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異世界転生‐男の娘/僕はこの世界でどう生きるか 61-63
61 紅の触手
少し考えた後、ガイルズ師はうなずいた。
「それは効果があるかもしれない」
僕が男の娘サキュバスの特技で、能力の高い男たちの精をたくさん受けてパワーを溜める方法の事だ。
パワーを溜めて紅の触手と交配すれば、触手を鎮めた後も僕の命がまだ残っているかもしれない。
「お前がそれで納得して生贄になれるというのなら、クボタ師もアーノルド師も協力するだろう」
ガイルズ師も、彼を操っているダイナロスも、やはり紅の触手を鎮めるのが目的なのだ。 遠くに見えていた寺院の門が、近くなってきた。
紅の触手はどんなやつなのだろう。
いよいよ、物語のクライマックスなのか、と僕は興奮を抑えられなかった。
氷の階段を上っていると、先の方から一体の骸骨兵がよろけるように走り下りてきた。攻撃する意思は無いようだ。
その骸骨兵はガイルズ師の前に来ると、身振り手振りを使って何やら報告しているようだった。
「そうか。わかった」ガイルズ師はそのあと、僕の方に向かうと、急ぐぞと言って走り出した。
僕もそれについて走る。足元が滑るからあまり早くは走れないけど、とにかく急いだ。
寺院の正門がすぐそこになった。
仰ぎ見ると、正門の奥の聖堂から、赤い物がにょろにょろうねっているのが見えた。
あれが紅の触手か。
魔氷が完全に崩されたのか。聖堂は出入り口を鉄の檻で封じられているが、紅の触手はその檻を壊そうとうねる。
そうさせまいと二人の魔導士が、氷雪魔法で対抗していた。
あの魔導士たちが、さっきガイルズ師の言ったクボタ師とアーノルド師なのか。
正門をくぐり、中庭に入る。
聖堂の前には何体もの骸骨兵が崩れるように倒れていた。
「何とか檻の製作が間に合ったようだな。しかし、じきに破られるのは避けようがなさそうだ」
ガイルズ師が言って走りだす。
すぐに彼は紅の触手を抑える魔法陣に加わった。
あの骸骨兵は紅の触手の氷を壊す作業ではなくて、檻を作っていたのだ。
では、誰が氷を壊す手伝いをしたのだろう。
そう思っているうちに、何やら羽音がたくさん聞こえてきた。
檻の間から、羽音を立てながら無数の虫が飛び出してきたのだ。
その虫に対して、魔導師たちは炎魔法を浴びせる。
ぱちぱちと音を立てながら虫が火の粉のように燃えて落ちてきた。
この調子だと魔導師たちのパワーを分けてもらうという作戦は無理のようだ。
今にも紅の触手はこの世界に侵入を果たそうとしているのだから。
でも、ダイナロスは何をしてるんだろうか。
異世界の神のダイナロスはここの魔導師たちよりも強力な存在のはずなのに。
「ダイナロスに助けを求めたらいいんじゃないですか?」
僕はガイルズ師のそばに寄って言ってみた。
「それはできないのだ。ダイナロスはこの世界に直接現れることはできない。それをするとこの世界と彼の世界が融合してしまうからだ。そうなると無限の無秩序に支配されてしまう」
ダイナロスはこの世界に来ることはできないということか。
だから自分の手足になりそうな者を召喚して、なんとか目的を果たそうとしていたわけか。
ここまで来たら、この世界とダイナロスの世界を救うためには、僕が死ぬしかないようだ。
僕一人が死んで二つの世界が救われるのなら、僕にとってもこれ以上ないくらいに有意義な死だろう。
「僕が行きます。あの触手にお尻を見せればいいのかな」
僕が言うと、ガイルズ師は苦い汁を味わったような顔をして頷いた。
僕は一歩一歩霊廟に近づいていく。
荒ぶる紅の触手は今にも檻を破って出てきそうだった。
62 帰ってきたショタ法師
魔導師たちの攻撃呪文がいったん止んだ中、僕は不気味にうごめく紅の触手に近づいていく。
