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すゞめ

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大正は四十七年で終わり、昭咊《しょうわ》になって随分経った頃。コギノ エダさんと私、オオタ メルはお友達でした。 大戦がなかった架空の日本のある港町で、夢を描いた少女の物語。 小…
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すゞめ/昭咊異聞/その昔、私たちはお友達でした

 先生が教室の引き戸をガラリと開けられ、わたくしたちはお話をやめました。先生は、分厚いメガネ越しにわたくしたちの方を見渡され、ふむ、と一つ頷かれました。 「全員揃っていますね。今日は点呼の代わりに、この間提出してもらった、綴り方の返却から始めます。」  そう言うと先生は、あいうえお順に児童の名を呼ばれ、赤丸のついた綴り方を返され始めました。三番目に呼ばれたわたくしは、先生の前に出ましたが、先生はちょっと微笑まれてわたくしの肩を掴むと、児童の方へ向けさせました。 「今度の