サウンドトラック

映画のサウンドトラックを聞きいてから、映画を見たことがあるだろうか。
私は、一度だけ、ある。

看護師国家試験の猛勉強中、繰り返し繰り返し聞いた。映画はまだ見ていない。
どんなストーリーだろうか。想像しながら、自分で物語を作り上げながら、何度も聴いた。

初めて映画を見た時、泣いた。
冒頭から、涙が止まらなかった。映画館で、ニヤニヤしながら泣いた。1番泣いた映画だった。
自分が作り上げてきた物語を悉く裏切られ、圧倒された。ストーリーの深さ、曲に込められたパッションに心打たれた。

その年は初めて海外に行き、アメリカの空気を吸った。その経験丸ごと、この音楽に閉じ込められている。10時間のフライト、ワクワクしてたまらなかった。一流の接客に感動したレストラン。怯えながら乗った地下鉄。初めて安心して歩けたDisneyの敷地内。全てすべて、この曲たちに閉じ込められている。

そしてその曲たちを聞くといつも、あの時に感じた感動や興奮を味わうことができるのだ。

記憶というものは、どうしてこんなにも曖昧で不確かで、幻想みたいなものなのに。どうしてこうも心を動かされてしまうのか。

宝物とはこうしてできるのだ。

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