晒された「最大の弱点」と采配ミス

試合情報

J2リーグ第16節 東京ヴェルディvs京都サンガF.C. 
@味の素スタジアム 14:00KO 
前半0-3/後半1-1 合計1-4
〈得点者〉 
(東京V)小池純輝-63分
(京都)一美和成-13分、福岡慎平-18分、小屋松知哉-28分、安藤淳-89分
両チームスターティングメンバーと基本フォーメーションはこちら↓

5月無敗同士の好調対決

互いに5月を3勝1分で切り抜けてきた好調チーム同士の対決。京都は中田一三監督を招き、かなり整理されたポゼッションサッカーでリーグを席巻している。システムだけを見れば、ミラーゲームっぽい感じ。拮抗するかななんて思う試合である。
ヴェルディはコイッチ→レアンドロに変更。筆者はレアンドロを切り札としての起用で期待しているため、試合前にスタメンが発表された時は少し不安を抱いた。
対する京都は庄司が前節一発レッドで退場。福岡がアンカーでの出場。この変更がどのように影響を与えるのか、もしくは何の影響もないのか。このあたりの京都のベースがどのくらい浸透しているかも注目していた。
それではいつも通り守備と攻撃の2局面から振り返っていきたいと思う。

攻撃

この試合で、前半の攻撃の形は下図である。

このように京都は4-5-1の中盤がフラットな陣形。ヴェルディは4-1-5に近い陣形での攻撃。京都がまず行ったのはライン間を絶対に明け渡さないことだ。その後にヴェルディIHやアンカーをカバーシャドウしながら前から行くという守備。ヴェルディのように4-1-4-1でアンカー脇を晒すタイプの守備ではなかった。この時点で、ヴェルディのハーフスペースからの攻撃手段はほぼ無い(幾度かボールは通るも大きなチャンスとはならず)。なら外が空く。5トップでボールを保持していないサイドのアウトサイドレーンの選手にロングボールで展開。SBが食いついて空いたチャンネルにハーフスペースの選手が入っていくものだ。実際、右サイドでは幾度かこの形でゴールエリア脇もしくはPA脇に侵入できていた。しかし、そもそもロングボールは多用しないのでその形も多くは出せず、中盤やDFライン付近でボールロストし攻撃がまともにはできていなかった。
左サイドでは、相変わらず純輝の質的優位で幾度かサイドの深いところまで進めていたが、フィニッシュまでいけない。中の枚数、サポートこの辺りはかなり欠けていただろう。要は京都のブロック外側にボールは運べても中に侵入させてもらえなかったのだ。そうして押し込まれたまま前半が終わる。

後半はハーフタイムで修正し右SH純輝、左SH優平、河野→林の交代で2CFがレアンドロと林という布陣。この形で優平がインサイド気味で左ハーフスペース、奈良輪が左アウトサイドレーン、コウタは潮音より少し高めで右ハーフスペース、純輝が右アウトサイドで勝負する形となる。この後、守備でも述べるが後半からはハイプレスでマンツーマン守備に変更。ショートカウンターの形が増え始めた。その後闘莉王を京都が投入後、以下のような形になる。

上の図は得点シーンの図である。前線の枚数が増えることにより、少しマンツーマン気味になりアクションによるスペースメイクを利用した完璧な攻撃だった。ポストプレーの得意な林と縦関係になって少し下がり気味でボールを受けれるレアンドロの2トップが生んだゴールだった。
本来の配置としては優平が左ハーフスペース、潮音のアンカー、レアンドロと林の2トップである。3-1-6の様な形から足元が得意な選手が多いことを利用し、ポジションチェンジを多用しながらの攻撃は見ごたえがあったかなと感じた。
この後、ヴェルディはレアンドロに代えてヨンジ。京都は重廣に代えてエスクデロを投入し5-3-2に変更。そのあとの攻撃としては下図である。

このようにマンツーマン気味にしての攻撃。1v1の強制からギャップを作り、攻略するパターン。もしくはシンプルにロングボールを蹴ってという流れであった。しかしロングボールも虚しく跳ね返され、攻撃の形はほぼ作れなかった。

