ミシシッピー・バーニング
鑑賞時の感想ツイートはこちら。
1988年のアメリカ映画。1964年のミシシッピ州フィラデルフィアを舞台に、公民権活動家3人の行方不明事件と、それを捜査するため現地を訪れた2人の FBI 捜査官を描いた社会派サスペンス作品です。
主演は、ジーン・ハックマンとウィレム・デフォー。アメリカ南部の田舎町で住民たちに根深くはびこっている人種差別に阻まれながら、事件の解明にあたる FBI 捜査官を演じています。
自分では絶対に選ばない作品を観たきっかけ
わたしが本作を観たきっかけは、当時大学生だった息子のお勉強。講義で出された課題でした。1950~1960年代のアメリカ公民権運動について、音楽や映画を通して学ぶ―― という趣旨だったと思います。
2020年のいま、再び大きな動きとなっている "Black Lives Matter"(BLM)とも深くリンクしているテーマですね。
息子の大学で課題として挙げられていた映画には、次のような作品がありました。
○『夜の大捜査線』(1967年)
○『ミシシッピー・バーニング』(1988年)
○『ドゥ・ザ・ライト・シング』(1989年)
○『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012年)
息子が幼い頃は、一緒に映画館へでかけたり、自宅で一緒に映画を観たり、わりとよくしていたものですが、成長してからはすっかり機会が減ってしまいました。
課題のため、息子がこれらの作品のDVD を借りて自宅で観るというので、映画好きな母としては「便乗して一緒に観ちゃえ♩」と、ご相伴(?)にあずかった次第です。えへへ。
どれも人種差別や奴隷制度がテーマの作品なので、観ていて決して “楽しい” 映画ではないし、実際、重かったです。わたしは自分では絶対に選ばないだろうな…… という作品群だったけれど、とても勉強になりました。
ミシシッピーがバーニングする映画
本作の内容について「どんな映画だった?」と聞かれたら、わたしはこう答えると思います。
ほんとにミシシッピがバーニングだった。。。
重い。
はじめ、タイトルを聞いた時の想像では、まぁ「ミシシッピ」が舞台なのは見当がつくとして、「バーニング」って、こう、比喩的な意味でのバーニングかな? と思っていたんです。
「熱く、激しく、人々が白熱する」とか、そんなイメージ。
そうじゃなかった……。苦笑
物理的に、ファイヤーで、火事で、バーニング! でした。
重いし、やるせないし、怖い。観ていて愉快なお話ではないので(しかも、当時実際に起きた事件がモデルになっているという……)多くは語りますまい。
作中の台詞「憎しみは生まれつきじゃない。教えられて、そう思い込むの」というのがメッセージ。教育って大事だ。
オープニングのこのカットが印象的。
「わたしゃ公民権運動にとても興味がある! 学びたい!」
という方には、おすすめです。
キャストのこと
とはいえ、映画としては良く出来ています。(アカデミー撮影賞を受賞)
サスペンスとしての展開にも引き込まれますし、前述のバーニング・シーンなども含め、胸に強く何かを訴えかけてきます。
また出演陣が良いです。
FBI の叩き上げ捜査官アンダーソンに『クリムゾン・タイド』、『エネミー・オブ・アメリカ』のジーン・ハックマン。
コツコツと “足で捜査する” タイプ。
ベテランですが、捜査コンビの関係性では部下という立場。自身も “南部出身の白人” であることが物語にさらに重みを与えています。
捜査のカギを握っていそうな人物に対しては、根気良く、足繁く通い、信頼関係を築いて協力を得ようとします。
ベテランの経験に基づいた硬軟取り混ぜた捜査スタイルで、いい味出してるんだよなぁ♩
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コンビの相方でもあり、立場上はボスでもある捜査官ウォードに『プラトーン』のウィレム・デフォー。
大学出のエリート捜査官。現場での経験は浅く、頭でっかち。
わたし、ウィレム・デフォー大好きです! 顔が好き♡笑
唯一無二の個性的な顔立ちは、役者にとって大切な武器だと思うのです。忘れられない存在感を放ちますから。
わたしなんて、映画を観ていてウィレム・デフォーが出ていると、うれしくなっちゃう♩(うれしくなっちゃった作品は、こちら)
この方、ゲームにも出演作があるのをご存じでしたか?
○ BEYOND: Two Souls (公式サイト)
ゲーム大好き、ゲーマーでもあるわたし。恥ずかしいので大きな声では言えませんが、以前ちょこっとだけゲーム実況などやっていました。(小声)
ウィレム・デフォー登場回がこちら。
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そして、激しい人種差別が支配する町の住民で、事件捜査のカギを握る美容師ペル夫人にフランシス・マクドーマンド。
この女優さん、わたしの大好きな映画『ファーゴ』(Fargo)にも主演で出ています!
"Oh, Yeah?" 笑
『ファーゴ』最高です。めちゃ面白いのでオススメです!
観たらきっと、彼女が好きになるはず。
最近の出演作では『スリー・ビルボード』(2017年)でアカデミー主演女優賞を受賞しましたね♩(わたしはまだ未見。観たい~!!)
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本作『ミシシッピー・バーニング』に話を戻して――。
気軽に楽しめる映画ではありませんが、"Black Lives Matter" をきっかけにアメリカの人種差別問題に興味を持たれた方、見識を深めてみたい方には、とても参考になる作品だと思います。
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