妖怪・せっかくだから
緊急事態宣言延長が決まった。制作は意外とやることがある、と忙しいアピールをしてきたけれども、今日もまたひとつ、公演の延期が決まったりして、ぶっちゃけコロナ前と同じペースでがつがつ仕事をする感じではない。以前は〆切に終われて全力疾走、たまに死んだように寝続けて回復、というアップダウンの激しい働き方だったのが、コンスタントにジョギング、みたいになってきた。前の働き方は降ってきた仕事をノーバウンドで打ち返す、みたいな働き方、というたとえでもしっくりくる感じ。
それが在宅ワークになって自分のスケジュールを自分でコントロールできるようになった。効率のいい順番で仕事を組み立てられるようになって、現場にいるとよくある「なにしたかわからないままに一日が終わる」みたいなこともなくなって(実際はいろいろ、ほんとにいろいろやってるんだよ、ほんとだよ)、結果、時短になっている。仕事が減ってる上に効率があがって、これはそろそろ時間が余り出してもいいころだ。わくわく。まだそうなってないけど。きっとそうなるんだ。少なくとも、1日8~10時間労働でその日の計画が終わる感じにはなってきた。以前は毎日積み残しがあったのに。
で、せっかくだから(やっと本題)、来年の仕事の準備で「いつもやりたいけど端折っていること」に手を出してみようと思いついた。手始めに、1年以上先にやる予定の翻訳劇を原語で読んでみよう!と思い立ってアマゾンさんをぽちってみた。企画を考えるのに「戯曲を読む」のはさすがに毎度やってるけど、原作・原著にあたるのは端折りがちである。本当は原作・原著はもちろん、翻訳が複数出ていれば全部読み込みたいし、作家のほかの作品も読んでおきたいし、評論とかも目を通しておきたいけど、ここのところ、いろんな段階の公演が並走しているのを言い訳に「台本だけ読んでストーリーを把握する」のが関の山になってしまっていた。せっかくなので、辞書を引き引き原作と翻訳を読み比べたり、どうせなら作家のほかの作品もって欲を出してみたりで、単行本ではなくなんちゃらコレクション、みたいな本を注文した。せっかく英文科を出たんだし、せっかく時間もできそうだし、せっかく、せっかく、と欲はつきない。
昔、劇団でツアーをやったときに、ついつい「せっかくだから」と各地の特産・名産を食べ過ぎたり買い過ぎたりするよねー(笑)という現象を「妖怪・せっかくだから」と呼んでいた。まさにそんな感じ。
せっかくだから、「緊急性>重要性」で短距離走みたいな働き方を見なおして、数を打つんじゃなくひとつひとつの精度を上げるような行動にシフトしていきたい。
世界は変わる。私も変わろう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?