PANCRASE 348/349カード紹介
DEEPでの近藤有己の勝利を喜んだのも束の間、今週末はパンクラス昼夜大会が開催!
今回は本業でU-NEXTアーカイブ視聴となりそうですが、色々あって急遽現地観戦ですが個人的観戦ポイントなど纏めていきます!
大会概要
PANCRASE 348/349
日時 2024年11月10日(日)
PANCRASE 348 開場12:00 開始12:15
PANCRASE 349 開場16:50 開始17:10
会場 ニューピアホール
349① バンタム級 宮島夢都希vs千種純平
宮島はKRAZY BEE所属でプロ戦績5勝2敗。パンクラスで4戦した後にDEEPで2戦(1勝1敗)、前戦より再びパンクラスで試合をしている。
スタイルとしてはストライカー。デビュー当初はフットワーカーの印象があったがサイバー戦ではキレのある打撃で流血させ、前戦の鬼神戦では鬼神のしつこいTDを切り最後は強烈な膝でダウンからパウンドで仕留めるなど着実にMMAファイターとして成長を見せている。
千種はパンクラス稲垣組所属でプロ4戦無敗、若干19歳の期待の新鋭。パンクラスデビュー戦は今年7月の大阪大会。田中の強打を受ける場面もあったがケージ際でTDを奪いRNCで一本勝利。スタンドの場面でも長いリーチを活かしたパンチやミドルで組み立てを見せるなど打投極のバランスの良さを感じさせる。
千種は本年NBTで優勝したフェザー級の敢流、惜しくも準優勝ながら実力を証明したフライ級の岸田に続く稲垣組バンタム級のホープである事を証明するのか、それとも宮島が得意の打撃で新世代の胎動を一蹴し、ランキングそしてベルトへの足掛かりとするのか!!
フィニッシュ必至の第1試合!!
349② バンタム級 山木麻弥vs宮城成歩滝
山木はALIVE所属の17歳、全日本アマチュアパンクラスを制して今年7月の大阪大会でデビュー、全日本アマチュア修斗王者前田とのアマチュア王者対決をKOで降し初勝利を掴んだ。前田戦では強烈なミドルやスクランブルの強さ、パンチの上下の打ち分けからフィニッシュに繋げたパンチの回転力などALIVEらしい打投極のレベルの高さを魅せたデビュー戦だった。
宮城はストライプル新百合ヶ丘所属で3勝1敗。3勝は全てKO勝利であり、特にパンチの破壊力は若手随一のものを感じる。前戦はNBTで山木と同門の山口と対戦。1Rはスクランブルの組際からの打撃でポイントをとるも、2R以降は山口の豊富なスタミナからの攻めに対処しきれず判定負けを喫した。
キャリアとしては山木はこれがプロ2戦に対して宮城はプロ5戦と差はあるが山木には山口戦でのデータがあるだろう。宮城の武器であるパンチと山口戦での展開を考えると山木はTDを主体とするか?
期待の新鋭山木がナンバーシリーズ初参戦でそのポテンシャルを知らしめるのか、それとも宮城が自慢の拳でALIVEへのリベンジを果たすのか!!
349③ バンタム級 小原統哉vs久保達也
小原はTBJ所属の19歳、プロ戦績は6戦4勝。空手ベースの打撃とTBJらしい組の強さを持つオールラウンダー。特にアームロックが得意な印象が強く、髙木戦ではサクラバで一本を取るなど極めの強さの印象も強い。前戦ではベテランの合島と対戦、合島を打撃で効かせるも合島のボディ打ちや攻め疲れの影響か失速したところに合島のパンチをもらい最後は膝からのパウンドでKO負け。しかしBESTBOUTボーナスに選ばれるなど熱い試合ではあった。
久保はBRAVE所属でプロ戦績2勝無敗。これまではGRACHANで試合をしており今回が初のパンクラス。
前回のGRACHANの試合を映像でみたが、相手のパンチを受けて3度ダウンも立ち上がり圧力からパンチを当てて逆転の負傷KO勝利をもぎ取った。最近のBRAVEはNBT優勝の山﨑やライト級ランカーで先日ETERNALで勝利した神谷など宮田代表が自信を持って送り出す有望株が多い。久保自信もBRAVE内弟子であり約半年での成長した姿を見せたい。
久保の試合については一試合しか見ていないが相手の打撃でダウンを奪われていたことは気になるところ。とはいえ小原についても2敗はともにKO負けであり、打ち合いになるとダウンでも立ち上がった久保の耐久力が有利となるか?久保の組の実力が不明なものの個人的には小原はMMAで勝負してほしいところ。
THE BLACKBELT JAPAN vs BRAVE パンクラス本格侵攻を初めた名門が自信を持って送り出す両者、勝利を手にするのはどちらだ!!
