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【名言体験📜】👴👵今日という日は、残りの人生の最初の日である❗️
「今日という日は、残りの人生の最初の日である。」
― チャールズ・ディードリッヒ
【名言体験📜】
居酒屋のカウンターにて
「お前、最近どうなん?」
仕事終わりのビールを一口飲んで、浩司(こうじ)が聞いてきた。学生時代からの友人で、昔はよくバカなことをやった仲だ。俺は箸を動かしながら、曖昧に答えた。
「まぁ、普通かな」
「普通ねぇ……。お前、前からそんな感じだったけどさ、本当に満足してんの?」
「……別に、不満はないけど」
浩司は少し笑って、グラスを置いた。
「俺さ、最近仕事辞めたんだ」
「え? 何で?」
「正直、ずっと惰性で働いてたんだよな。給料も悪くなかったし、別にクビになったわけじゃない。でも、ふと気づいたんだよ。『このままあと30年も働くのか?』って」
「それで辞めたのか?」
「ああ。まぁ貯金もあったし、しばらくは困らない。でもな、一番の理由は、親父の言葉だったんだ」
浩司の父親は数年前に病気で亡くなった。その話は聞いていたが、詳しいことは知らなかった。
「親父がな、亡くなる前に俺に言ったんだよ。『今日という日は、残りの人生の最初の日である』って」
「……」
「それ聞いた時、最初は意味がよくわからなかった。でもさ、よく考えてみたら、俺は『いつかやる』って言いながら何もしてこなかったんだよな」
浩司はグラスの中の氷をカラカラと鳴らした。
「だから、辞めた。仕事にしがみついてるうちに、やりたいこともやらずに終わるのが嫌だったからな」
「やりたいことって?」
「旅に出る。国内でも海外でもいい。行きたいところに行って、見たいものを見て、やりたいことをやる。今までずっと後回しにしてたからな」
俺は黙っていた。浩司の話を聞いているうちに、自分の人生を振り返っていた。俺は今の仕事に満足しているか? 目の前の仕事をこなすだけの日々に、本当に納得しているのか?
「お前はどうなんだよ?」
浩司の言葉に、俺は思わずビールを飲み干した。
「……考えてみる」
その日、家に帰ってから、俺は初めて本気でこれからの人生について考えた。明日も仕事に行く。それは変わらない。けれど、今日という日は、残りの人生の最初の日だ。そう思うと、少しだけ未来が違って見えた。