右大腿骨頸部骨折 ゴードンアセスメント
右大腿骨頸部骨折のゴードンアセスメントになります。
ゴードンの1~11領域までのアセスメントであり、ボリュームある内容となっております。
大腿骨頸部骨折で手術を受けられる患者さんを受けもたれる学生さんのアセスメントの助けになればと思います。
※資料の転売行為は禁止です。見つけ次第措置を取らせて頂きます。
患者事例
患者:Aさん 80歳 女性
診断:大腿骨頸部内側骨折
術式:右人工骨頭置換術(後方アプローチ)
既往歴:加齢に伴う難聴(補聴器を使用)
【患者背景】
家族:配偶者とは12年前に死別。現在は息子と2人暮らし。
実妹が近所に住んでいて、交流がある。
社会生活:明るく、社交的で地域のゲートボールチームに所属して楽しんでいた。
家事・家政:本人が主として担っていた。綺麗好きで身綺麗に整えていた。
家屋:戸建て(2階建て)の1階で主に生活していた。
トイレは和式、浴槽は深く狭い為膝を曲げて浴槽に入っていた。
【受傷から手術までの経過】
外出しようとして玄関先でつまずき転倒した。その後、室内に戻り息子の帰宅まで様子をみていたが、動くと痛みが増強するため救急車で受診。右大腿骨頸部内側骨折の診断で同日入院となった。翌日、右人工骨頭置換術を受けた。
【手術後の経過】
現在、術後10日目。術後の創傷治癒の経過は良好である。人工骨頭置換術パスに則り、術後1日目から車椅子移乗の許可が出ている。既に入浴の許可も出ている。
【術後10日目の状態】
体温:36.5℃、呼吸数18回/分(体動後24回/分)、脈拍82回/分、血圧130/70mmHg
MMT:両大腿四頭筋3
ROM:股関節屈曲(患側)70° (健側)90°
股関節伸展(患側)0° (健側)10°
血液検査所見:TP(血清総タンパク):7.1g/dL ALB:3.9g/dL RBC:361万/μL Hb:11.6g/dL CRP0.2mg/dL
身長150cm 体重46.0kg
排尿回数:10~12回/日
排便回数:1回/2日(入院前から)
【入院生活】
創傷治癒経過は良好なため、人工骨頭置換術パスが適応されているが、端座位をとる練習にさえ消極的である。「動くと脱臼が怖いから・・・」と発言し、動きたがらない。
痛みについて尋ねると「少し痛いけど、お薬をもらうほどではありません。」と返答がある。
「手術さえすれば、すぐにでも歩けるようになると思っていたのに・・ゲートボールのみんなが待っているだろうなぁ」と焦る様子もみられる。
促しを受けて見守りで車椅子に移乗し、トイレに行くが、立位は不安定である。
排尿は昼間のみトイレで、夜間はポータブルトイレを使用しているが、時々間に合わない事があり、パンツ型おむつを使用している。しかし、「トイレくらいは自分でしたい・・」と話す。
シャワー浴を促しても、「創が濡れると困るし、脱臼が怖いからまた今度」と言う。
整容も気にかけず、1日のほとんどがベッド上での生活である。日常生活行動は依存的である。
加齢に伴う難聴により補聴器を使用しているが、コミュニケーションは良好である。理解力、記銘力も年齢相応である。
食事はギャッジアップし、オーバーテーブルを使用している。常食1600kcalを自力でほぼ全量摂取している。総義歯であるが、噛み合わせは良い。
消灯時間には就寝し、よく眠れている。
実妹や息子の面会がある。「お袋の作ったご飯はおいしい。早く帰ってきてほしい。」と息子が言うのを嬉しそうに笑顔で聞いている。息子は今後のことについて「自宅に連れて帰ろうと思うけれど、昼間は仕事があるので、せめてトイレは自分で行けるようになって欲しい」と、看護師に話している。
【リハビリテーションへの理解】
リハビリテーションや禁忌肢位についての説明に対しては、うなずき聞いているが、「元には戻れないと思うし、ゲートボールもできないだろうね・・。この年まで生きたからもう十分、あまりつらいことはしたくない」「息子は自分のことは大体できるので、自分がいなくても大丈夫だと思う」と言い、声にも表情にも活気がない事が多い。
【退院支援】
術後2日目に、退院後の事について相談ができる地域連携室の相談員と息子が面談している。現在、介護保険申請中である。
右大腿骨頸部骨折 ゴードンアセスメント
下記にて、ゴードン11パターン全てのアセスメントを公開しています。
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