子宮頸がん予防(HPV)ワクチンは打つべき?
今年4月から子宮頸がん予防(HPV)ワクチンの積極的な呼びかけが8年ぶりに再会されるとともに、この8年間で接種機会を逃した方は接種費用が無料になります。これに向けて職場で行われた勉強会に参加して、接種に対する姿勢というか、心持ちが変化したのでこちらにまとめてみたいと思います。今回は大学生まで接種の対象とされるので自分が打つべきか、そして娘さんが対象年齢の方は子どもに打たせるべきか悩む部分もあるかと思いますので、判断材料の一つになったら幸いです。
〇結論
結論から言ってしまうと接種は控えた方が良いと思います。根拠は以下の通りです。
①副反応がないとは言えないから
②子宮頸がん検診をしっかり受ければ早期発見が可能だから
③子宮頸がんの原因はHPVだけではないから
つまり、危険を冒してまでワクチンを打っても、子宮頸がんの原因は防ぎきれません。だったら定期的に検診を受ける方が安全であり、早期発見・早期治療が可能です。
〇HPV(ヒトパピローマウイルス)とは?
子宮頸がん予防ワクチンは、HPVというウイルスへの感染を防いで子宮頸がんを予防するものです。HPVは性交渉によって誰でも感染するありふれたウイルスで、男女ともに多くの人が感染しています。HPVは200種類以上存在し、その中でも15種類程度ががんの発症と関係する「ハイリスク型」と言われています。HPVワクチンは特にがん化しやすい16型、18型への感染を防ぎます。
しかし、このハイリスクHPVは感染してもすぐにがんに移行することはなく、浸潤がんの発生までは10年以上が必要と言われています。また、仮に感染しても一過性の感染で終わる人が多く、90%以上は2年以内に自然排出されます。つまりハイリスクHPVに感染してもがんを発症する確率は低いとされ、子宮頸がんはHPV感染に加えて、喫煙、栄養不足、肥満、多胎妊娠、長期の経口避妊薬の使用などの要因が重なることで発症します。
〇HPVワクチンは特殊なワクチン
HPVワクチンは不活化ワクチンという種類です。この不活化ワクチンはウイルスの遺伝子を有しないため、体内でウイルスが増殖することはありません(ワクチンによって感染が起きることはありません)。その分、免疫反応が弱いということになるため、数回の接種を必要とするという特徴が出てきます。
また、HPVの感染方法にも特徴があり(簡単にいうと)多くの感染症は免疫反応の部隊が血管内であるのに対し、HPVは組織に潜伏するため、ワクチンにはより強い作用が求められます。
このようにHPVワクチンはより強い免疫反応を起こさせるため強力なアジュバント(ワクチンの働きを補助する物質)を使用しています。そして、HPVワクチンの副反応は、このアジュバントが原因と考えられています。
〇ワクチンの効果
添付文書には、がん化する前段階の病変を予防する効果は90%以上と記載されています。しかし、HPV16・18型のみに起因した病変の予防効果であり、がんはHPV16・18型によってのみ起こるという訳ではないことに注意が必要です。アメリカのFDAへの承認申請文書の記載を見ると、HPVタイプに関わらない相対予防効果は12.2%であり、統計学的には「誤差の範囲」程度の効果しかないということがわかります。
〇HPVワクチンの副反応
添付文書にも記載されていますが「発生機序は不明であるが、ワクチン接種後に、注射部位に限局しない激しい疼痛(筋肉痛、関節痛、皮膚の痛み等)、しびれ、脱力感等があらわれ、長期間症状が持続する例が報告されて」おり、この副反応がHPVワクチンを接種するうえで十分に考慮される必要があります。
