ニガテな匂い

人工的な香りがニガテである。ニガテ、というとなんだか趣味嗜好の範疇というか、我慢すればいいような響きを個人的には感じるので、もうちょっとしっくりくる言葉があったらいいのに、と思う。というのも、好き嫌いが言いたいんじゃなくて、具合が悪くなってしまうという話がしたいのである。

こういう話をすると、同じ感覚を持っているひとからはものすごく共感してもらえるのだけど、そうではないひとからすると想像しにくいかもしれない。香水や香りの強い化粧品、ハンドクリームなどは香りも含めて「おしゃれ」なので、やめてくれとも言いづらいものがある。だからその場から自分が去る、つまりできるだけ距離をとってその香りから自衛するのだけど、混雑した電車やエレベーターの中は逃げづらいことも多々ある。そんなときはマスクをした口の中をミンティアとか飴玉とかガムとか「大丈夫な匂い」で満たして対抗する。

この身体との付き合いも40年近くなってきて、どういう香りが大丈夫でどういう香りは危険なのか、だいたい自分でわかると思っていたのだけど、今朝、久しぶりに「大丈夫だと思って吸い込んでいたらどんどん血の気がひいていった」という体験をした。それは住居用洗剤の香りだった。柑橘系のオイルが入っているタイプなので最初は大丈夫だと思っていたのだけど(果物の香りはだいたい大丈夫)、吸い込んで3分くらい経ったとところで気持ち悪くなってしまって、そのまま顔色がどんどん失せて消え、結局、そのまま3時間くらい布団でへたばって過ごした。

繊細、華奢、か弱い、みたいなイメージに憧れていた時代もあったけど、もはやそういうのも飽きてしまって今は面倒くさいが勝っている。この体質は鍛錬とかでどうにかなるものなのだろうか。そもそも何科にかかったらいいんだろう。

どこの現場に行ってもおしゃれで香りを身につけているひとはいて、近くでコミュニケートしたいのだけど香りの問題で近づけないということが現実に起きている。たぶん、大半のひとにとってはよい香りなんだと思うのだけど、好き嫌いとかいい悪いとかじゃなくて車に酔ったみたいな状態になっちゃって、立っていられなくなったり酷いときは寝込んでしまうから怖くて近づけないのだ。だからと言って、私のためにやめてくれっていう話はしづらいから、そっと距離をとって自衛している。

こういう体質のひと、私だけじゃないと思うんだけど、みんなどうしているのかしら。我慢するしかないのかなぁ。耐性をつける方法とか、こういう医者にかかれば治療法があるとか、そういう情報に出会えたらいいな。

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