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AHDHのお薬の必要性は?

こんにちは、りょーさんです。

「児童精神科の先生から、ADHDのお薬を飲ませたほうがいいと言われました。親としてはお薬には抵抗があるけどどうすればいいか?」
仕事柄、たまにではありますが、そんなことを相談されます。

エビデンスのある治療を受けることの重要性もありますが、一方で、ADHD特性のあるお子さんにお薬を飲ませることに抵抗があるっていうのも理解できます。
どのように考えればいいのでしょうか?


残念な会議


僕たちはお子さんについて、学校や福祉機関、ご家庭等が集まって会議をすることがあります。

よくあることの一つとして、この会議の論点が、
「今、お医者さんにお薬をもらって落ち着いているから大丈夫」
となり議論がそこで止まってしまうことがあります。
つまり、お薬が効いて、学校や家庭での問題とされる行動が減って、だから「様子見ましょう」ということ。

僕自身は子どものためにと集まった会議で議論が止まることは、とても残念に思います。


なぜお薬が必要なの?


以下、僕自身の考えを噛み砕いたものです。
違う考え方もあると思いますが、「一つの考え」として読んでいただけたらと思います。

精神医療に関わるお薬の多くの目的は、以下3つだと思っています。

①今を凌ぎながら
②成功体験を積み
③良い行動を増やし、習慣化する

お薬自体が何かを解決してくれることはありませんが、お薬がさまざまな解決の助けになることはある。
(自分、医療従事者ではないので、お叱りの言葉も受けるかもだけど、でも目的を考えると、概ねこんなか感じかなーって思います。)

睡眠薬を例に考えてみます。

①今を凌ぐ
お休みが必要な人であるのに、その人がなんらかの理由で眠れないとすれば、「まずはゆっくり休むために睡眠薬を飲む」というのは「今を凌ぐ」に当たりそうです。

②成功体験を積む
「寝る」ってことができてそれによって「休めたな!」「休めてスッキリしたな」って思えるなら、それは「成功体験」になりそうです

③良い行動を習慣化する
睡眠を適切に取れれば、スッキリ覚醒した状態で日常生活を送れて、活動に意欲が出るかもしれないし、余計な昼寝などもなくなる。それによって生活習慣の改善につながれば、「習慣化」につながりそうです。そして、いずれ薬が不要になればいいですね。

上記が睡眠剤を飲む一般的な「目的」だと思います。


ニーズは人それぞれ


でも睡眠薬が処方される一人ひとりが置かれている状況は違います。つまりなぜお薬が必要か?と感じる個人のニーズは違います。

ニーズを無視してお薬を処方すれば大変な事になる場合もある。
そもそも「眠って休む」ということのニーズがない人に睡眠薬はとりあえずより眠れるってだけで成功体験や習慣化にはつながらない。
「とりあえず寝られればなんでもいい!」ってニーズの人が不規則に睡眠剤を飲めば、逆に生活習慣が乱れ続け、お薬依存につながるリスクもあります。
睡眠剤を安易に乱用すれば、健康な生活習慣という大事なニーズが「とにかくクスリがほしい!」という間違ったニーズにすり替わる可能性もあります。

そう考えると一般的な目的をさまざまな状況に置かれている個人に無理やり当てこむことはできません。

ADHDのお子さんがお薬を飲む目的とにニーズは?


では、一般に発達障害に処方されるADHDのお薬について考えてみます。

ADHDの1番の問題は、育つプロセスで自尊感情を傷つける事だと言われます。

たとえば、多動によって怒られる。
衝動によってトラブルを起こす。
不注意によって忘れ物をする、ケアレスミスをする。
これを繰り返せばたくさんの傷つき体験をします

そこで周囲が間違った対応をすればその子は傷つき続け、自尊感情に深いダメージを与え、問題行動が増えるという悪循環を生みます

そうならないようにすることがADHDの支援の基本です。
(どのようなお子さんにとってもこの視点は大事であるってことも付け加えておきます)

AHDHのお薬は、うまく効けば、ADHDの特性である衝動性や多動、不注意を緩和してくれます。でも「治してくれる」わけではありません。
ではその目的はなんでしょうか。

では、お薬は、「今を凌ぐ」「成功体験を積む」「良い行動を習慣化する」の3つの視点で考えてみます。

①今を凌ぐ
→気持ちがソワソワして授業に集中できず、勉強も身に付かず、先生に怒られ、友達に馬鹿にされる子が、ちょっとでも落ち着いていられるなら、それが「本人をこれ以上傷つけないで済む」ということにつながります。

②成功体験を積む
→落ち着いている中で適切な行動が増え、勉強に集中できるならば、それは「成功体験を積む」という事になりそうです。成功体験を積めればそれが自尊感情を守ってくれるでしょう。

③習慣化する
→適切な行動によって「これなら友達とうまくやれる!」「これなら自分らしく学べる」ということが実感を持って学べれば、それは習慣化につながります。習慣化ができれば、自信を持ってやれることが増え、もしかしたらいずれお薬は不要になるかもしれません。

では、その子のお薬を飲むという手段に至るための保護者や子どものニーズはなんでしょうか?
ただ授業に座らせるためにお薬を飲ませるのは?
大人の都合の良いように動いて欲しいというニーズでお薬を飲ませるのはいいことでしょうか?
それによって成功体験を積めるとしたら、ではその成功体験とは?というところまで考えられれば、少なくとも冒頭で述べた「残念な会議」は起きないし、お薬を飲ませることへの保護者の不安も、丁寧に考えることができる(最終的にはご家庭が決めることですが)。

もっと大きな目的で言うと、子どもと社会との関係を良好にすること。それが子どもの発達にとても大きな影響を与えるのです。
この場合の「社会」とは、家族であり、親戚であり、学校の友達やクラスであり、習い事であり、地域コミュニティ、もろもろ子どもを取り巻く関係性や環境です。

それを良好にする一つの手段としてお薬がある。
逆に言うと他にも手段がある。
たくさんのなかの選択肢の一つとして活用するかを検討するのがいいかと思っています、。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


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