349④ NBTバンタム級決勝 山口怜臣vs荒田大輝
第30回ネオブラッドトーナメント、トリを飾るバンタム級の決勝戦
山口はタイガームエタイ&ALIVE所属で2勝1敗。元IMMAFJrの2年連続シルバーメダリストであり本トーナメントの大本命。デビュー戦はAKZAの安藤に惜敗したが再起のNBTでは決勝に進んだ。スタイルとしてはグラップラーよりのオールラウンダーか。元々空手出身とのことで綺麗な打撃を放つが、IMMAFトーナメントで活躍したこともあるか組の強さの印象が強い。そして何よりスタミナの豊富さ。トーナメント2戦とも1Rは取られるも2Rからは独壇場の強さを見せた。Rを重ねてもパフォーマンスが変わらないところは強みと言える。一方でIMMAFファイターにありがちではあるがフレームの小ささは弱点と言えるか。そして2R以降巻き返すということは1Rは取られているということで、相手のフルパワー時は体格差で苦戦している印象が傍からは感じる。
荒田はパラエストラ八王子所属でNBTでプロデビューし3連勝で決勝に進出。初戦の嶺戦はストライカーの嶺に対処リーチの長さを活かした打撃で間合いに入らせずTDから腕十字で一本勝利、2回戦の目怒戦は目怒のしつこいTDを対処し、組際から引き倒しRNCで一本勝利。準決勝の白井戦ではジャブのリードからTDでコントロールし判定勝利とここまで危なげなく勝ち上がった。スタイルとしてはこちらもオールラウンダーの印象がある。
個人的に勝負の鍵となるのは1R、体格差がありフルパワーを出せるここで荒田がフィニッシュもしくはニアフィニッシュなど山口を削れれば断然有利になると思う。逆に1Rで大きく差を取れなかった場合は山口のスタミナが活きる展開になるか。ただし両者リーチ差があり荒田にジャブが冴えた場合には荒田がジャブで削り展開を大きく有利に進める可能性もあり得るとおもう。
共に新世代の台頭が著しいALIVEとパレ8、パンクラスランカーに殴り込み2025年の台風の目になるのはどちらだ!!
349⑤ バンタム級 矢澤 諒vs松井斗輝
説明不要のストライカー対決!!
矢澤はパンクラスイズム横浜所属で5章5敗。前回の井村戦での"決闘"にて拳を負傷し1年ぶりの復帰戦となる。持ち味は何と言ってもその拳による一撃の破壊力。勝った5勝は全てKO、4失神とまさに破壊の拳。以前は弱気な面やTDDの課題があったがジェイク戦ではしつこいジェイクのTDを耐えて拳を炸裂、敗れたとは言え笹戦でも相手のTDを耐え一撃を放つタイミングを計り続ける我慢の試合もできるようになった印象がある。
松井はTBJ所属、戦績としては6勝1敗なものの2度の計量失敗から今回よりバンタム級へ階級転向。こちらも打撃を得意とするストライカーだが、一撃というよりもアマボクキャリアのキレのあるパンチと破壊力抜群のカーフで相手を削るテクニカルな印象。またサロヒディノフ戦では負けたもののサロヒディノフのパワフルでしつこい組に何度も倒させるもスタンドに戻し勝負を諦めない姿を見せた。そして今回からは一階級上のバンタム級、フライ級時代に比べパワーを増した拳の破壊力にも注目したい。
ストライカーの両者、期待されるのは打撃戦でKO決着。しかし共にパンクラスイズム横浜とTBJという名門かつグラップリングが強いジムでもある。どちらかが組で攻めるか、もしくは両者組で攻める展開になってもおかしくないが、ここはやはりストライキング勝負を期待したい!!
349 コーメイン フェザー級 シュウジ・ヤマウチvs遠藤来生
群雄割拠のフェザー級、サバイバルマッチ!!
