スナップ写真、何を撮る?魅力的な被写体の探し方
動物園や植物園など被写体が用意されてる場では撮りたい物が見つかるけど、街に出たら何も見つからない。
このnoteでは、初心者が直面する壁の一つ「何を撮れば良いかわからない」から抜け出す被写体の探し方を解説していきます!
こんにちはHALです。note開いていただき、ありがとうございます。関西でスナップメインに撮影しています。
このnoteが気になったという事は「スナップを撮ってみたい」や「撮ろうと思って街に出てみたが被写体が見つからない」と思ったのではないでしょうか。
そう感じる大きな理由はただ一つ。
物を見る目が育っていない
からです。
このnoteを読んで観察する基本を身につけて最初の一歩として活用して頂けたら嬉しく思います。
本題に入る前に「スナップ写真」についておさらいしましょう
スナップ写真とは
その他にもさまざまな本やブログ、Webサイトで説明されていますが、ざっくりまとめると
撮影者が介入しない、自然な雰囲気を撮った写真
と考えて良いでしょう。
そのスナップ写真の中で対象が人物、街、建物など分かれていきます。
「スナップ写真」がどんな写真なのか分かった所で、この話は頭の片隅に置いておく程度で大丈夫です。
定義にこだわりすぎて写真が撮れないとなると本末転倒。
自分が撮りたい物があれば積極的に撮ってみてください。
【世界は面白いで溢れている】
みなさんこれまでの人生で勉強してきたかと思います。
国語、算数、理科、社会、音楽などなど
「勉強はしたけど、人生で使う事はほとんど無かったし忘れたよ」
そういう人もいるかと思いますが、大切なのは一度でも出会ったという事。
知識が少しでもあると物の見方は大きく変化します。
例えば道端に生えている花を想像してみてください。
何も知識が無かったら、あなたはただの花だと認識して通り過ぎるでしょう。
幼稚園や小学校低学年、あなたはその花を「タンポポ」と知りました。
知識を得る事で、無数にある花の中で「タンポポ」という種類の花を認識し、他の花と区別ができるようになりました。
中学校に入り、タンポポには「セイヨウタンポポ」と「ニホンタンポポ」という種類がある事を知りました。次にそのタンポポに出会ったらどっちのタンポポか気になる事でしょう。
このように、最初はただの花としか認識していませんでしたが、知識を入れる事でより深く物を見る事ができるようになりました。
これに加えて、本や図鑑、YouTubeを使って豆知識などを知るとより観察が楽しくなります。
知識を入れる事で物事が細かく認識できるようになる事を
解像度が上がる
と言ったりします。
この解像度を上げていく作業が、さまざまな物に興味が出てくるきっかけとなるのですが、1日2日で身に付く力ではありません。
すぐに写真を撮りにいきたいけど勉強が必要なのか・・・
安心してください。
物には知識から来る情報以外にも目から入ってくる情報が存在します。
目に入ってくる情報はその場で処理すれば良いので、勉強するよりも随分と簡単な作業です。
ここでは、勉強によって身に付く解像度は置いて、即実践できる解像度の上げ方を伝授しましょう。
物は様々な情報を持っています。
その中ですぐに認識できる基本の情報が
の5つです。
物から得られる情報は他にも色々ありますが、最初はこの5つを意識してください。
5つにした理由は片手で数える事ができるからです。
右手でカメラを持って、被写体をみながら左手で1つづつ指を折って確認してみてください。
どのポイントを確認しても気に入らない場合はさっさと切り上げて次に行きましょう。
それでは作例を交えて探し方を確認していきます。
1.形
この世には無数の物が存在し、その一つ一つに固有の形が存在します。
これを読んだらスナップを撮りに行くのですから、イメージしやすいように家の窓から外を見てみましょう。(外にいる人はその場で周りを見渡してください。)
多くの場合、建物が何軒か見えるでしょう。
その一つ一つの形を観察してみてください。
今の数秒で、一見同じような建物でもたくさんの違いを見つける事ができたと思います。
その中で自分が気に入った点はありましたか?
