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ワレモコウはお喋り


秋の花の一角に吾亦紅(ワレモコウ)がある。

私が思っていたよりシーズンが短いようで、
8月末頃から始まり、10月の中頃までで
殆ど仕入れが止まるらしい。


もう見れないのか〜
寂しい〜



渋いお花なので、通好みの印象で、
活花や茶道界隈で根強い人気がある。
買ってゆく方もお着物を着てる方とか、
華道かじってる雰囲気を纏った方が多い。


例に漏れず、私の活花の先生も
ワレモコウが大好きで。
活花を習っていた頃、お稽古で
この季節によくお世話になっていた。

毎年触れるうちに、
私もだんだん好きになった。


先生が教えてくれた
ワレモコウの名前の由来は、

昔々、神様が赤い花を集めていた時に、
ワレモコウ自身が
「吾も亦(また)紅なり!」と主張したから。

もう一説には、

中国の皇帝が
ワレモコウの香りを気に入って、
「我も請う」と言ったから。

という2パターンがあって、
そのどちらも面白くて素敵だけど、

先生も私も、
前者のエピソードがより好きで、
秋になって、ワレモコウが登場すると、
一度はその話題でひとしきり盛り上がった。


その印象のせいか、
花屋で手入れをしていても、
ワレモコウがずーっと喋ってる気がする。

なんというか、ワレモコウが

「私は紅い!」

と耳元で主張してきている気になってきて、

ハイハイ、分かったから。
君はそう、紅いよ。

と心の中で返している。



お稽古で使っている時は、
茶色っぽい印象があって、
よくこの色で神様に、

「私も紅いんだからね!」

って主張出来たなぁ…などと
微笑ましく思っていたのだけど、

仕入れられたばかりのワレモコウって、
これが、なかなか紅いのだ。


数多くあるもっともっと赤い花の中で、
私も紅いんだからって
手を挙げる気の強さが、
今では愛おしい。


つられて、

「私も紅い」

って言いたくなる。



どこも紅くないけどね。

口紅でも引きますか。

髪色を赤めに染めたのは
ワレモコウの影響かな。





ワレモコウ…
可愛いんだけど、
時間が経つと、実が弾けて
部屋に散乱するという困った特性が...

なかなか我儘で手がかかる
姦しい花だ。

花屋で見かけたら、
その紅さを褒め讃えてあげて欲しい。


たぶん、

当たり前でしょ!って

満更でもなさそうにするんだろうな...

🤭



秋が一瞬すぎて、

もう寒いです…😢


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