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詩『身勝手にも』
こっそりと間借りしました
夜明け前の静けさの中で
白い ごつごつ壁
湿気を帯びて 微かに冷ややか
ベランダに出た貴方 驚いていた
柔らかい息遣いの間にこぼれる声
遠くで聴いた気がしたんです
そっとしてくれたこと 嬉しかった
今年の夏 酷い暑さでしたね
わたし 上手に体が作れないもので
サナギを破る力 残らなかったみたい
花でさえ健気だというのに
わたしの腹は 茶に染まり 黒に変わり
ゆっくりと枯れていきます
それでも 少しだけ 頑張ったものですから
箒で叩く前に よくご覧なさい
翅の模様や 目の大きさ 透けてる
ほんの少しだけでいいので
今年の夏 酷い暑さでした
明日には 陽の光に抱かれて
花弁にも似た翅 透かして
縁が星屑を散らすよう
そんな夢をみながら わたし 眠ったのです
ああ 明日には きっと美しい
わたし