたいです!
他にも、ワーズワースの詩が出てきたり、映画の中にいろんな作品が散りばめられていて、新しい世界への扉を開いてくれるのもうれしい。
記事の冒頭にも書きましたが、もう一度。
本作『クレアモントホテル』は隠れた良作ですよ♩ おすすめします。
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