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Suicaの自律分散システムとは?

CROSS Value Chainのなかでも私が注目しているのはアーキテクト(CROSS Value Chainを設計した)高橋宏尚 博士(Ph.D.)です。
高橋宏尚 博士 はSuicaの自律分散システムの開発に携わったとのことで、Suicaがなんで自律分散システムなのかは調べてみると、JRの資料にSuicaの自律分散システムについて書かれておりました。

あ、ちなみにSuicaってペンギンのマークがついているICカードです。(※Suicaのペンギンは、坂崎千春さんによる絵本「ペンギンゴコロ」に登場するペンギンが元になっています。)

Suicaの普及枚数は、2022年12月末時点で約8,759万枚です。これは、日本全国の人口約1億2,600万人の約7割に相当します。この人数が利用しているのが驚きです。
Suica自体はもともと磁気カードで利用されていたものを置き換えるというプロジェクトからはじまったとのこと。もともと、磁気カードは0.7秒。それは、カードをいれて出てくるまでの時間になる。(磁気カードを入れる口とカードの出口が1.1mあったので0.7秒で問題なかった。)
ICカードになると、タッチする場所がゲートの入り口付近の1箇所しかないため、0.2秒以下で処理する必要がある。いままで、磁気カードは接触式センサーでカードの内容を読み書きしていたが、ICカードでは非接触で磁気カードで行っていた以上の複雑なことを行う必要があります。様々なカードでテストしたことが書かれておりました。行き着いたのは、タッチアンドゴーという方法で、かざすということではなくて、ICリーダーにタッチしてもらうという方式です。

ソサイエティマガジン No.53 号 2020 から引用

タッチアンドゴー?



「タッチアンドゴー」とは、非接触式ICカードを使用した自動改札機の利用方法の一つです。ICカードを改札機にかざすだけで改札を通過することができます。この方式は、「V字」の軌跡でカードを移動させることによって、R/Wに軽く触れるようにして十分な処理時間を確保する方式です。通過阻害率を磁気システムと同等レベルまで下げることができます。

Suicaの自律分散システムは、ICカード、端末、駅サーバ、センタサーバなどの複数のシステムで構成されています。これらのシステムは、相互にデータを共有することで、シームレスなサービス提供を実現しています。

例えば、ICカードには利用履歴やチャージ額が記録されており、駅サーバやセンタサーバにはそれらのデータが蓄積されています。そして、端末でカードを読み取ることで、これらのデータを取得し、利用者に必要な情報を提供しています。このようなデータの受け渡しは、DF(データフィールド)という仕組みを用いて実現しています。DFは異なるサブシステム間でデータを受け渡すための標準的なプロトコルであり、システム全体の運用を支える重要な役割を果たしています。DFではメッセージがブロードキャストされ、必要なシステムがそのブロードキャストに応答することで目的が達成されています。ここが自律分散システムと呼ばれる部分になります。壊れているシステムは応答しないため、応答できるシステムが応答する仕組みになっています。また、通信が駅間で行えなくなっても、Suicaは利用できるようになっています。

そして面白い仕組みは、ICカードを読み書きするときに、確認する作業ができなかったときには一旦完了できなかったことをカードに記録しておき、出口でICタッチしたときに整合性があっていたら書き込めなかった一旦完了にした部分を確定するということを行っている。


自律分散整合化技術


高橋博士とお話させていただいたときに、SuicaのICカードは全工程(「存在確認」 「認証」 「データ読出」 「判定」「書込」 「確認」)を完了しないとエラーにしてしまうと、多数のエラーが発生し、改札が利用できない人が大量に発生するということがわかりました。そこでエラーが発生するという前提で自律分散システム+自
律分散整合化技術を実現しているとのことでした。

※今年から、Suicaのクラウド化が進んでいるので今回説明した内容から進化してるとは思います。


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