先ほど、ワクチンの補助剤であるアジュバントが副反応の原因と考えられていると書きましたが、、HPVワクチンの副反応を評価する試験では対照群に対してワクチン群と同様のアジュバント入りの別のワクチンを使用しているため、副反応の評価は困難です。コロナワクチン(コミナティ:ファイザー)とガーダシルで副反応を比較すると、コロナワクチンの2回目とほぼ同等の副反応を生じることがわかります。また、厚労省とPMDAに挙げられた報告をみると、一般的に使用されているワクチンと比較してHPVワクチンの障害認定件数はおおむね20倍以上となっています。このような、重大な副反応に対して十分な情報提供ができない状況にあることから積極的な勧奨が差し控えられてきました。
〇副反応に対する研究
HPVワクチンの副反応の出現頻度を調べる疫学的調査のうち、ある論文では「ワクチン接種を受けた方が症状を呈した人が少ない」という結果がでています。添付文書にはコロナワクチン接種と同等の副反応が出現すると記載があるのに、この結果は不自然ですね。ここには「健康だからワクチンを接種できる」というバイアスが含まれています。つまり、ふだんから病気がちで発熱しやすい人はワクチン接種を控えたり、体調不良の人は接種前の問診ではじかれて接種しないため、健康な人が多い接種群では、不健康な人が多い非接種群に比べて症状が出現する頻度が低いということになります。
一方で、こうしたバイアスを調整した研究では、HPVワクチン接種が学習障害や日常生活障害につながる重篤な健康被害をもたらす可能性を示唆しています。
〇ワクチン接種に代わるがん予防の方法
以上のことを踏まえて、個人的にはワクチン接種には慎重になる必要があります。冒頭でお話したポイントに戻ります。
①副反応がないとは言えないから
副反応はコロナワクチン接種と同程度に出現しますし、日常生活に支障をきたす副反応も一般的なワクチンと比較して多いです。また、このようなリスクを上回るがんの予防効果が期待できるかといえば、それを判断する十分な研究結果が出ていないのも事実です。
②子宮頸がん検診をしっかり受ければ早期発見が可能だから
HPVに感染してからがんになるまでは5~10年といわれています。これを考慮しても子宮頸がん検診を定期的に受けることで、早期発見・早期治療が可能となります。ワクチンを打たない代わりに検診を定期的に受けるという選択肢もあります。
③子宮頸がんの原因はHPVだけではないから
HPVワクチンはHPV16・18型に起因する子宮頸がんの発症を予防しますが、子宮頸がんの原因はそれ以外のハイリスク型HPVである場合もありますし、生活習慣もあります。つまりワクチンを打つだけで安心とは言えません。
〇接種するうえでの注意点
接種するとしても以下の点に注意をしてください。
①HPV陽性である場合は注意が必要
HPV陽性者に対してワクチン接種をするとむしろ異形成病変が増えてしまう可能性がある、また16・18型以外のハイリスク型のHPVによる病変が増えてしまう可能性があるという研究もあります。
今回、積極的勧奨が差し控えられていた9年間に接種機会を逃した方も接種の対象となります。性交渉により誰でも感染するおそれのあるHPVですから、HPV検診を受けて陽性だった場合は接種に慎重になる必要もあるかと思います。
②妊娠への影響
HPVワクチン接種により自然流産率が高くなったり、HPV接種率の高い国で10代の妊娠が急激に減少したという報告もあるようです。妊娠への影響についても考慮していく必要がありそうです。
〇あとがき
私自身、高校生の時にHPVワクチンを接種しましたが幸い大きな副反応はありませんでした。しかし、自分が接種したすぐ後にHPVワクチンの副反応で苦しむ方々いることがニュースで報道されるようになり、もしかしたら自分にも副反応が出現した可能性もあったのだろうと思っていました。今回は勉強会で学んだことを自分の中で理解してまとめてみましたが、世の中に出回っている情報を読み解く力が必要であると改めて感じました。コロナワクチンについても様々な議論がされる中で、自分の意志でワクチンを接種するかしないかを考えることが重要であること、そしてそれを判断するために知識を身に着けることが必要であると思いました。
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