シュウジは日系ブラジル人で21勝11敗、ランキング7位。従兄弟のゴイチとのチーム・ヤマウチに所属だが、現在は日本在住でありALIVEなどに出稽古に出ているとSNSで見られる。パンクラスデビュー戦はライト級でのヤン坊戦、TDで攻めるも切られてヤン坊のパンチに屈しKO負け。2戦目は本来のフェザー級に戻して中田戦を予定していたが計量失格。一度はキャッチウェイトで試合が決まったと発表も中田が要望した戻し制限を呑めず試合中止に。そして7月の大阪大会に参戦し名田と対戦。難敵名田に対してボトムから十字を極めで一本勝利と本領を発揮した。
遠藤はPOD所属でランキング8位。戦績は14勝11敗3分。無尽蔵のスタミナと決して引かない気持ちの強さが武器の激闘派。RyoにKO勝利も高木にはKO負け、平田戦では3Rに巻き返すなどパンクラスに置いて平田を最も苦しめた試合だった。一方で当時ランキング外の石田戦では石田のリーチに苦戦、1Rは寝技で絡みつかれ三角に捉えられ、2RこそTDや打撃で巻き返しKO寸前に追い込むも、3Rはまさかのガス切れから石田に手数で攻め込まれまさかの敗戦で4連敗。しかし7月の復帰戦で中村に対し圧力をかけ手数で勝り3Rにはトップからパウンドやスタンドの打撃を入れ連敗をストップさせた。
奇しくも同じ7月大会で嫌な流れを払拭した両者の戦い。シュウジは得意の寝技で一本勝利、遠藤は平田戦でも見せたように苦しい展開でも粘り、持ち味のスタミナから攻め込むことで泥臭くとも勝ちに繋げたい。
349 メインイベント フライ級 大塚智貴vs秋葉太樹
パンクラス389メインイベントは次期挑戦者を占う大一番!!
大塚はCAVE所属でランキング3位、戦績は7勝4敗。ストロー級でデビューし2021年のNBT優勝し翌2022年にフライ級に転向。松井、濱田に連敗も眞藤、山﨑の2023年NBTフライ級優勝&準優勝を続けて撃破しランキングを3位まで上げた。ストロー級時代はTDからトップをとる印象が強かったが、フライ級で闘うにつれてスタンドの打撃も向上、打投極のバランスの良さを見せる。スタンドの打撃は前田戦でもパンチでダウンを奪うなど威力が垣間見える場面もあったが山﨑戦で遂に発揮、強烈なストレートで一撃KOを見せた。また松井戦でも見られるように相手の打撃を受けるもパンチを振るい続ける気持ちの強さも魅力的。
秋葉は稲垣組所属でランキング4位、戦績は12勝14敗1分。2021年からは強豪相手とはいえ5連敗と苦しむも7月の大阪大会、新鋭氏原に十字に捉えられ絶体絶命も耐え抜きパウンドでTKO勝利を果たした。元々は打撃の強さが武器のストライカーだったが、安谷屋戦では寝技でコントロールし判定勝利と組技の実力も向上を見せる。ただ伊藤戦では寝技が向上したが故にスタンド勝負を割り切る事が出来なかったのではと思えるシーンも見えた。
両者共にスタイルとしてはオールラウンダーと言えるだろうが組なら大塚、打撃なら秋葉の印象。ただ大塚は長身相手に苦戦する印象があり、その点では秋葉が有利となるかもしれない。ランキングは下だが実績、対戦した相手は遥かに上の秋葉に対して、大塚は上位ランカーとしての実力を示せるのか、それとも底を抜けた秋葉が伊藤盛一郎へのリベンジに動き出すのか、パンクラス349メインイベントは激闘必至のフライ級サバイバルマッチ!!
349① ストロー級 佐々木瞬真vs田畑翔太
佐々木はTBJ所属で1敗、本年NBTでデビューも優勝した山崎にRNCで敗れた。キッズ修斗出身であり、山崎戦でもボトムからの攻めを見せた。また結果的にカウンターテイクを取られたものの2Rのワンツーはあわやというものだった。
田畑はK-PLACE所属でデビュー戦。東京選手権Sクラスルールトーナメント フライ級トーナメントA優勝デプロ昇格。決勝のみ視聴したが、しつこくTDに行きトップをコントロールするスタイルはまさにK-PLACEの血脈を感じる姿だった。
試合を見た印象では佐々木、田畑共にスクランブルで妥協しないスタイルに見える。ただ佐々木のボトムから攻めるスタイルは田畑にとっては持って来いの可能性もありえるか。逆に打撃でリードできれば有利な展開で試合を進めれそうな印象。その点では前回に良いワンツーを持っていた佐々木は面白いと感じる。
デビュー戦と2戦目の両者、全てを出し切り初星を飾るのはどちらだ!!
