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Bunkamura ザ・ミュージアム

オットー・ネーベル展 シャガール、カンディンスキー、クレーの時代

オットー・ネーベルさん。実は存じ上げなくて、クレーやカンディンスキーの名前にひかれていそいそと出かけていった。結果、正解。

有名な作品がきてますよ、とか、この人はこんなにすごい人なんですよ、みないな文言がなくて、押し付けがましくなくてバランスがとれていたし、展示の流れとしてストーリー性を見て取れたのが、展覧会に携わる方達のこころ意気も感じられてよかった。

彼(ネーベルさん)の人生では、ところどころで大きな悲しみの波に呑まれているようなところがあって、彼はそれを誠実に絵に表しているようで、その波動が見ている者にも伝わってきて、その場で共鳴するような感覚をおぼえた。それは、突然生活を奪われる悲しみとか、不条理な理由が見つけられないやり場のない思いとか、そんなもの。それをかたちにするのがやっぱり芸術家なんだな。

もちろん描かれている悲しみだけではなくて、彼が未知の街の色彩と出会ったときのワンダーと彼なりの解釈での表現。色とか、質感とか、目の前でみたときの絵の具が密集して、立体的になっているところとか。彼がみた外側の世界と、彼の人生とともにある内側の世界を行ったり来たりしているような面白さ。

個人的に、もう1つつぼにはまったのが、展示映像のナレーターが藤井隆さんだったこと。ネーベルさんは、絵描きであったけど、同時に俳優としても活動していて、藤井さんも俳優やミュージシャンとしても活躍していて。他者とつながるチャンネルが多いって素敵なことだよね、と改めて思った次第です。

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