ホットロード
鑑賞時の感想ツイートはこちら。
2014年の日本映画。80年代に繊細な作風で人気を博した少女漫画家・紡木たくの代表作『ホットロード』を実写化。湘南を舞台に、誰からも必要とされない寂しさを抱える多感な14歳の少女・和希(かずき)と、孤独な暴走族の少年・春山(ハルヤマ)が出逢い、次第に惹かれあっていく姿を描いた青春ラブストーリーです。
主演は、能年玲奈(現・のん)、登坂広臣。共演に、鈴木亮平、木村佳乃、小澤征悦、松田美由紀、ほか。監督は、『ソラニン』、『フォルトゥナの瞳』の三木孝浩。
わが青春の「紡木たく」♩
紡木たく(つむぎ・たく)――80年代に思春期を過ごした方なら、きっと思い出深いであろう、この名前。代表作『ホットロード』は、今や伝説の名作コミックスですよね♩
初版の単行本(マーガレットコミックス)は、もう絶版になっているのですね! 驚き。持ってたのに…… 売らなければ良かったなぁ。
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紡木たく(敬称略)の漫画をわたしが読むようになったのは、中高生だった頃の親友がきっかけ。彼女は「別マ」こと『別冊マーガレット』(集英社)の熱心な読者でした。その子が「面白いよ!」と薦めてくれたことが、作品との出逢いだったように思います。
『ホットロード』の他にも、『あの夏が海にいる』とか、『やさしい手を、もってる』とか、『みんなで卒業をうたおう』とか―― 読みました、読みました! 懐かしいなぁ。
紡木たく作品の魅力は、ふんわり柔らかいタッチの絵柄と、場面の中に描かれる風景の美しさ(特に構図!)と、何といっても、登場人物の心の “ゆらぎ” を繊細かつ瑞々しく掬い取る、独特の表現力!
なんというか、こう、胸のあたりが甘酸っぱく、せつなく、キュッとするのです♡ 「紡木たく」だけは、わたしが少女時代に読んだ漫画家さんの中でも、特別な存在――。
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現在わたしが持っている愛蔵書の『ホットロード』は、こちらのバージョン♩(愛蔵版コミックス/紡木たく選集)
奥付にある第1刷の日付は、1992年。愛蔵し過ぎて、シミが出来ちゃってる……悲しい。
ハードカバーで、分厚いです。お気に入り♩
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現行版は、文庫コミック版(全2巻)と kindle版があるようです。
原作への愛ゆえに、高まる「期待」と「不安」――
というわけで、紡木たくの『ホットロード』は、わたしにとって ひときわ思い入れのある作品。それだけに「実写化」と聞いた時には、かなり
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おおお!!!
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と、驚きを感じましたね。
たまたま書店でこんな帯を見かけて、いてもたってもいられず、思わずツイートしちゃったくらい。笑
原作の連載(1986~1987年)から25年以上を経たタイミングでの実写化。これについては、作品の発表以来、映像化の話が複数あったが「イメージに合わないから」などの理由で作者の紡木たく先生がずっと断り続けてきた――という経緯があるそう。その後、能年ちゃん主演でようやく「彼女なら和希の役を託してもいい」と許可が下りたのだとか。
確かに、和希は紡木たくが描くあの女の子こそが「和希」だし、10代の乙女たちをキュンキュンさせた「春山」もそう。あの絵柄のイメージありき、なんですよね。原作の中で生きている彼らが読者にとって唯一無二の「和希」と「春山」だから、ぴったりの俳優さんを探すのは難しいかも。――そういう意味では「紡木たく先生、ずっと映像化を渋ってくださって、ありがとう」と言いたいです。
大好きな『ホットロード』の実写化を知り、ちょっとテンション上がってしまったわたしですが、原作への愛が大きければ大きいほど高まるのが「期待」と「不安」というもの!笑
だから、がっかりするのが怖くて劇場には行きませんでした。能年ちゃんの「和希」はともかく、「春山」は EXILE の一味(*)だし……。嫌な予感しかしない。でも気になる。観てみたい!
