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雑誌をぱらぱらめくりながら

コーヒーを飲みながら、
全国の素敵なカフェやベーカリーが
紹介された雑誌を眺めている。

こんな風に、
雑誌のページをぱらぱらとめくりながら、
まだ訪れたことのない、
しかもそのほとんどは
おそらくこの先も訪れることのない、
たくさんの魅力的なお店の
写真を見たり、紹介文を読んでは
うっとりとする時間が好きだ。

一冊手に入れると、
ドッグイア(ページの角を折る)しておいた
好きなお店のページなんかは特に、
飽きずに何回でもぱらぱらと見返している。

そしてごくたまにではあるけれど、
旅行や出張なんかの際に
急に思い出して、
実際にお店を訪れることもある。



しかし、
こうして雑誌で知らないお店を知ったり、
見たりして楽しんでいるくせに、

自分の住んでいるエリアのページに
なじみのお店が載っていないのを確認して、
ほっとするようなところもある。

私にとっての
週末の穏やかで心地よいひと時を
おびやかされたくなくて、
随分わがままな考えだとはわかりつつも、
“今回もちゃんと載っていなかった”
と安心してしまうのだ。


それでも年に数回程度、
後でお店の方から聞いたところによると、
「何だかわからないけれど、急に
めちゃくちゃたくさんのお客さんが来た」
という日があるのだけれど、

ガヤガヤとした雰囲気が
あんまり得意ではない私は、
そんな日は遠くからその有様を見て、
くるりと踵を返して家に戻る。 


“たくさんの人が、
このお店の魅力に気づいたらいいな”

という思いと、

“このお店の魅力は、本当はそんなに
たくさんの人には知られたくないな”

という相反する
わがままでちょっと意地悪な思いを
胸に抱えながら。



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