その気に入った点を自分の好きな方法で伝えてみましょう。
上の写真では建物の全体の丸みを帯びた部分に注目し、直線と曲線以外の情報をほとんど消した写真です。
この写真は真ん中より少し上の円に注目した写真です。よく見かける煙突の頭とは異なるデザイン性のある形をしていたので撮影しました。
この2枚の写真の特徴は何を撮ったかを一目で把握できるような切り取り方をしています。スナップをする際に目に映る物のなかで好きな形を探すところから始めると簡単に見つける事ができるかと思います。
全体のシルエットの他に、物は直線と曲線で構成されているため、物の中に面白い形が隠れていることもあります。
下の2枚の写真を見てみましょう。
この写真は上の2つの写真と違い、柱やパイプなどが作る幾何学的な形に注目して撮影しました。物全体の形以外にも一部だけを切り取ることでいつもとは違った世界を撮る事ができます。
1枚目の写真は商店街の天井の模様を、2枚目の写真は建物の柱を撮影しています。サラッと見ただけではどこを撮影したのか分からない。そのような写真も面白いかと思います。
2.色
形と同時に目に入ってくる情報「色」は写真の雰囲気の大部分を担っています。
さっきと同じ事をしましょう。
次は周りを見渡してください。様々な色が存在していると思います。
その中で同じような色の物をいくつかピックアップして並べてください。一つ一つ観察すると同じような色でも物によって少しずつ違う事がわかります。手に取った物がお店で売っているような物なら、その商品イメージに適した色が使われているでしょう。それがその物が持つ固有の色です。
また赤い食べ物枠代表の「りんご」「トマト」がありますが、含まれている色は赤だけでしょうか?検索してみてください。
調べてみると、りんごは赤以外に実の部分にはグラデーションのように黄色や緑色、ヘタに茶色が含まれており、トマトは実は赤、ヘタが緑である事がすぐに分かります。
同じ赤色の食べ物でも観察すると大きな違いがある事が分かると思います。
このように人間は色を記憶するときに
「大体こんな感じだろう」
と曖昧な記憶をしています。
見慣れた物でも改めて色を確認してみてください。
何か新しい発見があるかもしれません。
物が持つ色について大体分かった所で、色に注目した写真を見てみましょう。
モノクロで多く撮影する私ですが、気に入った色があると必ず撮るようにしています。2枚の写真は今大阪で工事をしている「うめきた公園」で撮影しました。工事現場は注意喚起のために赤や黄といった目立つ色が多くあるため何か無いか探しに行ったタイミングで出会った色です。
1枚目の写真では「柱の黄色のクッションと後ろの柵の黄色」「ストロー、ロゴの赤色とホースの赤色」の2色が目立つように撮影しました。
2枚目の写真は背の低いガードレールの赤と白の組み合わせがモンスターボールみたいで気に入ったので撮影をしようと思いました。周囲をみるとすぐ横に赤と白で構成された注意喚起のシートが。せっかくなら2つとも一緒に入れようという事でこの写真が完成しました。
色を探すときは物だけを見る必要はありません。
光が何かに反射してその反射した光が色を生み出す事もあります。
これは朝の大阪駅近くですが、真ん中左にプリズムで分光したかのようなカラフルな色があるのが分かります。この光の色に注目したのが次の写真です。
日常生活で分光を見る事があるのかと見つけた時はワクワクしました。このように物自身の色だけでなく、光の作り出す色も探してみる事をお勧めします。
3.パターン
パターンは時々現れる面白いデザインです。
同じものが続いていたり、リズムがあったり・・・
説明不要、早速見ていきましょう。
これはビルの窓を撮影した写真です。パターンを撮影する時は同じ要素を可能な限り多く、加えて他の要素を入れない事が重要です。パターンは意外と街中に存在しています。歩いているときに上や左右だけでなく、下も見てみてください。面白い物が見つかるかもしれませんよ。
とは言っても他の要素が入るとダメなんてことはありません。
上の写真は黒い丸を撮影したかったのですが、丸だけにすると何を撮っているか分からない上に面白くありませんでした。そのため横にある全く違う雰囲気のタイルを入れ、横には広がらずに奥に奥に続いているような写真を撮ることにしました。
パターンと似たリズムも少し見てみましょう。
歩いているときに前方に上のような建物が出てきたとします。
とても特徴的なデザイン、形の建物なので何か写真に撮りたいとあなたは考えました。さてどこを撮りますか?
