アルコール依存と暴力

アルコール依存だった、いとこの父。

私のいとこの父は、アルコール依存症だった。

毎日毎日お酒を飲んでいた。

私といとこはとっても仲が良く、小学校が長期休暇になると、互いの家に泊まりに行くほど。

どちらかと言えば、いとこの家の方が都心に近いので、私がいとこの家に行くことが多かった。
いとこの父と私は血縁はない。
血縁があるのはいとこの母の方だ。

いとこの父はいとこにとても優しく、私にも優しかった。
色々なところに連れて行ってくれた。

だが、毎日毎日ビールを飲んでいた。
車を運転する予定があっても、、、だ。

性格が変わっていく

私が小学校に上がって間もない頃は、優しいおじさんなはずだった。

お酒を飲み始めると、普段無口なおじさんは、とっても楽しそうに話しをしだす。

立て板に水といった感じだった。

誰も聞いていなくとも、ずっと一人でしゃべっていた。

幼少期の記憶はこんな感じだったが、小学校高学年頃になると、顔つきまでも変わっていたのが分かった。

見るからに優しそうな表情のおじさんだったのだが、いとこの家に行くたびに顔に影があるような感じで、いつも人を睨みつけているかのようなキツイ目つきになっていた。

体系は中年太りのおっさんをイメージしてもらったら分かりやすいが、顔だけはコケていた。

見た目も変わったが、性格も変わった。

すぐに攻撃的になり、被害者意識がとっても強い。

お酒を飲むと楽しそうに話していたのは嘘だったのか?と思うくらい、悲観的になり暴言を吐き散らしていた。

家庭内暴力

私はいとこの家に行くのをいつも楽しみにしていたが、中学生にもなるといとこが家にくることが増えた。

というのも、おじさんは酒を飲み、暴れだし、誰彼構わず暴力を振るうからだ。

伯母が「あなたに被害があっては危ない」といういうことで、いとこの家に行く機会がぐんと減った。

小学校高学年の頃、何度も暴れるおじさんを見てきた。

いとこには姉と兄がいるのだが、この二人がおじさんとやりあっているのだ。

ちゃぶ台がひっくり返るのは当たり前。

姉と兄が殴られるのは当たり前。

末っ子のいとこは、私の目の前では殴られることはなかった。


ある日、いとこがおじさんに移動教室のお土産を渡していた。

「お父さん漬物好きでしょ。お酒のつまみになると思って買ってきたよ」と。

私なんて親にお土産を買ったことすらなかったので、偉いなぁと感心していた。

その日の夜、いつも通りに酒を飲み暴れ狂うおじさん。

いとこと私は、おじさんとは別の部屋で布団に入っていた。

私は起きていたが、いとこは起きていたのか分からない。
怖くて眠れなくて布団をかぶっていると、何かを投げる音が聞こえ始めた。

すると「何がお土産だ!!ほざいてんじゃねーよ!!クソガキが!!起きて来いよ!!!〇〇!!!⇦“いとこの名前”」と怒鳴り出す。
いとこがお土産に買ってきた漬物の瓶を、蓋が開いた状態で投げ飛ばした。

中身は無残に散った。

あまりの恐怖に震えながらそれを見ていたが、悲しくて涙が出てきた。

朝になると、部屋に飛び散った漬物の残骸を、いとこは一人で片づけていた。

「おじさんが酔っぱらって投げていたよ」なんて言えるはずもないし、言わなくてもいとこは分かっていたと思う。


いとこはいとこで、悲しみを私にみせないよう、気丈に振る舞っていたのかな。
バレないよう、私が片付けておくべきだったか?

正解なんて、分からないよ。

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