花組『アルカンシェル』大千秋楽ライブビューイングの感想

 力強く自己肯定の話をした柚香さんの挨拶が美しかったです。
 このごろよく柚香さんがインタビューなどで、人前に立つことの怖さや、それを乗り越えていくことについて話しているのを見ていたので、余計に胸打たれました。
 
 ずっとずっと不思議だったんです。柚香さんの表現がどうしてこんなにも心に刺さってくるのか。
 なにも偽らずにまっすぐ世界に対峙してる感じとか、人の視線やカメラのまえで、自分がどう映るかなんてかけらも考えていないように、ただ純粋に心の動きを見せてくれるところとか。
 
 自分を応援して大切にしてくれるファンのおかげで自分を好きになれたと柚香さんは語ったけれど、その心のこもった口調からは、その道のりが、ファンの応援がなければ踏破不可能だったほど長く険しいものだったのだと感じられました。
 
 なんとなく私は、人前に立つ人はそれに適した性格をしているんだろうと思い込んでいました。でも違うんですね。私のような、人前に出るなんてとんでもない、というタイプの人間の心の中にある恐れや不安や、自分を傷つける自己否定の気持ちは誰にでもあって、それをなんとか制御して、柚香さんの表現はあるんですね。
 
 事実、自己肯定の話を真摯にする柚香さんの姿は本当に美しかったです。
 
 柚香さんが今日の挨拶でその話をしたのは、同じ表現者である花組の皆にも自分を好きでいてほしいからでしょうか。
 
 私は人前に立つことはありませんが、自己否定の気持ちで自分を傷つけているな、と感じることが多々あるので、この話はまったく他人事ではなかったです。心の中の本棚の特等席にずっと置いておきたい挨拶でした。
 
 そのあとの柚香さんは、元気いっぱい、皆への愛情いっぱいで、抱えてる花束もぴょんぴょん揺れてて、とても可愛かったです。

 柚香さんが退団を発表してから、ずっとこの日を世界の終わりみたいに恐れていたんですが、来世でも柚香さんに会いたいまどかちゃんと、来世でまどかちゃんと出会う話をだいぶ本格的に広げていく柚香さんを見ていたら、なにも終わりじゃない気がして、大丈夫な感じです。
 
 にしても、来世もよろしくと言われて、人間じゃないかもよ?もずくになっても気づいてくれる?ってからかうように言うの、わりと殺し文句じゃないですか? 

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