*登坂広臣(三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE/ヴォーカル)
ちなみに、実写版のキャスティングはこんなふう。
○ 宮市和希(みやいち・かずき): 能年玲奈
14歳の中学生。ママと二人暮らし。パパは幼少期に死別したため、記憶にない。ママには「鈴木くん」という高校時代からの想い人がおり、和希には無関心。「自分は要らない子なのでは?」という孤独感を抱えている。
○ 春山洋志(はるやま・ひろし): 登坂広臣
16歳。母親の再婚相手である継父と上手くいかず、家を出て一人暮らし。高校へは行かず、社会人。ガソリンスタンドのアルバイトで生計を立てている。暴走族「NIGHTS」(ナイツ)のメンバー。
○ ママ(和希の母親): 木村佳乃
35歳。夫の死後、女手一つで和希を育てる。お洒落で、おばさんっぽくない反面、精神的に幼く、親としての覚悟が足りていない節がある。高校時代から好き合っていた「鈴木くん」と一緒になれず、和希の父親と結婚した。鈴木くんとは今でも想い合っている。
○ 鈴木くん: 小澤征悦
和希の母親の恋人。妻がいるが、離婚協議中。お金持ち。
○ 玉見トオル: 鈴木亮平
20歳。ナイツ総頭。父親は建設会社の社長。恋人の宏子と結婚するために、春山に総頭の座を譲ろうと考えている。
○ 宏子さん: 太田莉菜
17歳。トオルの恋人。和希の友達「えり」が横浜にいた頃の先輩。宏子、トオル、春山の三名の間で、過去に何らかの関係性があったことが当事者たちやナイツのメンバーの会話からうかがえる。
能年ちゃんの「和希」はヨシ。木村佳乃さんの「ママ」も、まあヨシ。「リチャード」さんも、似てないけど雰囲気出てる。
だけど、ハルヤマは……なぁ……
うーーーん……
原作ファンの間では、紡木たく作品に出てくる男の子って、(若い頃のチェッカーズの)「フミヤに似てる!」というので有名だったんですよ。
▼ Google 画像検索結果:「紡木たく」+「藤井フミヤ」
わたしはフミヤのこと、好きでもなんでもない(汗)ですけれどもね。どちらかといえば、個人的な好みとしては “苦手なタイプ” なんですが、紡木たく作品の中の男子は、独特の素敵さを持っているのです。“色素薄い系” というか、何というか。透明感のある感じ。
だから、気持ち的には「不安」>「期待」で。いつかテレビで放送されることがあれば、その時に観てみようかな―― くらいの気持ちでいたのでした。
実際に観てみた感想。
映画の公開から2年後、いよいよ本作がテレビ放送されることに! ほくほくしながら、夜の放送を待つわたし。笑
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つい気になって、事前にキャストなどを調べ始めるわたし。笑
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そして、鑑賞後の感想。
紡木たくの原作を夢中で読んでた世代としては「おお、あのシーンか!」「あっ、ここ!ここ!」って感じで楽しめた。
これは、原作を知っているファンだからこその楽しみ、醍醐味ですよね♩ 見開きで風景が描かれたコマなど、強烈に印象に残っているシーンの数々が実写で観られるのは、うれしかったです。
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セリフ、構図、風景、服装、室内、等、忠実に再現しようとした姿勢がうかがえる。
湘南の海岸沿いの道路とか、和希とママが暮らす家のお洒落なインテリアとか、本当に原作のイメージ通りでした。原作のイメージを壊さぬように―― という映画制作陣のリスペクトが伝わってきます。
春山と「4(ヨン)フォア」のこのシーンとか、ね!
「おばさん、こいつのこと嫌いなの?」
から始まる、あの春山の名セリフとか(たまらんー!!)ね♡
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ひとつ、観ていて心配だったのは――
でも、原作を知らない人には、お話ちゃんと分かったのかしら?
ということ。
前半にご紹介した原作の画像、覚えていますか?
このボリュームです。主人公の和希が14歳から17歳になるまでを描いた原作。ここから主要なトピックだけギュギュッと凝縮して2時間の映画作品に収めるには、だいぶ内容を “端折る” 必要があったのだと思います。
原作のストーリーを “知っている勢” は良いけれど、この映画で初めて作品に触れるような方々は、果たして「物語の流れとか、ちゃんと追えたのかな?」と、ちょっぴり疑問に感じました。(余計なお世話かもしれないけど)
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最後に、わたしからひとこと――
映画『ホットロード』を観て少しでも心に何か触れたひとは、ぜひぜひ原作も読んでみてほしいなぁ。(๑'ᴗ'๑)(損はさせません!笑)
あと、ダメ押しで内緒のひとこと――
(主題歌に尾崎(豊)の「オーマイリルガー」はやめて欲しかった……。作品の世界観に合わないし、ダサいし、ベタ過ぎる……)笑
▼ 関連作品ではないけれど、宏子さんが使っている香水「タクティス」のモデル、資生堂の「タクティクス」についてこちらの記事で触れています。
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