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海苔ができるまで🍙|邦美丸さん訪問レポート

少し前だけど、5/23に岡山県玉野市の胸上という地区で漁師をされている富永さんご夫婦にお会いしてきた!注文を受けてから漁に行く「受注漁」という取り組みをされていてすごく話題の方なのだけど、海苔漁師でもあって、海苔の作業がない時期に漁をしている。海苔の生産現場を見るのは今回初めてで、海苔ってこんな風にできるのか!とめちゃくちゃおもしろかったので、以下そのレポート✍️

【漁師も“働き方改革”……常識一変「完全受注漁」とは 売り上げ2倍、労働時間は半減...

Posted by 日テレNEWS24公式ページ on Thursday, June 6, 2024

海苔の成長

1. 網に種をつける

まず、海苔は胞子で繁殖するらしい。ここですでに驚きだった…!海苔の網をつくっている会社が胞子を管理していることが多く、そこから購入する。品種と同じで、胞子にも色々種類があって、邦美丸さんでは毎年3分の1は違うものを試している。

2. 網を張る

網の大きさは2m×15mで、1軒あたり250枚張る。邦美丸さんはお義父さんと一緒にやっているので2軒分で500枚。1軒250枚というのは全国的には少ないけど、網1枚でいくら稼いだか(網単価)が重要になってくる。網単価が10万円を超えたら良い方で、胸上地区では漁場にも恵まれているし、技術もあって、超えているそう。

肥沃な農地もあれば、痩せた農地や条件不利地もあるように、「海も状況次第で量・品質や品質が変わるのでは。網を張る場所ってどうやって決めているんだろう?」と思って聞くと、なんと漁協内でくじ引きで決めているそう。完全に運…!笑

だいたい9月には場所を決めて、11月に網を張る。

5月はオフシーズンなので、漁港には網がたくさん干してあった

3. 成長

最初に網を貼るときは、5〜10枚重ねて張って、ある程度海苔の芽が大きくなったら展開していく。最初の20日間くらいは網を上げ下げして、海から揚げて水を切ることによって、弱い種をふるいにかけ、シーズンを通して何回も生えてくる強い子を残す。

4. 収穫

海苔は12〜3月が収穫シーズン。一度刈るとまたでてきて、1シーズンで1番海苔〜14,15番海苔まであるそう。1番目はあまり伸びないけど、2番目以降はしっかり伸びて(1mくらい)分厚くなる。1週間前後で1サイクル。

海苔を収穫する用の船。専用の船があるなんて知らんかった。

収穫後の流れ

1. 洗う

泥や海苔以外の生物がつくので、10時間くらい海水で洗う。

このタンクで洗う

2. 海苔以外のものを除去

まずこの機械で大きいものを除去
エビやカニの赤ちゃんなど0.1mmのレベルで除去

3. 再び洗う

ここまではすべて海水。

4. ミンチにする

ここからは水道水になる。海水であれば海苔は生きているが、水道水だと死滅する。なんとなく生かしたままにしておいた方が新鮮?なのかなと思って聞いてみたら、生きたままだと乾燥した時に細胞の伸縮率が大きくて穴が空いてしまうんだそう。

海苔って板状の形でなってて収穫するのかと思っていたので(恥ずい笑)、ミンチにして整形するときいてびっくりした…

5. 熟成する

1〜2時間放置して熟成させる。熟成させすぎると白っぽいノリになってしまうそう。

6. 乾燥

40℃の乾燥機で、2時間半かけて乾燥と整形を行う。乾燥機は1回で18,000枚乾燥できるんだそう。

乾燥機は右奥までずーっと続く。めちゃ長い。
この簾の上に海苔がのる

7. 微調整

規格に関わる密度や厚さを微調整する。乾燥させてみないとわからないので、最初の設定でいかに上手にやるかが漁師の腕の見せ所でもある。めちゃ難しそう…

8. 検査

最後に、穴が空いていないか、ゴミがついていないかなどの精密検査を行う。海苔の等級は20位あって、穴が何ミリ以内、厚さがどれくらい、と細かく決まっているんだそう。

海苔の品質はその日の湿度・温度によっても変わる。植物だから光合成を行う。邦美丸さんでは光合成中の8-9時くらいに収穫するそう。海苔は海に栄養がありすぎても病気になるし、なさすぎても病気になる。藻場が減ってくると魚に食べられたりもする。海苔は冬の生き物なので海水温は低くないといけない。高いと色落ちするし、伸びるのも早くなる。

最近は海水温上がっているし、藻場も減っていると聞くので、海苔の生育管理も品質を保つのも今後どんどん難しくなっていきそう、、、

まとめ

海苔、おもしろい

高校生の頃なんて毎日おにぎりで海苔食べてたけど、全然知らなかった世界で、めちゃくちゃおもしろかった!

お話する中で、海苔って植物なんだということをすごく感じた(種やら光合成やら)。一方で、収穫後の流れや数々の専用機械を見ると、食品というか加工品だなあとも感じる。富永さんは、海苔漁師は「獲る」だけで終わらない点は、漁師の中では特殊だとおっしゃっていたけれど、ほんとそう感じた。獲る部分と加工の部分と、いずれも技術が必要で、漁師の腕が試されるんだろうなと。

邦美丸さんの海苔はポケマルで買えるので気になった方はぜひ!海苔だけでパリパリ食べちゃう。

今後の邦美丸さん

今後は受注漁を地域にも広げていきたいと話されていた。年配の漁師さんなどは、気になってはいてもネットやECが苦手という人も多い。でも、漁を教えてくれたのはその人たちだから、お返しじゃないけれど、地域のみんなでできる仕組みを考えたいと。

あと、この地域でよく獲れるが値がつかない「黒鯛」で町おこしをしたいとも考えているそう。観光協会や地域の飲食店ともつながって、ここに来ないと食べられない、にしていきたいと。

個の取り組みも素敵だけれど、独り占めするわけではなくて、地域に広げていこうとするのとても素敵だなと思った。初めての岡山滞在、とてもいい時間を過ごせた♪

富永さんに連れてきてもらった、瀬戸内海がきれいにみえるスポット。写真じゃ伝わらないけど、めちゃくちゃいい景色で気持ちいい場所だった✨
宇野駅近くの古民家ゲストハウスmachicado。居心地よかった。
ココカ古書店。machicadoのオーナーさんがやってて、すごい素敵な場所だった!夜はBar。

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