たまのぜいたく
昨年末に網膜裂孔の治療を受けた話を書きました。
その後、1月末と3月末に経過観察に出向き、今後は3ヶ月に一度のペースで眼科に通うことになりました。
1月の時は、レーザー治療したところがきちんと塞がっているか、またあの「大きなレンズ」を目に入れられるのか、とかなりビクビクしながら足取り重く、眼科に向かいました。
年末から1月にかけての1ヶ月間はそのことが頭を離れずストレスフルな状態で日々、過ごしていたのです。一方で、「大丈夫、大丈夫、今度は深呼吸をしてやり切ってみせる!」と鼻息荒い自分もいました。
いざ、診察台に顎を乗せて深呼吸をすると、あの「大きなレンズ」が迫ってきました。やっぱり入れるのかぁーーと思った瞬間、眼の前でその手が止まり、そのレンズ越しに眼底を見ている様子。その時の安堵感といったら!
体中の力が抜けました!
治療したところに問題はなく(ここが一番重要)、ドライアイによる角膜の傷もだいぶ少なくなっていて、めでたしめでたし。
次回の予約をし、点眼薬をもらって帰ってきました。
ということで、その次の3月末の時は、前回ほどの緊張感もなく眼科に向かい、眼圧、矯正視力、医師の検診、という流れにも慣れ、眼科を後にしました。
とはいえ、病院に入ってから出るまでほぼ3時間。
病院とはそういうものだとわかっていても、ぐったりです。
待ち時間用に本を持って行きましたが、眼科で本を読む、というのもなんだか落ち着かず、読んでは目を閉じ、読んでは目を閉じ、の繰り返し。
会計も済ませて外に出ると、瞳孔が開いているので「うわっ」と声が出るくらい眩しくて、持ってきたサングラスをかけ、「それにしても疲れるなー」と思いながら家路につきました。
いつも駅近くの大きなホテルの中を通り抜けるのですが、その時ふと、ホテルのラウンジに目がいきました。平日の昼間なので人はまばらで、瞳孔が開いた目にも優しそうな暗さ。きっとコーヒー一杯1000円以上だろうな、、と思いつつもすでにラウンジへ吸い込まれ、、。
とても丁寧に「いらっしゃいませ」と頭を下げていただいて、ジーンズにラフなコートという格好に申し訳なく思いつつ、広いラウンジの中を案内していただき、椅子を引いてもらって座る、というなんとも贅沢な一連の流れ。そして、そのソファの座り心地の良さと言ったら! さすがにここでランチをいただくのは気が引けて、でも甘みを熱烈に欲していたので、瞳孔がさらに開きそうな値段のウインナーコーヒーを注文。
周りにはシニアのマダムたちやビジネスの話をしているような方たちもいましたが、皆、声は小さめです。私はずっと目を閉じて座っていました。
運ばれてきたウインナーコーヒーはとても美味しく、クリームの冷たさとコーヒーの熱さが絶妙なバランスで、値段のことばかり気にしていましたが、こんな時くらいたまにはいいかーと思い直し、そのおいしさと、静かな、それでいてホテル内の少しのざわめきを思いがけず堪能した時間となったのでした。
眼科の帰りはここに寄る、3ヶ月に一度の贅沢な時間もいいかもしれません。