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ドSな彼女 Ⅲ-14
14 三人一組の恋愛
こういうことを相談するなら、あいつしかいないなあ。
翌朝、学校で僕は上村加奈子を目で追った。
加奈子はすぐに僕の視線に気づいて、近寄ってきた。
「そういえば、片岡先輩と何か進展あった?」
ニヤニヤしながら聞いてくる。
加奈子の言葉に、他の女子もくすくす笑いながら寄ってきた。
「いや、別に。後で、ちょっといいかな」
僕は寄ってくる無関係女子を手のひらで追い払うようにして加奈子に言った。
後でというのは結局放課後になった。
自転車置き場に加奈子が待っていてくれた。
「実はさ。里緒菜さんに片岡先輩か自分かどちらか選べって言われてるんだよね」
すでにクラブ活動用のサイクルジャージに着替えてる加奈子に僕は言った。
加奈子は僕と里緒菜さんの付き合い方も知ってるし、そんな加奈子だから片岡先輩との公衆便所エッチのことも打ち明けた。
「うーん。すごい展開だね。でもさ。片岡先輩あの時言ってたじゃない。ミチルくんは男として彼女と付き合っていればいいって。自分はミチルくんの女の部分を愛するからって。そのままいいんじゃないの?」
加奈子は何を言ってるんだろう。
「そのままってどういうこと?」
「ミチルくんは両方と付き合うこともできるってことだよ。二人共ミチルくんのことが好きなんでしょ。ミチルくんも二人が好きならそのままでいいじゃない」
加奈子の言葉で、なんだかそれまで考えてもみなかった不思議な世界が開けた気がした。三人組の恋愛だって?
それでいいのかな?
つぶやく僕に、やってみればいいじゃんって加奈子が言った。
二日後の土曜日だ。
両親は仕事で居ない。
僕の部屋に里緒菜さんと片岡先輩を招待していた。
先に来たのは片岡先輩だった。
どうぞ、入ってください。今日は両親は仕事だから何しても大丈夫ですよ。
そう言うと、片岡先輩はすぐに股間を膨らましてるようだ。
まったく男ってしょうがない。
じゃあ、僕の部屋で休んでいてください、コーヒー淹れますからと二階に通して、台所で作業していると、またドアベルがなった。
出てみると、ジーンズに革ジャンの里緒菜さんがヘルメットを片手に立っていた。
ちょうどよかった。
「こんにちは。言われた通り、拘束道具もってきたよ。君の部屋でやるの?」
里緒菜さんは大きめのデイパックを持ち上げるようにして言った。
「どうぞ。上がってください。コーヒーの準備しますから」
僕は三人分のコーヒーをトレイに乗せて里緒菜さんを案内する。
部屋のドアを開けて入ると、片岡先輩がぽかんとした顔をしてこっちを見た。
里緒菜さんの方は、トレイのカップが三人分だったのを見ていた所為か驚いた顔じゃなかった。
「え、今日は三人なんだ」
片岡先輩がそう言って里緒菜さんに軽く会釈した。
「三人で話し合うの?」里緒菜さんも振り向いて訊いてきた。
とりあえず座ってください、と言って里緒菜さんは勉強机の椅子に、片岡先輩はベッドに座ってもらう。
コーヒートレイは机において、僕は絨毯の上で正座する。
里緒菜さんの香水の匂いと、片岡先輩の男くさい汗の匂いに僕は挟まれる。
遠くで町内会の時報が11時の音楽を鳴らし始めた。
「スラップルとかいう言葉知ってますか?」
僕は二人に向かって言う。
なんだそれ、と片岡先輩。
「三人組のカップルの事だよね。スリーとカップルでスラップル」
里緒菜さんは知ってたみたい。
やはり、片岡先輩の事を僕が話した時点で調べたのだろう。
「世の中には三人一組の恋愛関係というのがあるらしいんです。A、B、Cの三人が居て、AーBーC全部が性的に関係あるとか、A-B、A-Cは性的関係あってB-Cは友達関係とか、そう言う三人組のカップルです」
僕の言葉に、里緒菜さんはうなずいて、片岡先輩は難しい顔をして、それぞれ黙っている。
「もともとは片岡先輩が言ってたでしょ。僕は里緒菜さんと男女の関係を持ってていいって。自分はミチルの女の部分を愛するって。それが三人カップルってことですよ」
「確かに言ったけど、本当にうまくいくのかな」と片岡先輩。
里緒菜さんは平気みたいだけど、彼の方が不安げな表情だ。
「うまくいくか行かないか。これは試してみるしかないと思います」
僕はそう言って立ち上がる。
そして着ている服を全部脱いで裸になった。
「三人カップルになるのなら、お互いのセックスを秘密にするのは違うと思うので。まず、里緒菜さん。いつもみたいに僕を愛してください」
僕が言うと、里緒菜さんはデイパックから拘束用の道具を取り出してうなずいた。