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初登山の思い出

初めて登山をした山は、
青森県にある八甲田山だった。


山に入ると最初に目に入るのは、
60代70代のおじ様、おば様方が岩場や泥でぬかるんだ道を
ガツガツと登っていく姿だ。


一方、30代前半で初登山の私と恋人は出発から20分程で
激しく息切れし、いつ引き返そうか考えるようなへなちょこ具合。


(ルートは、酸ヶ湯温泉→毛無岱→大岳→酸ヶ湯温泉という、正規ルートとは逆回り。当時は逆回りであることも知らずに登っていた笑)


出発から1時間ほど経ったところで、
天国のようにモヤのかかった湿地にたどり着き、
汗だくになりながら、都合の良い「引き返す理由」を探し始める。



予定のルートを登りきれたら最高。
でも、登りきれる可能性はどれくらいだろうか?



見当もつかないまま、近くで休憩中の見知らぬ登山おじさんに声をかける。(がっしりとした体型の60代後半くらいの方)


私「あのー、私たち初登山なんですが、
  大岳に行くのは難しいでしょうか?」


登山おじさん「んー、あなたたち、若いから大丈夫よ。」


私「(!?)そうですか、ありがとうございます。」



登山おじさんに、私たちは何歳に見えていただろうか?

彼よりは若いのは確かだ。


登山は何が起こるか分からない。
足を踏み外したら、崖を数十m転がり落ちてしまうような場所だってある。


そんな危険を知りつつ、軽く「若いから大丈夫よ。」と
言ってしまう能天気さ。


引き返す理由を探していた私たちは、
何故かその言葉に背中を押され、
結局トータル7時間かけてこの山を踏破した。
(通常タイムは5時間程度とのこと)


途中で疲れすぎて足元ばかり見て歩いて、
太い木の枝に頭を強打して涙目になったり(殴られたかと思った!)
強風に煽られたり、熱中症の恐怖と戦いながら歩いた。
(心が折れる音が3回は聞こえた。)


山頂では息を飲むような景色を見て
私たちは「来て良かった、来て良かった!」と連発した。


あの時、登山おじさんに出会えてよかった。


初めてのことをするとき、たいてい怖い。
すぐ、やらない理由を探してモジモジする。
失敗したらどうしよう。
できるのかな?と思う。


そんな時、根拠のない見知らぬ誰かの一言が背中を押してくれたりする。


出会いっておもしろいなーと思う。


登山おじさん、ありがとう。
今日も汗だくでモリモリ登山楽しんでねと心の中でお礼をいう。

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