守備

コテンパンにされた前半の守備。

前半の守備はタイトルにも記述したように、今までの課題を凝縮したような形になった。それもタイトルに書いた「采配のミス」によってより顕著になってしまった。今までの課題はヴェルディのIH(優平・コウタ)の裏側のスペース。今節はいままでそこまで顕著ではなかったSHの守備基準の問題も相まってしまった。
詳しく説明すると、まず采配ミスに関してだがレアンドロのスタート起用だ。彼は継続的に守備をするタイプではないので、京都の攻撃の基点であり起点でもある2CB+アンカーに全く制限がかからない。その中でSHは縦切りをして京都IH(宮吉・重廣)のコースを消してからSBに追い込むべきだったのだが、縦切りをせずSBに早めに寄っていき、SH-IH間を空けてしまいヴェルディIHの選手がカバーシャドウで守れる範囲を出れば京都IHがボールを受けれるようになってしまい、スルスル楔が通るようになっていた。
また1失点目でレアンドロが制限できず、福岡を潮音がマークしなければならない弊害が出てしまった。潮音が福岡にマーク、宮吉が下がって受けに行くのに優平がついていき中盤とDFラインの間延びが発生。宮吉のフリックから重廣が受け、仙頭が先ほど間延びして生まれたスペースに走りこんで受けてからの流れで一美のゴールが生まれた。
2失点目は、一美の下りる動きについていった近藤の空けてしまったスペースに重廣が入り、落としたところからの流れで失点。これもCBや福岡にボールを楽に持たせてしまい制限をかけられなかった代償だろう。出し手への制限がかからないと後ろの選手たちはとりあえずでも付いていかなければならない。それによるスペースメイクから失点した。
3失点目は河野が縦切りしてSBに出させる前に出て行ってしまうせいで生まれた失点だ。(詳しくは下のハイライト動画から確認してみてください)

他にも優平がフラフラ相手のCBにプレスし、簡単に裏のスペースを使われるなど、あまりにも中盤の選手に守備基準がなく、この課題はいつからあるのかを考えると、正直納得できないところではある。前半の3失点すべて、この試合の欠点とした事からだけだったからである。
これの解決策としては出ていく基準をさらに明確にして、かつ極端な話ではあるが町田ゼルビアぐらいの横圧縮が必要になるんじゃないかなと思う。今の状態が続くのなら、今節のような試合を繰り返すことになるだろう。

後半は4-4-2に変更。マンツーマンによる前プレを開始。この形にしてからは、前線でボールをひっかけて上手くショートカウンターにつなげたり、相手の攻撃の機会を減らすことができた。前節の千葉戦でも後半はアグレッシブに戦い主導権を握ることができた。ずっとこのプレスをやれとは言えないが、このやり方は継続してやってほしいなと思っている。ここの図に関しては時間がないので省略させていただくが、この修正に関しては評価できるかなとは思う。

まとめ

自分は試合を最初見たときあり得ないくらい守備の弱さが露呈していて、正直苛立ちさえ覚えた。素人でも予想できる試合展開なのだ。筆者は最初のところでレアンドロの起用に不安を覚えたと書いた。この試合が行われているとき筆者は仕事中だったため、後半の途中で結果を見たとき0-3という途中経過を見て、まったく悔しさがなかった。当たり前だろうと。相手はCBとアンカーの選手がゲームメイクするタイプのチーム。レアンドロのスタート起用などもってのほかなのである。ここまで少し感情的に書いてしまったが、チーム内にも事情があるのかもなとは思いつつも、ここで一度叩きのめされたので、次の試合で先への希望を見せてくれることを期待している。
ちなみにレアンドロに関して、後半ではかなり輝いていたと思う。得点シーンにも絡み、やはり能力的には絶対に必要な選手である。使い方の問題だろうと考えている。
これだけ問題が顕著に噴出したので、切り替えてやっていってほしいなと考える。
一方京都に関しては、庄司がいなくとも全く劣らず、かなりいいサッカーをしているなと感じた。守備ではリスク管理のところ、攻撃ではこちらの弱点を的確に突いてきていた。いい勝負になるかなと思ったのが恥ずかしいくらいに、チームビルディングに差を感じた。昇格候補筆頭じゃないかなというチームだった。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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