指パッチンのAくん
指パッチンがずっと出来ませんでした。
音楽などを聴いている時や、
何か閃いた時にやるあの仕草です。
小さな頃からあの指パッチンに妙な
憧れがあり、よく真似をしていたのですが
何度やっても上手くいかない。
パチンという軽快な音なんて全くダメで
いつもいつもカスっという音ばかり。
そんな私を見て自慢気に指パッチンを
してくる男の子がいました。
それが指パッチンのAくん。
Aくんとは、
幼稚園、小学校、中学校、高校と
15年間一緒という私の人生の中でも
数少ない腐れ縁の1人です。
家が近かったわけではなく、
クラスが一緒になったり、
ならなかったりだったため
よく遊んだ仲という関係ではありませんが、
15年も同じ学校に通っていれば、
それなりに気心知れた関係になるわけでして。
Aくんは体型はガキ大将チックな
がっちり体型。
背も高く、一見怖い?感じですが
実は凄く泣き虫。
小学生の頃泣いているAくんを
よく見ていました。
この話をするとAくんに怒られます。
はじめて出来た彼女は、
本当に可愛らしい清純な女の子で
あまりにも大切にし過ぎて
手すら繋げなかったとAくんの
恋愛エピソードを聞いたときは、
なんて彼らしいんだと
逆に関心しました。
そんなAくんは本当に指パッチンが上手で。
両手でスイスイパッチン、パッチンするんです。
音も軽快でもはや癖なのか
いつもパッチンならしてました。
そして、いつも出来ない私をみて、
「こんなのも出来ないのか、ばーか」と
バカにするというお決まりの流れがありました。
そのまま高校を卒業し、
大学は別になった私とAくんでしたが、
成人式の時に久しぶりに再会しました。
中学校の同窓会で、
「お前、あれやってみろ」
と私にパッチンを命令するAくん。
もちろん私は出来ないまま。
そしてAくんは
「やっぱりこんなのも出来ないのか、ばーか」と
お決まりのセリフ。
いつも、いつも悔しかったのに
この時は妙に懐かしくて、なんだか
嬉しくなりました。
そんなAくんが全然お酒飲めないってことも
やっぱり彼らしくていいなと思いました。
成人式から3年。
ついに私は指パッチンが
出来るようになりました。
まだたまにカスっという音だけど。
右手しかできないけど。
Aくんとは成人式以来会っていません。
小学生の頃からずっと
「警察官になる」と夢見ていた彼。
夢叶えたのかな?
案外地元の警察署にいたりして。
男女の友人は成立しないなんてよく言いますが、
Aくんとはこの関係のまま
またいつか再会したいなと密かに
思っていたりします。
そして指パッチンを見せつけたい。
でも、絶対言われるんだろうな。
「こんなのも出来ないのか、ばーか」って。
言ってほしいな。
皆さんは指パッチンできますか?
ハル
本日のひとこと
指パッチンは出来るようになっても、
口笛はいまだに壊滅的に出来ない。