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患者の家族がオロオロしているだけの文

 オロオロしている、ひたすらオロオロしている。まだかまだかと待っていた母の手術ではあったが、いざ当日となるとまず胃が痛い(わたしの)。体調だって昨日まではどうってことなかったのだが、無意識下ですごく意識していたらしい。
 何となしにこちらから母と連絡を取ることは憚られ、あちらから必要なもの(着替えとかタオルとか諸々)のお願いのLINEが来たのに、了解です、と返答し、なるべくかわいいトトロのスタンプをつけるのがせいぜいである。

 母の手術は14時開始。コロナ禍では当然、付き添いは不可能である。ナースステーションにあれこれを届けたり、また、受け取ったりできるようになるのも14時。
 頼まれた分の荷物を揃え、身なりを整え、昼食を摂り(びっくりするほど味がしないし進まなかったが、どうにかこうにか飲み下した)、出発。早く出過ぎて14時前に着いてしまい仕方なしに病院近くの公園を歩く、が、どうにもならず、少し前に病院の門を潜らせてもらった。

 受付時間より早くついてしまったのに(お忙しい中手を煩わせてしまって申し訳ない)、母からの荷物を持ってきてくれた看護師さんは親切だった。
「お母様は先ほど手術室に入られましたよ」
ちらと、時間はどの程度かかりそうですか、怪我の具合はやっぱりよろしくないですかと訊きたいと過ったが、やめておいた。
 よろしくお願いします、と頭を下げるに留めておく。


 家に帰ってきて、どうしようもない気持ちを抱えたまま持ち帰った服を洗濯し終えてしまうと、もう何もすることがなかった。ただただ不安で(もしかして、万が一があったら?)、ずっとスマホを握りしめて、こうしてこの文章を書いている。

 まだ手術は続いているのだろうか、終わったなら母はまだ眠っているのだろうか。
 ただただオロオロと時間が過ぎるのを待つのみである。