間近で見る紅の触手は、タコやイカの触手みたいな感じだった。
太さは象の足くらいなものもあれば、人間の腕くらいのものもあって、いまいち統一感というのがなかった。
吸盤があるものもあれば、つるつるのものもあるし、節くれだった老人の腕のような感じのものもある。腕もあれば足もあるようだ。
それら一本一本が別々の意志でもあるようにうごめくのだ。
早くここから出せ、自由にしろと言うように。
不思議と僕に恐怖感はなかった。
ここで死んだら元の世界で目覚めるのでは、という気がしていたからだ。
リリー達仲間に最後のお別れを言うのもできないのは悲しいけど、だいたいもう時間の余裕はないのだ。
リリーさん、勇者になる手伝いできなくなってごめんなさい。
カオルは元の世界に戻れるんだから文句はないよな。
タバサにリズ、最初ちょっと苦手に思っていたけど、いい仲間だったと思うよ。
きっと、今度出会ったらすぐに打ち解けて仲間になれると思う。
みんな、さようなら。
僕は元の世界に戻れるのか、完全に消え去るのかはわからないけど、ここでこうするのが正解だと思う。
階段を登ってるうちに、これまでのことが思い出されてきて、ちょっと涙ぐんでしまった。
目の前に紅の触手がうごめいている。
僕はその触手に背中を向けて、ローブをめくり上げる準備をした。
大きく深呼吸した。
あとは、覚悟を決めて触手に向かってお尻を突き出せばいい。
それですべて終わるんだ。でも、元の世界ってどんなだったっけ?
元の世界を思い出すことがなくなって随分になる。
今度、そこに戻ったとして、まごつくことなく元の生活に戻れるんだろうか。
いやいや、目が覚めないかもしれないのだった。
そうなると、完全に消滅だ。
完全な無というのも想像しがたいな。
前を見ると、ガイルズ師が両手を合わせていた。
そろそろだよね。さようなら、この世界。
その時頭の中で声がした。
『ジュン、いまどんな状況ですか?』
声は五蔵法師のようだった。あのショタ法師、戻ってきたのか。
五蔵からのテレパシーだ。
僕の中のまだ残っている五蔵の能力が、彼とのテレパシー通信を可能にしているのだ。
声のあとから、五蔵の今の状況がどっと入ってくる。
彼の目を通した動画のように。
彼はロリテッドに着いてカオルやカル-エルに会っていた。
五蔵の傍には茶色い毛皮の鎧を着た無骨な巨人が立っている。
曲刀を腰にさし、ずいぶん強そうだ。
この男が九戒なんだろう。
やっと正常に異世界転移できて、思い切り活躍できると意気込んでる様子が感じられた。
まだリリーたちはロリテッドまで下りていないのだろう、そこには居なかった。
僕の方からも、ロリテッドを出てきてからの記憶を送る。
『わかりました。カル-エルに頼んでそちらに向かいます。途中でリリー達も見つけられたら一緒に行きますから。もう少し、その最後の手段は待っていてください』
死ぬ覚悟はできていたのに。
五蔵法師の帰還は嬉しいけど、すこし悔しかった。
もう少しで二つの世界を救う救世主になれるところだったのだ。
二つの世界では永遠に男の娘サキュバス-ジュンの名前が記憶されて、銅像くらい立っただろうに。
でも、いざ助かる道が見えてしまうと、さっきまであった覚悟も夏の日を浴びた氷のように解けてしまう。
僕はすぐに霊廟の階段を下りて、ガイルズ師のもとに走った。
そして、けげんな表情の彼に、五蔵法師という偉大な魔導士が登場したことを告げた。
「彼はこの怪物を倒す方法を知っているというのか?」
ふって湧いた話にガイルズ師は不安な顔だ。
「だから、もう少しだけ待ってください。彼らが来るまで、たぶんそんなに時間はかからないと思いますから」
僕は深くお辞儀した。
63 クライマックスだよ、全員集合!