349② フライ級 赤﨑清志朗vs嶺大基
赤﨑は三崎和雄が代表の香取道場所属で6勝9敗。以前は組主体の印象があったが、近年は打撃で攻める印象がある。個人的な印象だが体格差がある相手にめっぽう強く、フィジカルで相手を押さえつけパウンドで仕留めるイメージがある。また敗れたとはいえ現ランキング3位の大塚戦では1Rはスクランブルで有利に進めていた(2Rカウンターギロチンで敗北)
嶺はKRAZY BEE所属で1勝2敗。スタイルとしてはストライカーで1勝は木本からワンパンKOでのもの。アマチュアの試合を観たことがあるが打撃センスは確かな印象。またデビュー戦は上野にトップコントロールされ敗れたが、3戦目の荒田戦では組で劣勢な状況でも粘りを見せた。
嶺の身長は164cmであり、データとしては赤崎が164cm以下に負けたのは大塚のみ。現在3連敗の赤崎、相性の良さを見せて連敗脱出するのか、それとも嶺が再びド派手なKOを魅せるのか!!
349③ バンタム級 坂本瑞氣vs梅原規祥
坂本は吉田善行がRIGHTTHING ACADEMY所属で2勝4敗。2016年にデビューも2018年に梅原の先輩でもある所プラスの萩原に敗れ活動休止、所属を変えて昨年のNBTで復帰するとスクランブルの強さで決勝進出。元所属の宇留野道場の菅に敗れ、4月の谷内戦でも敗れ2連敗中。
梅原は所プラス所属で4勝4敗。以前は相手のアクションを受けがちだったものの、徐々に自分から攻めるようになってきた。スタイルとしては所英男の弟子らしくグラップラーであり常に極めを狙う印象がある。打撃についてはサッカーをやっていたとのことで蹴りが得意な印象。前戦は上野戦、5分で迎えた3Rアグレッシブな攻めの姿勢を見せ続け、最終盤にパウンドを入れるなどして判定勝利。殻を破る切っ掛けとなる勝利にも思えた。
共にスクランブルが強い印象の両者だが、梅原がより積極的に極めに入る印象があるか。ダメージ(アグレッシブ)をより重視する印象が強い最近のジャッジ傾向だが、ポジショニングではなくフィニッシュに繋がるスクランブルを期待したい!!
349④ フェザー級 小森真誉vs木下尚祐
小森はロータス世田谷所属で14勝9敗。スタイルとしてはグラップラーの印象があるMMA通算では14勝9敗のもののパンクラスでは3勝6敗、そのうち2勝はプレリム時代と苦しんでいる。前戦は糸川戦、キャリアでいうと格下のランカー糸川に対して1Rこそ寝技でポイントを取るも2R以降は糸川の打撃に巻き返され敗北。ランカーへのチャンスを逃してしまった。今回は初参戦の木下、門番役として起用されただけに勝ちたいところ。
木下はグランドスラム所属で9勝6敗。今回よりフェザー級に転向、ZST→DEEPを経てパンクラス参戦となる。過去に何度か試合を見ており、その際のツイートを見るとグラップラーの印象。但し、直近の試合は見ていないので正確にはわからない。
過去を見るとグラップリング対決の両者だが果たして?
349⑤ ウェルター級 村山暁洋vs川中孝浩
村山は暁道場主宰、23勝14敗9分のベテランであり元KOP&修斗環太平洋王者。現在は2連敗中でランキング3位。ここ4年間の戦績は1勝4敗。2度のタイトルマッチを経験するも勝ち星に得られず正念場とも言える。ここまで負けた相手は菊入、木下、林、押忍マンとストライカーであり木下以外の三者は圧力を掛けられロングレンジの打撃に対応しきれずに敗戦する印象が強い。木下戦については自らゴング後に組み付いて行った為、それには当てはまらない。ただ個人的には自ら攻めた木下戦が一番良い試合にも思えた。試合を少し見返したが、菊入戦でも押忍マン戦でも自分からパンチを振るって距離を詰めた時のほうが上手く組み付けている。受け手ではなく先手で攻める試合が見たい。
川中はBRAVE所属で17勝10敗の元GRAND王者(GRANDはGRACHANとGLADIATORの共同タイトル。パンクラス参戦もここまで2連敗。奇しくも負けた両者が先日タイトルマッチだったこともあり、一つでも勝ってたらポジションが違っていただろう。特に押忍マン戦は序盤は自らプレスをかけて打撃で先手を取りTDも奪うなど試合を作っていた。(その矢先にセコンドの激の発破をかけられた押忍マンのハイが炸裂しKO負け)川中としてもGRANDのタイトルを返上してまで参戦したパンクラス、このまま負けたままでは終われない。
パンクラスウェルター級において崖っぷちの両者、川中は村山対策としてほぼ間違いなくプレスからロングレンジの打撃で作り村山のタックルの間合いにさせず組際のスクランブル対策に重点を置くだろう。村山としては何度も同じパターンでやられるわけには行かないし、やはり自分からプレスなりタックルなりで攻めていきたい。
層が決して厚いとは言えないパンクラスウェルター級、崖っぷちではあるが両者ともにまだベルトへのチャンスはある。崖をよじ登りそのチャンス掴めるか!!