私は建物の上のギザギザを撮りました。
パターンと違って同じ物は並んでいませんが、同じリズムでギザギザとなっている事が分かります。同じ物が並ぶ事をパターンと呼びましたが、同じ構造や周期をもつ物をリズムと呼んでいます。(私が勝手に言っている区分けなので言葉の雰囲気だけ持ち帰ってください)
気に入ったパターンやリズムが見つける事は難しいかもしれませんが、同じ物があるなと感じた時は意識してみてください。
4.光
これが無ければ始まらない。光は物が出す情報とは違いますが、表情を作り出すことや、明るさで強調したり、影で隠す手助けをしてくれます。
こればっかりは外に見に行こうとしか言えないのですが、物に当たっている光や、物が作り出す影、暗い場所と明るい場所のコントラストがあるかを探してください。
それでは写真を見ていきましょう。
上の3枚は光に注目して影はサブ的な要素の写真です。強い光によって、スポットライトのような効果や写真の中にフレーム(枠)を作ったりすることで見せたい部分を強調する事ができます。
1枚目は画面右に進む人を一人だけ光の中に入れる事で、他とは違う道を歩んでいる雰囲気を出し、2枚目は日向の日差しの強さを出すためにより影とのコントラストが強そうな場所を選びました。3枚目は彩度の低い空間にオレンジの服を着た方がいたので、よりオレンジが強く見える日向に来たところを撮った写真です。
この3枚は光に注目した写真でしたが、影に注目すると次のような写真が撮影できます。
この2枚は光は進行方向にある光源程度の扱いで、メインは影で構成されています。私はこのような暗い部分が主の写真が好きです。
光と影、どちらをメインにしても面白い写真が撮れるかと思います。初めは探しやすいよく晴れた日に出掛けて探してみると良いと思います。
5.状態
これが最後です。物の状態を観察してください。
状態????
なんだそれと感じると思います。
ここで言う状態とは
物の置かれている場所や向きなど、世界の見方によって変わる外的要因に影響される情報
と思ってください。
例えばとても綺麗な状態のスポーツカーがあるとします。
都会でそのスポーツカーが置かれている場合、特に気に留めることはないでしょう。よくある光景の1つに感じると思います。
全く同じスポーツカーが廃墟の駐車場に停まっていたらどう感じますか?
物自体には何も変化はありませんが、あなたは珍しく感じるかと思います。
同じ物であるのに何があなたの視線を惹いているのでしょうか?
それは自分のこれまでの経験では想定しなかった違和感があなたを惹きつけているのです。
「不適切な場所にある」「上下が逆さま」「中身が見えている」など普通とは違うチグハグな感じ。
それを探す事が面白い写真を撮る方法なのではないでしょうか。
写真を見てみましょう。
上の写真は利用者数が多いのか、2つのポストが並んでいた場所です。多くの場所では基本1つしかないポストが2つ並んでいることに面白さを感じ撮影しました。
この写真は公園の入り口に放置されていたキックボードを撮影しました。細部を観察すると長いこと外に放置されたような錆や割れ、パーツの欠落。その一方で、さっきまで遊んでいたかのような丁寧な置き方。このチグハグ感が私を楽しませてくれました。
最後にこの一枚。これは解体作業の途中で放置された建物内部の写真です。
本来は立っているべきフェンスは倒され、どこから運んだのか分からない謎の物体が真ん中に、そして丁寧に並んだ椅子や机。例で出した廃墟にスポーツカー停まっているのと似たような状況を撮影しました。
物だけ見ても珍しくはないが、周りの環境によってその物が持つ雰囲気も変わってきます。
歩いている時に
普通とは違う事はないか
を探してみると面白い被写体が見つかるかもしれません。
まとめ
このnoteではスナップの時の「被写体の探し方」について解説しました。
物がどんな情報を持っているか
これを考える事はスナップに限らず、どんなジャンルの写真でも大切です。
動物を撮影する時は可愛く見せたいのか、それともカッコよく見せたいのか
花を撮影する時は形を見せたいのか、色を見せたいのか
などなど、意識はしていないかもしれませんがその被写体の魅力を理解して写真を撮っているはずです。
スナップも同様、自分が魅力的に感じる部分を探してみてください。
まだまだ観察するべきポイントはありますが、スナップを撮ってみたいと思っている方は5つのポイントを意識しながら撮影に向かいましょう。何度も歩いた街が新しく見えるかもしれません。
このnoteで使った写真は全てキットレンズで撮影しました。高い機材だから撮れないと思うのではなく、今持っている機材ですぐに撮りにいきましょう。今日家に帰るまでに見つけたあの景色、明日には跡形も無いかもしれませんよ。