「それなら、魔氷の術で奴の動きを止めようぞ」
横からアーノルド師がガイルズ師に言った。
ロイナース師の能力を授かった僕にはわかるが、この術は氷雪魔法の最大級のもので、最も魔力を消費する術だ。
ロイナース師が使っていったん氷に閉じ込めた術だけれど、今の状況ではそれも厳しいかなと思ってしまう。
ロイナース師が対処した時と比べて、触手の大きさが桁違いなのだ。
時空の穴から這い出してきた触手は、その時は二メートルほどこの世界に浸潤してきていただけだった。
しかし、今では霊廟の中に納まりきれずに外の檻を押し破ろうとしている。
「三人の魔力すべてを使いきってしまうかもしれんが、それも致し方なしか。他に有効な手段もないしな」ガイルズ師がうなずいた。
僕も手伝います、と言って、彼らの魔法陣の中に入る。
全員の魔力を結集して、魔氷の術を放つ。
僕らを包む光の球から、太い帯のように怒涛の氷雪が紅の触手に向けて放出される。
それを浴びた触手はじわじわと霜に覆われていく。
次第に触手の動きが弱くなってくる。
全体が厚い霜に覆われた。
そして最後の仕上げに魔氷降臨を唱えて、その霜を完全な魔氷に変えた。
「これでしばらくは時間が稼げるだろう。どれ、尻を出せ。念のためにさっきの作戦を実行しようぞ」
ガイルズ師が僕に言った。
そうだった。僕が生贄になるとしたら、魔導師の能力をできるだけたくさん取り込んでおく方が、僕の生き残る確率が上がるのだ。
五蔵法師が来てくれることになったけど、彼にもここまで増殖した触手を倒すことができるとは限らない。
クボタ師とアーノルド師もそこは分かってるみたいで、僕は三人の魔導士の節くれだった肉棒に囲まれた。
うーん、緊迫したクライマックスなのに、なんだかおまぬけな図だなあ。
でも、のんびりしている場合じゃない。
僕はローブを捲ると、地面に両手をついて彼らにお尻を突きだした。
「なんと。かわいらしくも淫らなサキュバス尻だな。むっちりしてすべすべで」
最初にガイルズ師の太い肉棒が僕の肛門を広げながら入ってきた。
じゅんと濡れた僕のそこが待ってましたと咥え込む。
「お、おう。これはすごい。サキュバス尻とはこれほどまでに男を狂わせるものだったか」
ガイルズ師の性欲レベルがずんと上がるのが分かった。
あ、あん。気持ちいい。もっと……と思ってる間もなく彼が僕の中に射精した。
あの、ちょっと、早いんですけどと彼を振り返ると、ガイルズ師は、急ぐんだからしょうがないだろと、早漏をごまかした。
まあしかたない。こんな山の中で禁欲生活を続けていたのだろうからな。
次にクボタ師が僕の中に挿入してくる。
この人のは茶色くて小ぶりだけど固い肉棒だった。
小さめだけど、アナルの中でいいところをクンと突くことがあって、ああん不意に快感が立ち上がるから我慢できない。
もう少しで僕もいきそうになる所で、彼もドクンドクンと発射した。
個人的には、もう少し頑張って欲しいなあ。
そして最後にアーノルド師。
「男は興味なかったのだがな。こいつの尻は男だと思えんな」
そう言う彼の物が入ってくる。
彼の肉棒は三人の中では最大だ。
少し硬さが弱いけど、挿入困難なわけではなかった。
やっぱりでかいのがいいなあ。満たされるって感じが最高。
もっとずんずん来て、そんなことを口走っていたら、上空から声が聞こえた。
「呆れた! こんなところで何やってんだ」
リリーの声だ。
見上げると、カル‐エルの担ぐ長い丸太の上にリリー達とカオルに五蔵、九戒が乗って、ゆっくり降りてくるところだった。
つづく