349⑥ フライ級 浜本“キャット”雄大vs眞藤源太
浜本はクロスポイント大泉&TEAM CAT所属、MMAの練習場所はFIGHTER'S FLOWなどで行っているとSNSで見る。戦績は6勝4敗でランキング9位。ILFJ認定ラウェイ王者、元WPMF日本スーパーバンタム級王者、そして元FIGHTINGNEXUSフライ級王者でありムエタイ、ラウェイ、MMAの三冠王者。MMAはZSTでデビューし2戦目で現KOP伊藤盛一郎と対戦。敗れはしたが縦肘でカットはムエタイ幻想を呼び起こさせる一撃だった。その後はNEXUSに参戦するとそれまで積上げたMMAの技術が開花。元ムエタイファイターらしく首相撲からの膝が抜群に良く、まさに令和のJMMAムエタイとも言えるストライカー。組際も弱くなくスクランブルの強さや100%スイープで返す上手さがある。ただ荻窪戦のようにしっかりとコントロールするグラップラーにはまだキャリアの浅さを突かれ敗戦する姿も見せている。前戦はカマチョと対戦、強豪相手に競り合うかと思いきやキャットが首相撲からの膝天国に誘い明確な勝利を掴む。この試合でもカマチョにTDされるもスクランブルでスタンドに戻すなどMMAとしての完成度の高さを改めて知らしめた。一方で打撃対応は外すスタイルであり思わぬ打撃、特に目が慣れていない1Rに強打を受けてKO負けをする印象がある。
眞藤源太はKINGCRAFT所属で6勝2敗、ランキング10位。キャリア初期はNEXUSで連勝しパンクラス参戦。4連勝でNBT決勝も山﨑に敗れる。梅原戦ではゴング後に飛び込む梅原を上手く対処しRNCで一本勝利。続く大塚戦はカーフで有利に進めるも大塚にTDされるとボトムからの攻めに固執しポイントを奪われ判定負け。前戦は元タイトルコンテンダー上田と対戦、2R上田がTDもギロチンに捉えてニアフィニッシュに持ち込むと3R上田のTDに合わせてパンチでフラッシュダウンを奪うとパウンド、さらに上田のTDを潰しパウンドとスプリットの判定勝利でランキング入りを果たした。スタイルとしてはグラップラーよりのオールラウンダーの印象。スタンドではボクシングの上手さと強烈なカーフ、グラウンドでもボトムから仕留める極めの強さを持つ。一方で大塚戦のように極めが強いが故にボトムからの攻めに拘り判定負けをする場面も見える。得意なポジション=勝利ではないことを冷静に判断できればもっと良くなる印象がある。
共にバランスの良い両者、キャットのMMAムエタイが炸裂するか、それとも眞藤が得意の極めで一本取るのか!!
