『神様のカルテ』夏川草介著
信州の「24時間365日対応」の病院で働く栗原一止。
彼が当直の日には「引きの栗原」と言われるほどの患者が運ばれてくる。夏目漱石の「草枕」を暗唱するほど愛読しているのでいささか話し方は古風。
そんな忙しい地方の病院で働く彼の元に大学病院に来ないかという話も持ち上がるが…
一止の背中を押したのは、安曇さんという1人の患者だった。
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救急の時は「内科」ではなく「救急医」の名札を、忙しすぎて結婚記念日は忘れてしまう、連続40時間勤務もざらじゃない。
この様子から、地方の医療は常にギリギリで回ってるかすら危ういということが分かる。
このコロナ禍で医療崩壊してないかすごく心配…
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深志神社の灯篭が赤い
この後、「いつも連想するのは赤い血だ」とか「安曇さんの赤茶色の帽子だった」とか、場面転換の導入が綺麗な流れだと思う。
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時折挟まれる愛妻家の様子や細君との出会いの話、同期の砂山と新人看護師の恋模様、御嶽荘の愉快な人々との話。決して医療現場だけが舞台ではなく、「栗原一止」という1人の医者の日々を描いた小説。
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夏目漱石が苦手でも、苦手意識が軽くなると思うので一度読んでみてください。
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見ての通り文庫は新品で買いましたが、擦り切れるくらい読んでます笑