ドSな彼女 3
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翌日の日曜日。
マスターは法事に出ないといけないということで、珍しく日曜なのに店休日となっていた。
そして、僕はというと、お食事会ということで、里緒菜さんに誘われて隣り町のマンションに来ていた。
向井理沙さんが住んでいるワンルームマンションだ。
今日はそこに昨日のメンバーが集まって、ピザパーティーをするということらしい。
漫画の感想、もっと詳しく聞きたいし、男の子がいたほうが楽しいから、遊びにおいでと里緒菜さんに誘われた僕は、大喜びで自転車を漕いでやって来たのだった。
ベルを鳴らすと、すぐにドアが開いて里緒菜さんが招き入れてくれた。
靴を脱いで上がると、里緒菜さんの目線が少し高いのに気付いた。
僕より少し背が高い。たぶん165センチくらいかな。
厚底靴履いてたのがばれちゃったな。ちょっとショックだ。
奥を見ると、部屋の主の向井さんはもちろん、田中さんと遠藤さんも先日同様の笑顔で手招きしていた。
「ではでは、お腹も膨れたし、本題に入るよ」
低いテーブルを囲んで、僕の横の里緒菜さんが僕の顔を覗き込んで言った。
ピザもたらふく食べて僕も満足したところ。いよいよエッチマンガのインタビューかな。
「じゃあ、あたしから最初に質問いい?」
一応って感じで里緒菜さんがほかの仲間に確認したあと、マンガのページを開く。
「このシーン、男の子から見てどうかな」
里緒菜さんが開いたページは、男の子が上半身裸にされて後ろ手に縄で縛られた場面だった。
床にひざまずく彼の周りには、四人の女性がソファに座った状態で見下ろしている。
ケンカの結果とかじゃなくて、SMの体験ってことだ。
見開きのページになってるし、すごくぐっとくる絵だった。
四人の女子大生に囲まれて、その中心で注目されている今の僕自身が彼になったような気がして胸がドキドキしてくる。
「すごく刺激的だと思います。男なのに、無抵抗にさせられて、女の人に見降ろされるのは、男としてはそれだけでちょっと無理というか……」
「男なのに、女に負ける敗北感って感じかな」
里緒菜さんが、まさに僕の言いたかったことを代弁してくれた。
そうだ。縛られて無抵抗にさせられるのは、負けるってことなんだ。改めてそう思った。
「やっぱり女の子には負けたくないんだ」
僕の正面に座ってた向井さんが鼻の穴を膨らませて言った。一瞬その顔がお相撲さんみたいに思えてクスリと笑ってしまう。
「じゃあさ、腕相撲してみようか。あたし、高校の時はバレー部三年間ばっちりやったし、結構強いよ」
笑われたからかな。彼女は挑発的にテーブルの上に腕を乗せて僕に言った。
怒っているわけじゃなさそうだけど。
でも、いいのかな。少し躊躇してしまう。
「本気出していいよ。負けないようにね」
横の里緒菜さん。
「ちょい待って、勝負するなら罰ゲームないとつまんないよ」左側から遠藤さんが言う。
「それもそうだよね、で、どうする」里緒菜さんと遠藤さんが話し合う。
「ミチル君が負けたら、そのシーンを再現して体験してもらうってのはどうかな。幸い縄もあるし」
「それいいね。じゃあ、理沙が負けたら、お尻かおっぱい出して見せるってしよう」
遠藤さんと里緒菜さんの提案に、向井さんは同意、こうなると僕も嫌とは言えなくなった。
しかし、縄が用意してあるって、どういうことだ。僕を縛ることを最初から考えていたということ?
でも、その時は急展開に追いつかなくて、僕は深く考えることもできなかった。