249 コーメイン ストロー級 植松洋貴vs高島俊哉
植松はNEVER QUIT所属で4勝2敗1分、ランキング2位。2022年NBT 優勝を果たすと、ご褒美マッチでリトルと対戦。1RアッパーでリトルをKO寸前まで追い込むも2R以降はリトルが復活し猛反撃。植松目線では勝ち切れなかった試合も結果的には大会ベストバウト級の熱戦だった。野田戦には敗れるも増田、尾崎と接戦を勝ちきり2連勝でランキングを2位まで上げた。スタイルとしては打撃も組みもできるオールラウンダー。長いリーチによる懐の深さを活かし、積極的にワンツーなどパンチを放つ。一方で近距離では強烈なアッパーや組膝などの打撃や四つで組むなどバランスの良さを感じる。
髙島俊哉はリバーサルジム新宿Me,We所属、9勝5敗1分でランキング3位。2017年NBTで優勝するとリトルや尾崎、宮澤に勝利している。2022年から約2年間試合を離れるが今年の2月大阪大会でランキング1位若林と対戦。若林のゲームメイクの上手さに敗北も2Rは得意の寝技で攻勢をとるなどグラップラーとしての実力は示した。7月大会では当時ランキング5位の2023年NBT優勝寺岡と対戦。得意のグラップリングで2Rまで優勢も3Rガス欠からか寺岡の猛反撃を必死にしがみついて耐え抜き判定勝利しランキングへ返り咲いた。スタイルとしては前述の通りのグラップラー。元々はU-FILE CAMPに所属しており、U系らしいアグレッシブな寝技の印象があったがMe,Weに移籍してしっかりとコントロールする寝技になった印象。前戦で気になるところは打撃の受け方が気になったが、そこはガス欠の影響もあるだろう。
オールラウンダー植松に対してグラップラーの髙島、植松が遠い距離からのパンチでリードを取りTDDから強打を打ち込むか、それとも髙島が寝技底なし沼に漬け込むか。トップコンテンダー若林がONEに行ったストロー級、勝利して次期挑戦者にアピールしたい!!
349 メインイベント フェザー級 中田大貴vs石田陸也
中田は6勝6敗、HEARTS&武蔵村山さいとうクリニック所属でランキング6位。ミエテイレバキカナイを信条とするゾンビストライカー。2020年NBTライト級でデビューしNBTでは現在DEEPに参戦する狩野に競り負け準優勝。階級をフェザー級に転向するとRtOで2020年NBT フェザー級優勝の岩本と対戦。途中、岩本の反撃もあったがミエテイレバキカナイの片鱗をみせTKO勝利。続く田村戦では数多の若手をマットに沈めた田村とバチバチの殴り合いを制しTKO勝利。ミエテイレバキカナイ完全覚醒を果たすとRyoとの死闘も制しトップランカーに駆け上がる。しかしRIZINで堀江に敗れ再起で望んだフェザー級トーナメント、2018年NBT優勝の亀井に1Rは剛腕を炸裂させるも2R以降は成長した亀井のスタンドテクニックを崩さず逆転負け。内村洋次郎の引退試合の相手を務めるこれは介錯するもRIZINでの芦田戦は敗戦。三宅戦は三宅のTDに大苦戦の末、ブザービーターでのフロントチョークで逆転勝利。しかし高木のミエテイテモキク剛腕でワンパンKO負け。前戦では韓国の強豪相手サンウォンの上手さを崩せず判定負けで2連敗。RIZIN参戦以降は2勝5敗であり、強い相手と対戦していることはあるが印象よりも大きく負け越している。
石田はDOBUITA所属で7勝9敗、ランキング10位。元々はNEXUSなどで試合をしていたが、心機一転アマチュアであるMW杯に出場、優勝しパンクラス参戦。公式に努力に人と紹介されているが戦績を見るとNEXUSに出場した当初あたりは5連敗をしており、ソレでも格闘技を続ける生き様は文字通り努力の人だろう。スタイルとしてはグラップラーの印象があるがスタンドでも首相撲からの膝が良かった記憶がある。一方でグラップラーにありがちな寝技が得意故にボトムでも拘るところがあり、冷静な試合の組み立てが重要となる。キャリアでピックアップすべきは遠藤戦、明らかに格上の遠藤に対しても一歩も引かず遠藤のTDに合わせて十字を取り、スクランブルでトップからパウンドを放つ。2R遠藤の猛反撃にKO寸前まで追い込まれるも3R遠藤が失速するなか手数で勝り大アップセット!これでランキングに入る。続く三宅戦では三宅の打撃に圧倒され敗北、これが再起戦のなる。
勝ち星に恵まれず苦戦が続く中田だが、今回の相手の石田は明らかに格下の相手。石田には申し訳ないが、ここで石田に勝てなければキャリアとして先は潰えることも十分にあるだろう。そしてただ勝つだけではなく圧倒的なインパクトで勝ちたい。一方の石田としては大チャンス、遠藤戦も本来ならなかなか組まれない状況からチャンスを掴んだように今回も願ってもいない状況だろう。得意の寝技で一本でもとれば上位ランカーとなりタイトルショットも見えてくる。
中田が復活の狼煙をあげるのか、石田が中田を踏み台にし駆け上がるのか
11月10日パンクラスニューピアホール大会、大トリを務めるのはフェザー級サバイバルマッチ!!