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波切島の「雄介」の魅力

「奈緒子」を久しぶりに観た。

私の中では好きな作品の一つ。物語は単純で、ひたむきに一生懸命駅伝に打ち込む駅伝部の高校生達の心情、揺れ動く心の葛藤を描いている。皆で一つの目標に向けて努力する。
アンカーにタスキをつなぐ為に皆で力をあわせる駅伝。絶対一人では成し遂げられない競技。

春馬さん演じる雄介がまた、これまた爽やかでいい子なのだけど、若春馬が輝いている。

セリフがなく表情やお芝居だけの樹里ちゃんと春馬さんのシーンがいくつかあるが、そこは流石の二人。言葉がなくてもしっかり物語の背景や関係性が伝わる。そして、メイキングを見て改めて思ったのが、春馬さんは撮影になると途端に顔つきが変わるという事。キリリとして引き締まり、目つきが変わり、そして更に綺麗で美しくなる。大人っぽく変化する。

海沿いを颯爽と走る凛々しい雄介。
海と山と空と風。
春馬さんは本当に自然が似合う!

中盤、周りの部員と雄介の駅伝への思いの温度差は広がり、確執が生まれてしまう。ただ皆を鼓舞するだけなのだが、皆の嫉妬から雄介は孤立してしまうのだ。悩む雄介だけど、駅伝に対する思いは変わらず、一人黙々と走る。その姿を見ていた周りの皆は、徐々に心を動かされていく。

最後のレースのシーンで柄本時生さん演じる奥田先輩は雄介に

「雄介!俺はお前が嫌いだ。誰よりも速くて無邪気でいい奴で。でももっと嫌いなのはそれを妬む俺だ。そんな俺が大嫌いだ」

と語る。とても印象的なシーンだし、身につまされるセリフの一つだった。柄本さんもなかなか重要な役どころでそれが彼ととてもよくマッチしている。

ライバル黒田くん演じる陸上部だった綾野剛さんとのレースのシーンは圧巻で、迫力があり見応えがある。何回も何回も走ったそうだ。真剣さが画面からもしっかり伝わる。
メイキングで春馬さんは

「何回も走るのが本当に辛くてとても大変だったけど、監督が優しく、しっかり休んでまた頑張ろうね。と言ってくれて頑張れました。そんな監督の優しさが表れていたらいいなと思います」

と素直に、でも泣くのを必死で堪えながら語っていたのが印象的。感情豊かで涙もろい春馬さん、なんとまあ可愛いし監督への気遣いまで。そして

「剛くんがいてくれたから頑張れた」

なんて事も、ゆっくりおっとり、でもしっかりと語っていた。とっても春馬さんらしい。

容姿は出来上がりつつあるから、ふとした瞬間、我を忘れて、かっこいいなあ。と思ってしまうが、素はまたまだ子供の春馬さんだった。ホントに辛かったんだと思う。それを踏ん張って乗り越えて、偉かったねぇとしみじみしてしまった。

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樹里ちゃん演じる奈緒子は、主役だから勿論重要な役なのだけど、初めて観た時は、大変失礼ながら、これは雄介が主役?タイトル「雄介」だろう?と思ってしまうくらい雄介の役割は大きかった。
でもメイキングの中で原作者の坂田信弘さんが

「途中から奈緒子が出てこなくなり、雄介ばっかりになってしまっていた」

と苦笑いしながらおっしゃるのを聞いて、よかった〜私の感想もあながち間違いではなかったのね!と少しホッとした。


撮影は「恋空」の前後?「14歳の母」のキリちゃんのようなあどけなさがまだ残る。
瞳には目力と憂いた眼差し、表情には色気、言葉を発すると変声期の幼さが見え隠れしているけど、立ち振舞いはとってもスマートで絶妙なアンバランスさ。これは意図的に作ろうと思っているものではなく、春馬さんの中から自然に溢れてくるものなんだと思う。持って生まれた才能なのだろうか。美しい。

そして、カメラがまわりはじめるともう途端に俳優三浦春馬になっている。

「君に届け」の風早くんだってそうだけど、嫌味がない清々しさは、もともと備わっているものなんだと思う。多少役作りはしていても、普通に演じているだけ。なのにかっこいいなんて!!それは、決してわざとらしく格好つけたかっこ良さじゃない。

「ラスシン」の広斗くんだって、そもそも春馬さんは自分でかっこいいなんて思ってないから、パーフェクトにも関わらず俺様的な感じになっていなくて、研究して表現した格好良さが、結果自然な格好良さになっているんだろうなと思った。

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その時の気分で、いろんな春馬さんに逢いたくなり、いろいろな作品を繰り返し観ているが、そこには前に同じ作品を観た時の春馬さんとは違った春馬さんがいるから、不思議で面白い。

その中に魂が存在しているんだな、きっと…

また新しい春馬さんに逢いに行こう!

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